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異世界転生 冒険者になるので探さないで下さい  作者: みえだ
第1章 『風』と『翼』の出会い
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ハーピーの集落にて




 エールの膝枕で飛躍的に回復した俺、いやぁ気持ち良かった。エールに抱き着かれたり膝枕で分かった事はハーピーって体温が鳥みたい高いと言うことだ。

 鳥は飛ぶためのエネルギー効率を良くする為新陳代謝が良く体温を高く保つ、具体的にいうと人間の平熱が大体36度前後に比べ鳥は平熱が大体40度前後だ。おそらくハーピーもそのくらいだろう。


 だから抱き着かれて羽に包まれた時は温めた羽毛布団に包まれたようにほんとに暖かった。それにエールの胸に包まれたあの心地は



スパーン!



「あいてっ!」


 エールに羽を器用に扱いハリセンのようにいい音を立てて頭を叩かれてしまった。痛いじゃないか。


「絶対ウィン今変な事考えてたよね!」


「…何で分かったんだ?」


風声ステムウィントが教えてくれたの!」


 オ・ノーレェ!風声ステムウィントォ!!あなた少々エールに肩入れしてませんか!?そう思っていると優しく風が顔に吹き



(オモシロソウダッタカラツイ)



「おおぉい!?」


 俺と風声ステムウィントの会話が聞こえたのかハーピーの皆さんは皆笑っていた。


 閑話休題。取り敢えず俺は今俺達を出迎えてくれたハーピー達に案内されてこのハーピー達の長に会いに行くことになった。俺は一際目立つ高床式の民族風家屋に案内され中に通されると


「エール、無事に帰って来ましたか」


 凛とした声が聞こえた方を見るとそこにいたのは見目麗しい妙齢のハーピー。言うなれば祈祷師シャーマンのような格好をした彼女は俺とエールに歩み寄る。その一つ一つの仕草には気品と言うか上品な所作が見られ前世に出会った社長令嬢とは比べ物にならない程様になっているとつい見惚れていると



スパーン



「いったい!」


 またエールに叩かれてしまった。羽ハリセン地味に痛いんだぞエール!


「ウィン今ティフォーネ様に見惚れてたよね!」


「いやぁ、綺麗なお姉さんだったからつい…」


 つい本音を溢してしまうとエールはプンプンと怒ってしまい宥めようとする俺とのやり取りを見てティフォーネと呼ばれたハーピーのお姉さんは


「あらあら素直な子ね、精霊達がああ言ったりエールがこうまで信用するのも理解出来てしまいますね」


「口元を羽根で隠して笑う姿も絵になります。自分も貴女様の事をティフォーネ様と呼ばせて頂いても?」


「ウィ〜ン〜!」


 ぷくーと頬を膨らませて何か抗議するように屈んで俺に目線を合わせるエール。

 身長差があるからそうなるけどエール!胸!視線を少し落とすとチューブトップに収まりきらないたわわな巨乳と谷間が拝めてしまい目の保養、ちゃうちゃう目に毒だ。本音が出た。

 そんな様子にティフォーネ様は「まあまあ」と場を収めてくれて


「改めまして、この山に住むハーピー達の纏め役を勤めさせて頂いておりますティフォーネと申します。精霊の声を聞こえし少年、我らの同胞を助けて頂き私から感謝の言葉をお送り致します」


 俺に頭を下げてお礼を言ってくれたティフォーネ様。俺は当然の事をしたまでと言いよくあるテンプレのやり取り本当にあるんだなぁと思いながらもエールが罠にかかった時の様子を報告する。


「ふむ…、人間ですか」


 何か難しそうに目を伏せ暫し思案する。その様子に俺とエールは目を見合わせてしまうとティフォーネ様は頭を上げた。


「最近、この山に住む私達のことを嗅ぎ回っている人間がいるのは理解しています。彼らと接触する前に共和国の友人伝いでマンハイムに確認した所…」


「進展は無しと、まぁ当然かもしれません」


「当然とは?」


「ティフォーネ様、実は…」


 エールがティフォーネ様に事情を説明すると難しい顔をする。


「王国の騎士が関わっていると」


「はい、この山でハーピー達を狙っている盗賊達のバックにはマンハイム王国のレーマン領の騎士がいます。恐らくはその騎士達がもみ消しているだと自分は考えます」


「ではそのレーマン領の領主殿は?」


「今駄目ですね、風声ステムウィントによると領主は寝込んでるみたいで業務止まってるみたいです」


 本当に使ねぇなあのクソ親父。女の尻追い掛けて部下の汚職にも気が付かないとなると監督責任を問わなければならないが無理だな。


 人間って生き物は責任逃れしたい生き物だ。それは前世で痛感してる。


「そうですか、それにしてもウィントスさんはどうしてこの山に?」


「俺は冒険者になりたくてアルバトロス連邦共和国に向かうために山超えをしていた所なんです。その途中でエールを助けたという事です」


「なる程…」


「ねぇねぇ、なんでウィンはアルバトロスで冒険者になるの?あっちの人間の国じゃ駄目なの?」


 エールの質問に俺は正直に身の上と何故アルバトロス連邦共和国で冒険者をしたいのかを二人に話す事にするとエールとティフォーネ様には驚かれた。そりゃそうだ今問題になってるレーマン領領主の隠し子なんだからな。だからこそ


「クソ親父の不手際で皆様にご迷惑をおかけして申し訳ありません」


 膝を着け頭を下げて謝罪を入れる。二人は俺のせいじゃないと言ってくれたのは有り難かった。しかし


「皆様にご迷惑をおかけした責任を取らなければなりません」


 エール達がいわれのない理不尽な暴力に晒されるのは我慢ならない。


「でもどうするのウィン?ウィンが説得するの?」


「説得して退いてくれるならそれでいいけど多分無理だな。悪事に染めた騎士ならクソ親父の権力も効かないだろうし、だからといってエール達が戦ってしまうとそれこそ国際問題になりかねません。だから」


「だから?」


「騎士と盗賊には事故死してもらいましょうと思います」




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