『風』と『翼』の旅路
はてさて、マンハイム王国の前世の記憶を持つ王子兄弟が接触を図ろうとしている注目の『主人公』ニール・レーマンもといウィントス・ミヤビは今
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「水の中にいる」
曲名ではない。物理的に水の、厳密にいえば川の中にいた。何故なら
「ウィ〜ン〜♪」
「「「「お兄ちゃーん」」」」
「ちょっ、エール抱き着くな!ってみんな待ってわぁ!?」
エールを始め多くのハーピー達と一緒に水浴びをしていたから。エールやハーピーの子供達に背中から押し倒さればしゃぁんと音を立て顔面からダイブするウィントス君15歳。
アルバトロス連邦共和国とマンハイム王国の境にそびえるヴァトラス山からアルバトロス連邦共和国中部の山岳地帯にある都市ルーメンへ引っ越しをしているハーピー達とウィントス。本来なら成熟したハーピーなら1週間足らずで移動出来る距離だが
「きゃっ、冷たーい」
「わーいわーい」
「それそれ」
「きゃっきゃっ」
ハーピー達の中には子供もおり成熟しきれていない子供の翼では長時間の飛行は不可能なのだ。なのでこうして文字通り羽根を休めながら一行ルーメンへ目指している。
「ぷふぁ!」
押し倒されたずぶ濡れとなったウィントスは水を切るように頭を振り
「にしし、冷たくて気持ちいいね♪」
華が咲いたように笑顔を見せるエール。ハーピー達に取って水浴びは飛行で火照り疲れた身体をクールダウンさせる合理的なもの、しかしウィントスにはそんなエールを直視出来ない理由があった。
「なあエール?」
「どーしたの?」
「なんで、みんな裸なんだ?」
ここにいる川で水浴びしているハーピー達は何故か皆一糸まとわぬ文字通り産まれたままの姿、つまり裸。エールに誘われホイホイ付いてきたウィントスは1割の後悔と9割のラッキースケベに困惑し目のやり場に困っていた。
ハーピーは種族柄女性しかおらずウィントスのようにここにいる唯一の男からすれば女性達の裸体を際限なく拝め咎められる事がないパラダイス。
見目麗しい美少女達が裸で笑顔で水浴びを楽しんでいる。そう、楽園はここにあったのだ。
だがそこは真面目なウィントス君。見ないように位置を細かに調整し配慮している。
「何でって、暑いし服濡れちゃうじゃん。それにこんな所だれもいなかったし来ないし気にするの?」
当たり前でしょと言わんばかりに話すエールは勿論一糸まとわぬ姿、エールのボンキュッキュッとしたナイスバディも露わとなっており当然目のやり場に困る。
ちなみに今ウィントス達が居るこの場所はブリティス連峰の奥にある未開の地の渓谷、目的地であるルーメンがある場所とは丁度反対側となり国内各所の街道が整備されているアルバトロス連邦共和国ではまず誰も立ち寄らない場所だ。
何故こんな所を飛んでいたかというとそれは気流。秋の季節に替わりかけている今の時期では北からの強い風がアルバトロス連邦共和国南地域に吹きやすくその風を利用してブリティス連峰の山々を超えるのを助けてくれるのだ。それが外敵も少なく子供達でもついていく事が出来る道である。
これも警戒心が強く風に愛されるハーピーならではの移動経路。他の種族では真似出来ない唯一の方法である。
「むぎゅ!?」
「もう、ウィン照れちゃって可愛いんだから〜、ウィンなら私の見ても触っても良いんだよ〜」
抱き寄せられたウィントスはエールの生乳にダイブする形になりたわわな生乳の温もりが顔を、身体中を羽根とエールの裸体で包まれウィントス君パニック
(む、胸!エールの生乳!ってかそんな状態で抱き着くな!鎮まれ、鎮まれ…!)
エールと出会ってからラッキースケベに遭遇し煩悩と戦う機会が増えたウィントス。彼らの旅路は順調である。