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異世界転生チャレンジ

俺は落合 マサシ(おちあい まさし)。

俺はとある企業に中卒で入社し、一日16時間労働、休みは3ヶ月に一度という生活を続け、ついに現実世界を生きるのが嫌になった。


「ネットに異世界転生する方法でもないかな…」

と、絶対に出てこないだろうとは思いつつ、「異世界 転生 方法」と検索をかけた。

すると、まさかの成功率が高い、最近流行っている”らしい”転生方法があった。


それは、「4:44に四谷7丁目バス停に行き、『中44 中異3丁目駅行き』に乗る。そして、丁度34分21.1秒後に降車ボタンを押す。すると、柴公園につく。時刻が2:11になっていることを確認してから、トンネルに入り、トンネル内の幽霊を成仏させたのち、トンネルを通過し…」

バカバカしい。

そもそも異世界なんて存在するはずがないし、そこに行く方法なんてあるはずがない。


そう思い、またネットサーフィンを続け、休日が終わった。


翌日、体が象のような重さになっていたが、また出勤した。というよりかは、出勤するしかないのだ。


一度でも無断欠勤したら、「反省部屋」という、24時間重労働、空調なし、給料なし、休み一切なしという地獄の方がマシというくらいの部屋に追いやられるからだ。


そうして、休み明けから一ヶ月後、俺は高熱を出した。

42.0℃。相当やばいということで、会社に連絡し、なんとか休みにしてもらえた。

それにしても体がだるすぎる。

めまいがするし、頭痛もひどく、歩くのもままならない。

まぁ、とりあえず解熱剤を飲んで寝た。

何時間寝ただろうか。朝に寝たのにもう深夜だ。

症状が治ってきていたので、もう出勤時間も近いことだし出勤することにした。


出勤すると早々に怒鳴られた。上司の黒田くろだだ。

そこから何時間か説教を喰らった。

どうやら自分が無断欠勤したということになっているらしい。

そして反省部屋へ異動になるという言葉が出たとき、俺は絶望した。


今まで反省部屋に行かないよう、過労でぶっ倒れそうになりながらも労働を続けてきたのに。

上司に怒鳴られても耐えてきたのに。

手柄を横取りされたとしても、給料を減らされたとしても、休みを潰されたとしても…


なのに、どうしてだ。無断欠勤ではなく、事前に連絡したのに。


そしてそのまま反省部屋に追いやられた。


反省部屋の様子は、まさに地獄絵図であった。

反省部屋は薄暗く、空調がないため蒸し暑かった。

皆家には帰れないため、悪臭も立ち込めていた。

そして部屋には10台ほどだろうか。大量の監視カメラがあった。 


そして働き始めて5時間後、俺は我慢ならなかった。

吐き気、頭痛、目眩、眠気、腹痛。これを続けていたらあと数時間で死ぬ。そう思ったのだ。

俺は決意した。どうにかしてここを脱出すると。


もちろん、多くの人がそんなことを考えては失敗に終わるのだろうが、俺は成功してみせる。なんなら、みんなも引き連れてやる。


反省部屋の壁はおそらく分厚い。「監視カメラで見られていたとしても一瞬で抜け出せる」というようなタイプでは無さそうだ。


今手元にあるのは、厳重に規制のかかっているパソコン、マウス、紙、鉛筆のみ。

この道具だけでどうすれば脱出できるのだろう。


これらの道具で破壊できるような厚さの壁ではなさそうだ。


ドアをこじ開けようったって、211桁の暗証番号、顔認証、指紋認証の三重ロックがかかっている。


…パソコンがあるんだから、これハッキングすればいけるやん!


と思ったが、パソコンには規制や監視がついている。

では、それを外す必要がある。

しかし、外す作業も監視されているため、手早く作業を行う必要がある。

しかも、ハッキングの時間もある。

どうすれば良いのだろう。

なぁに、簡単だ。監視に回るような上の奴らは深夜にはいないはず。そう。深夜に作戦を行うのだ。


そして深夜1:30。物音が一切しなくなったところで作戦開始だ。

まず規制を外すことだが、どうやって外せばいいのだろう。案外答えはすぐに浮かんだ。

タスクマネージャーで規制をオフにするのだ。

さて、オフにした。

ここからが勝負。

まずパスワード解除の端末の表面を、マウスを分解した時にあった頑丈な板で剥がした。そして情報を流してくれるケーブルを探し、PCに接続。

そこから情報を全て消し去り、「タップされたとき、解除する。」というようなプログラムにした。


そして元に戻し、液晶をタップ。

はーいミッションコンプリート。見事に鍵が開きました。

反省部屋に入ってから17時間。2:00に脱出成功。

そして皆と共に脱出し、とりあえず帰宅。

会社には住所、電話番号などはもちろん知られているので、このまま安心はできない。


ではどうするか、かなり悩んだ。


その末に出てきた答え、そう。異世界転生。


この前の休みに見たよなー、あの方法。

ということでもう一度方法を見た。


あー、四谷7丁目…ってそこまでどう行くんだ!?


現在時刻は2:11。あと2時間半後にはバスが来てしまう。


調べたら難しそうだった。

とりあえず四谷まで行ってみることにした。


俺が住んでいるのは池袋。そこまで行くのは容易いことだった。


そこからは調べたことを全て使って、なんとかバス停に辿り着いた。


4:44。バスが到着。ここからが異世界へ転生するチャレンジの始まり。『異世界転生チャレンジ』とでも言おうかな。

旅は長くなりそうだ!!!




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