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「少しばかり話し合いをな、侯爵がいないのでオウカに話し相手になってもらってたんだ」

「ふむ、そういうことか。悪いな、ここ最近侯爵家はかなり多忙なのだ」


 エルルという前例があるせいで、何故か身構えそうになるが、まったくそんな必要はなかった。


 なんでかわかんないけど、こうやって女の子と二人で会うとエルルの目から光が消えるんだよな……。


 サクラは何も頓着していない様子で、トントンと自らが着用している鎧を叩く。


「このワイバーンの鎧にはずいぶんと助けられた。これほどのマジックウェポンをくれて、本当にありがとう。もしミスリルの鎧を使っていたままなら、死んでいたかもしれない……」


 サクラの顔は、以前と比べると少しだけやつれて見えた。

 けれどその分、顔つきが少し逞しくなった気がする。

 女の子を形容する言葉としては、不適当かもしれないけども。


 サクラは名代として最前線に出向いていたと聞いている。

 俺たちが居ない状態で、慣れない武装を使いながらの連戦は、彼女には堪えたと思う。

 それでもこれだけ立派な顔をするようになったってことは……いい意味で、成長ができたんだろうな。


「それならよかったよ。前に作ったけど使う機会がなかったやつだから、大事に使ってもらえると俺も嬉しい」


 よく見れば鎧にはいくつもの傷が走っている。

 後でジィラックあたりに見てもらって、応急処置をしてもらった方がいいな。


 サクラに渡した『ワイバーンメイル』に使っているワイバーン素材は、白鳳騎士団のものと比べると価値自体が低い。

 けれどその分魔力触媒は奮発しているので、かなり強めの効果がつけてある。

 どうしても魔力触媒をケチると、付与する魔法の効果が高くならないからな……。


 原種ワイバーンの鱗で作ったスケイルメイルと、サクラの『ワイバーンメイル』の両方に『魔法減衰』の効果は付いているが、後者の方が効果は高い。


「サクラはどうして戻ってきたんだ?」

「それはもちろんアルノード……たちのおかげで防衛に余裕ができたからな。王都での色んな工作が必要な私は、一度戻らせてもらったのだ」


 サクラは王国騎士団所属の『聖騎士』だが、そこらへんは結構融通が利くらしい。

 まぁ侯爵家の娘だし、色々と配慮はされるよな。


 たしかにアイシア殿下が俺に誘いをかけたことからもわかるように、今王都では色んな蠢動が起こっているはず。

 となればアルスノヴァ侯爵の血を引くサクラが活躍できる場面は、たしかに多いだろう。


 サクラもかなり身ぎれいにはしているんだろうが、急いでここまでやって来たからか以前と比べるとどうしても汚れてしまっている。


 浄化ピュリファイをかけてあげると、彼女は「んっ……」というドキッとするような声を出した。


 な、なんだろう。

 この部屋に来てから、俺ずっと変にドキドキしている気がする。


 『辺境サンゴ』の女の子たちと離れ、男所帯での生活が続いたせいだろうか。

 王都へやって来るまでの短時間でこんなことになってしまうのなら、俺が普通の軍隊にでもいたら大変なことになっていたかもしれない。

 かしましいとは思ってはいるけど、やっぱり『辺境サンゴ』と一緒にいることができてよかったな。


「俺もしばらくの間、王都で暇してるんだ。とりあえずここに逗留させてもらうつもりだから、一緒に飯くらいは食えると思うぞ」

「そ、そうか! それはよかった!」


 一緒にご飯が食べられるというだけで、なぜかサクラはすごく嬉しそうな顔をする。

 ……喜んでくれるなら、いいか。


 サクラも忙しい身だろうけど、模擬戦なんかをやってみてもいいかもしれない。

 こんな機会でもないと、なかなか時間も取れないし。

 他の武闘派の隊員がいないから、俺の方も腕がなまりかねないしな。


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