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異世界転生 冒険者になるので探さないで下さい  作者: みえだ
第2章 『風』と『翼』、冒険者になる
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初依頼




「ウィンー、いるー?」


「んー?」


 茜色に染まる空から地上を見下ろして俺は目的のものを探す。今見下ろしている所が森みたいに障害物の少ない見晴らしのいい場所で良かった。ずっと目を凝らしながら見ていると川のほとりに人影を見つけることが出来た。


「いた!エールあっちだ!あっち飛んでくれ!」


「はーい!」


 エールに指示して人影の方向に飛んでもらう。俺達が何やってるのかって?話しは少し巻き戻るなー



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 晴れて冒険者になった俺達は改めてアリッサさんにギルドの説明やギルドと提携している宿屋の利用方法の説明を受けていた時にギルドの若い女性の事務員さんにアリッサさんが声をかけられた。


「アリッサ先輩すいません!今大丈夫ですか?」


「どうしたのルーサ?急ぎかしら?」


 黄色い髪をおさげに纏めた兎耳の事務員さん、ルーサさんとやらがなにやら慌ててたようにやって来た。ルーサさんは言いづらそうに


「それが、ディーゼルさんから依頼された補給品が漏れてしまったようでして…」


「なんですって!?どうするのよ、彼今大詰めだって話しよ?」


「申し訳ありません…」


 何だか取り急ぎのトラブルのようだ。俺は無闇に口に挟むことじゃないなと思って黙ってたんだが


「ねえねえ、どーしたのアリッサさん?」


 俺の思いも露知らずエールが首突っ込んだ。いや寧ろあまりの平常運転っぷりに「流石だぁ」と漏れてしまう。アリッサさんは俺とエールを見やるとなにやら閃いたような表情をし


「そうだわ!ウィントスさんエールさん宜しいですか?」


「「?」」


 アリッサさんの説明によるとディーゼルさんという指名手配された魔物を専門的に討伐する通称ハンターと呼ばれる冒険者がおりその冒険者から回復アイテムや保存食などの補給物資の搬送依頼を受けていたがギルド側の手違いで漏れてしまったそうだ。それを


「俺達に届けて欲しいと」


「ええ、お願い出来ますか?」


 俺達に依頼として頼んで来たと言うことだそのディーゼルさんがいるであろう場所を確認してエールに尋ねると


「ここくらいなら1時間掛からないよ!」


 それを聞いて安心した。どうやら日が暮れる前に出来そうだ。日が暮れちまうとエールは飛ぶのが難しくなるからな


「アリッサさんその依頼受けますよ。なっエール」

「うん!」


「ありがとうございます!ルーサ今すぐディーゼルさんの荷物纏めて」

「は、はい!」


 そうしてアリッサさんは直ぐに依頼書を作成し俺達は受諾、ルーサさんが持って来たディーゼルさんの荷物をアイテムボックスに入れて飛んできたってことだ。


 …それにしても、俺がアイテムボックスにしまうときアリッサさんとルーサさん目が点になってたけどどうしたんだろう?

 それにしても冒険者になってその日のうちに初依頼とは思ってもなかったな。



『依頼 ハンターディーゼルに補給物資を


 現在指名手配された魔物『ピンク』を追ってヘンゼル原野にいる冒険者ディーゼルに依頼されたアイテムを届けて欲しい


     依頼者 ルーメン冒険者ギルド

            報酬 4000G』



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 と、こんな事があって俺達はヘンゼル原野でディーゼルさんを探してたってことだ。そんで夜営の準備をしていた人影を見つけて今から接触を図る所でもある。俺達が近付くと


「…!誰だ!」


 川辺にいた兄ちゃんが剣に手を掛けると空にいる俺と目が合った。赤味の強い茶色い髪に整った容姿でナイトアーマーを着込む優男の兄ちゃん、間違いないなハンターディーゼルだ。そのディーゼルさんは何やら詠唱していたから


「ちょっ、タンマタンマ!敵じゃねえっす!」


 出来る限りで敵じゃないと呼び掛ける。すると声が聞こえたのかディーゼルさんは訝しげな表情ではあるが詠唱を辞め俺達が降りて来るのを見ていた。エールに頼んで降りてもらい地上につくと俺は確認を取った。


「貴方がハンターディーゼルでお間違いないですか?」


 最初こそ訝しげで警戒を解かなかったディーゼルさんだが俺達の胸元にある冒険者章を見ると剣から手を放す。


「君達はルーメンの冒険者かい?確かに僕がディーゼルだけど何か?」


「はい俺はウィントス、こっちは相棒のエール。俺達はギルドからの依頼でディーゼルさんにご依頼されていた補給物資をお持ちしました」


 俺はアイテムボックスから荷物を取り出すとディーゼルさんに渡す。ディーゼルさんは中を改めて一つ一つ検品していく


「うん。確かに僕がギルドに頼んでたアイテムだ。でもどうして君達が持って来たのかな?」


 俺は事情を説明、ディーゼルさんはうんうんと相槌を打ちながら聞いてくれ


「そういうことか、わざわざありがとう保存食には飽きてたから助かったよ」


 そう笑いながら御礼を言ってくれ依頼書にサインを記入してくれるディーゼルさん。あとはこの依頼書を持って帰れば依頼終了だ。辺りをキョロキョロと見ていたエールは疑問に思った事をディーゼルさんに尋ねる。


「ディーゼルさん、寝ちゃう準備してるけどもう寝ちゃうの?」


「うん。指名手配されてるピンクは朝方に弱くてね、だから今のうちに寝てしまって動きが鈍る朝に奇襲をかけて討伐する予定なんだ」


 ディーゼルさんによるとピンクと呼ばれている魔物はホワイトウルフと呼ばれる大柄な狼の魔物。初めは仲間と作物を荒らす程度だったようだがある時人を襲い人肉の味を覚えた事でそれ以来人を好んで襲うようになり人を襲った返り血が自身の毛を染めて今ではピンク色に見える事から『ピンク』と呼ばれて主に行商人を襲っているのだそうだ。

 アリッサさんが言っていたがディーゼルさん始めハンターと呼ばれる冒険者は皆魔物に対しての知識が豊富で特にディーゼルさんは指名手配の魔物の習性を調べ上げて確実に討伐することからギルドの信頼も厚い人物とも言っていた。


 俺はディーゼルさんに色々お話を聞きたい所だが日が暮れてしまうな、そうなるとエールは飛ぶのが困難だし場合によってはディーゼルさんの邪魔になってしまうからここいらでお暇しとこう。


「では自分らはここいらで失礼しますね。行こうエール」

「うん!」

「ディーゼルさんお気を付けて」


「ありがとう。2人も気を付けて」


 ディーゼルさんに見送られ俺達は飛び立ちルーメンへの帰路へ付いた。


 こうして俺達の初めての依頼は終わったのだった。



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