告白
無事に冒険者になり初依頼を無事終えることが出来た俺とエール。そんな俺は朝の穏やかな日差しに目が覚めるが
「エール…」
「んー?………zzz」
幸せそうにだらしがない表情で俺を抱き締めて爆睡するエールから身動出来ずにいた。帰った後何でかアリッサさん達からアイテムボックスの事を詰め寄られ驚いたが束の間ルーサさんから「宿は取っときましたよ!」と案内された提携の宿がなんと一部屋でダブルベッド。冒険者と言えど心の中で「教えはどうなってんだ!教えは!」と突っ込まざるを得なかった俺をさておきエールがとっとと寝てしまったのを見てとりま寝て起きたらこの有様だった。
「…まぁ、暫くはこのままでいいか」
そう思い二度寝。最近は色々な事が立て続けに起きて若干生き急いでたなと思う所もあり寝ることにした。すやすやと寝に落ちる寸前
「ウィン〜」
「ん?どうしたエール?」
「えへへぇ、ずっと、一緒だよぉ、zzz…」
そう寝ぼけたのか寝言なのかを口にして更に俺を抱き締めにかかる爆睡中のエール。何とは言わないが寝間着代わり着ているワンピース越しに伝わるエールの弾力と温もりに悶々とし何とか寝ることが出来たが無防備に眠るエールを見て今までのエールの立ち振舞を思い返し
(やっぱり、俺はエールの事)
眠りに落ちる寸前までエールに対しての想いってのを考えていた。
…え?何勘違いしてるんだって?
しょうがないでしょ!前世なんてこちとらダブルワークで死にものぐるいで働いてばっかで恋愛なんて「なにそれ?美味しいの?」状態だったんだからな!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ねぇウィンー」
「なんだー」
「今日なにするのー」
俺とエールはルーメンの街を歩いている。本来なら冒険者ギルドに行き依頼を受けたいとこだけど昨日初依頼受けちまったし
「昨日依頼受けてお金もあるし、今日は街歩いてなんか美味いもん食べよう」
「さんせー♪」
腹減った。
太陽が天辺から西側にあることから完璧に2人揃って午後まで寝過ごした。
午後まで寝るなんていつぶりだろうか、間違っても前世じゃ考えらんねぇ。前世なんて睡眠時間平均で4時間位だったし今世も4時間だけど俺って眠りマジで深いから短くてもスッキリなんだよな。
そうしてるうちにエールが屋台に足を向けていた。
「おじさーん!これちょーだい!」
「あいよー!」
そう言って買ったのはホットケーキを巻いたような食べものだ。ここ山岳都市はこのアルバトロス連邦の物流の要にして共和国国防軍の重要防衛拠点の1つ、それで物も人も集まるからか商業が盛んでこうした屋台も充実してるからついつい目移りしちまう。ただ海が遠いから魚介類の屋台が無いのが少し残念だ。
「どーしたの?ウィンー?ウィンも食べるー?」
「食べるー」
そう言って俺も屋台で買い食いしてエールと2人でルーメンの街を見て回った。ルーメン内の様々な場所を巡っていると
「ねえねえウィン、あれなに?」
少し遠くにある建物を爪差した。この位置からでもご立派に望めるあれは
「時計台じゃないか?」
と言ってみたもののまんま時計台だな。最初ルーメンに来た時から目について分かりやすかったからあまり気にならなかったけどエールが興味を持ったみたいで
「行ってみるか?」
「うん!どうせなら上行こ上」
「上?ちょっエール!?」
そう言ってエールは俺を掴むと両手の羽根を羽ばたかせ飛んでしまいあっと言う間に時計台の天辺へとたどり着いた。
いきなり突拍子もない事をしでかすエールに小言を言いたいとこだったが
「こりゃ…」
目の前の景色を見てそんな気は失せた。
夕焼けに染まるブリティス連峰、その連峰に切れる雲から差す日の光が目視で確認出来る確かにチンダル現象だったかな?それも重なって幻想的なルーメンの街を一望することが出来た。
俺がその光景を見て言葉を失って見入っていると
「にしし、来て良かったでしょ?」
エールが笑いながら語りかける。夕焼けに照らされどこか神秘的に目に映ってドキリとした。
自分でも顔が赤くなってるって自覚してしまう程だ。それを見てエールはニヤニヤと意地悪く笑みを浮かべ
「あれ?もしかしてウィン私に見惚れちゃった?」
…ズル過ぎるだろ。今朝意識しちまったから嫌でも意識しちまうよ。だから
「ああ」
俺は真っ直ぐにエールを見て答える。するとエールは予想外だったのか顔を赤くして素っ頓狂な声をあげた。
「ふえっ!?もう〜ウィンたら〜」
…ん?何か今何時もと違ったな。なんとなくだけどと思ってエールを見ると何処かはにかむように笑っていた。
「どうしたの?今日のウィン何時も以上に素直だよー?」
…チャンスはここしかない。俺は真っ直ぐにエールを見つめて
「なあエール」
「んー?」
「好きだ」
もう変なのはいらない。火の玉ストレートばりの直球でエールに告白した。
「……………へ?」
なんだよ、その豆が鳩鉄砲喰らったような表情は。不安になんだろ
「だから、俺はエールの事が好きだ!女性として!」
不安のあまりつい声を張ってしまい再度想いを伝える。
もう半ばやけっぱちみたいに言ってしまうが仕方ない。なんせまともな告白なんて初めてだからな!そう思ってると
「鈍感」
「へ?」
予想外の返しに今度は俺が豆が鳩鉄砲喰らった顔をしてしまった次の瞬間
「わぷっ?!」
エールに抱き締められ何時も通りエールの胸元に埋もれる中エールを見ると
「もう、私はとっくに好きだよウィン」
とっても満足そうに笑っていた。
「ウィン、もしかして私が誰でも抱き着くような女の子だと思ってたの?」
「ぶっちゃけ、うん」
「そんな訳ないでしょ!好きなウィンだからやってたんだよ。そもそも好きでもない男に裸見せないでしょうが!」
「…!それもそうか!」
「今更!?」
言われて初めて気付いた俺にすかさず突っ込みをいれるエール。普段と立場が逆なだけについ俺達は笑ってしまった。
「なあエール」
「んー?」
「これから宜しくな」
「もちろん♪」
冒険者になった俺はこうして天真爛漫な公私共の恋人が出来ました。




