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二人


 ダイニングルームに行くと、既にオウカとサクラが座っていた。

 何やら仲睦まじげに話をしている。


 こうして見ると、鼻の造りなんかは似ているが、目元は結構違うんだな。

 たしか二人は、腹違いの姉妹って話だったよな……。


 じっと観察をしていると、視線に気付かれたのか二人がこちらをむく。

 スッと手を上げて、俺も席に座らせてもらうことにした。


「よっ」

「アルノード殿、こんばんは」

「……なんだか疲れてるんじゃないか? 無理して食事に付き合わなくても大丈夫だぞ?」

「いや、平気平気。ちょっと熱入っちゃっただけだから」


 一応私室に摘まめる物を持っていってもいいとは言われている。

 けど屋敷に来てからは、なるべくオウカたちと一緒に食事を摂るように心がけるようにしている。


 居候の身だし、ずっと部屋の中に引きこもっていても悪いし。

 それにオウカと話せるのって、夕飯時くらいだからな。

 彼女も彼女で忙しいらしく、最近では屋敷にいる時間の方が少ないほどだ。


 ちなみにアルスノヴァ侯爵は更に忙しいらしく、基本的に顔を合わせることはない。

 なんでも王宮で寝泊まりをしているらしい。

 時間がゆっくりと流れている侯爵邸だと忘れそうになるけど、現状って結構逼迫してるんだよな。


 俺を待っていてくれたのか、着席するとすぐに料理が並び始める。

 全体的に肉料理が多めだ。

 魚醤なんかの調味料を使っているので、全体的な色味はかなり濃い茶色だ。


 完全に俺とサクラの趣味だな。

 いつもの通りオウカの皿には、肉よりも野菜が多めで盛られている。


 一応テーブルマナーは一通り学んでいるので、皿をナイフで切ろうとしたり、食器が擦れて嫌な音を鳴らすようなことはない。


「侯爵の首尾の方はどうなんだ?」

「今は地方分派の仲を悪くするための政治工作中とのことです。国王への働きかけとか、寄子たちの寝返り工作とか……」


 俺とオウカとサクラが揃って話すことと言えば、基本的にリンブルに関することばかりだ。   


 そもそも女受けする話なんかできないし、二人にちんぷんかんぷんな魔道具の話をしても面白くないだろうから、基本的に俺は聞き役に回ることが多い。


 オウカとはリンブルの政治情勢を話すことが多いな。

 アルスノヴァ侯爵とはアポが取れないので、俺は最新の情報を彼女から入手させてもらっている。


「そんなに色々やってると、金がかかるだろ。魔道具だってそこまで安いもんじゃないし、経済の方は大丈夫なのか?」

「それはむしろ前より好調って話ですよ。今王党派の領地は割とバブルなので、土地の資産価値がぐんぐん上がってるみたいで」


 現王フリードリヒ四世は、良くも悪くも平凡な王様だ。

 何事も前例主義と事なかれ主義で裁可をするタイプの王の下、色々ときなくさい国際情勢から、リンブルの経済は緩やかな下降を続けていた。

 そしてトイトブルク大森林の魔物の流入によって、一気にガクンと落ちた感じだな。


 けれど今はこれから領地を取り戻しに行くぞというイケイケムードが漂っており、俺たちが大量に素材や魔道具を卸しているので金の動きも激しい。

 目敏い商人達はそこに金の匂いを感じ取り、王党派の領地では金貨が飛び回っているという話だ。


 実際に取り戻し、安全さえ確保できたなら、東部の各地は冒険者や商人たちなんかが大量に行き来する、新たなモデルの街として生まれ変わるんだろうな。

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