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魔力回路

月間総合2位になることができました!


連載開始時からは考えられないくらい、沢山の方に読んでもらうことができて、本当に嬉しいです!


 魔道具職人には、それぞれ個性がある。

 魔道具そのものに対する一家言なんてもんがある奴も多い。


 え、俺はどうなのかって?

 俺は……ぶっちゃけ、こだわりとかがまったくない。

 どちらかと言えば、無個性な方に分類されるだろうな。


 俺は魔道具そのものに対して、特に思うことはない。

 シュウみたいに芸術家気質なわけじゃないし、使う物とか造る物にめちゃくちゃこだわるタイプでもない。


 魔道具っていうのは、色んな効果こそついていても、所詮は道具だ。

 そして道具を扱うのは人間。


 なので俺は使う人間に合わせて、道具そのものをガンガン変えればいいと思っている。


 使い捨てようが大切に扱おうが、好きにすればいいのだ。

 そもそも道具は、人間が考えて使わなければただのガラクタなのだから。


 俺は割とこんな感じで、魔道具造りそのものを淡々と行うタイプの人間だ。

 魔道具製作なんて突き詰めれば作業だと思っているし、それほど楽しいものだとも思っていない。


 どちらかというと作ることそれ自体より、それを使っている人が喜んでいるのを見るのに嬉しさを感じるタイプだな。


 けど中でも唯一、俺がやっていて楽しいと思えるものがある。


 それが――魔力回路作りだ。


 魔力回路とは何か。

 これは要は、魔力の通りをよくするための魔力の通り道だ。


 例えばガチガチに溶接された、鉄の箱を想像してみて欲しい。


 この真上から、ちょろちょろと弱い勢いの水を流すとどうなると思う?


 当たり前だが、箱の外側を通って全体に分散しながら水が下へと落ちていくだろう。


 ここで水を上から下に流すことを、一つの作業として考えてみよう。

 だとするとこのやり方は、なかなかに非効率なのはわかると思う。

 ではどうすれば、もっと効率よく下に水を落とせるか。


 簡単な話だ。

 水が通るだけの大きさの穴を、鉄の箱に空ければいい。

 上面と下面に水が通れるスペースの穴を開ければ、穴は鉄の箱を素通りして下まで落ちて行ってくれる。


 魔力回路を作るのも、これに似ている。

 ただ違うのは、条件設定がいくつもあるってところだろうか。


 魔道具を作る際、上から下に魔力を流すだけの単純な魔力回路を作ることは少ない。

 簡単な魔道具だと、本当に中に大雑把な回路を作って魔力の通りを良くするってやり方もある。

 触媒を使う分若干コストは上がるが、その分たしかに使い勝手はよくなるからな。


 けれどある程度グレードの高い魔道具を作る場合は、魔力を流すだけじゃなく、留める必要も出てくる。


 魔力を拡散させることもあれば、収束させることもある。

 魔法的な意味を持たせるために、敢えて非効率な回路をいくつも刻み、それを一つの魔法陣として動かすこともある。

 魔道具全体に魔力が循環しやすくなるような回路を彫り込む必要があるし。


 ぶっちゃけた話、めちゃくちゃ考えなくちゃいけないことは多い。

 けど俺は、この回路造りの作業だけは飽きることなく割と長時間ぶっつづけで続けることができる。


 これ……俺がちっちゃい頃にやってた、迷路遊びに似てるんだよ。

 まず最初に迷路自体の大きさを決めて、次に始めと終わりを決める。

 そしたら後は、可能な限りその限られたスペースの中で攻略の難しい迷路を作る。


 魔力回路造りも、やってることは似たようなものだ。

 難しい回路を自分から作るんじゃなくて、ギュッと圧縮させると結果的に難しくなっちゃったりだとかいう、細かな差異はあるんだけどさ。


 まず瞳に鎧の大きさを焼き付け、それを脳内にインプットする。

 そしてその大きさギリギリに作れるような回路をイメージする。

 まずは簡単な回路を、そしてその効果が高くなるようにいくつもの新たな回路を付け足していく。


 ここで魔力を集めて、それをここで分散させる。

 再度集めることで二個の魔法が入れ込めて――。






「ん……」



 三つの鎧の回路を作り終えた時には、既に外でカラスが鳴いていた。

 空は薄暗くなり、夕暮れが出始めている。

 もうこんな時間か……やっぱり好きなことをやってる時は、時間が経つのが早いな。


 ふわあとあくびをしながら立ち上がる。

 長いこと座りっぱなしだったせいで座骨が痛い。

 軽くもみほぐしてから、夕ご飯を食べにいくとするか。

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