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王女アイシア 1


【side アイシア・ツゥ・リンブル】


「ああっ、もうっ、なんで上手くいかないの!」


 香油を使いさらさらにしてもらった髪を掻き毟り、手当たり次第に目についた物を壊していく。

 けれどそんなことをしても、この胸のもやもやはまったくと言っていいほどに消えてはくれなかった。


 私――リンブル王国第一王女、アイシア・ツゥ・リンブルは選ばれた人間だ。


 私は他のどの子よりも美人だ。

 私は他の王族たちよりも、頭が切れる。

 今まで挫折らしい挫折はしてこなかったし、叶えられない願いは一つとしてなかった。


 けれど今……私は非常に微妙な立場に立たされている。



 私が作ったのは、地方分派という派閥だ。

 これは元々独立独歩の気風の強かった地方貴族たちを、私という御旗の下で一つの勢力にまとめたグループ。


 みんなで目指すのは、もちろん私の新王への即位。

 そのために色々と面倒を見てもらっている。

 その分即位後は多少目をかけてあげなくちゃいけないけど……そんなことは、王になってから考えればいい。


 余所とは違い、リンブルには女性でも王位につける風習がある。

 既に何人もの女王もいたことがあるしね。


 私は、なんとしてでも王になる。

 そして贅沢三昧な暮らしをして……この国で一番の権力者になるのだ!

 その目的になら私は――悪魔とでも、契約をしてみせる。






 女王が誕生するのは王族に男子がいなかった場合やいても後見人が必要なほど幼い場合などに限られる。

 ソルドがいる限り、彼が死にでもしない限り私に王位が回ってくることはない。


 そしてソルドの息子も、そう遠くないうちに元服を終える。

 正常な手段だけでは、私が女王になれる芽は薄かった。


 だから私は悪魔の――地方貴族たちの手を取った。

 彼らからの支援によって、私は王国内で強い発言権を持てるようになった。

 その分、私が即位に成功した暁には見返りを求められている。

 結果地方貴族たちは今にも増して勢いをつけるだろうけど……そんなものは王になれるなら、どうだっていいことよね。


 そして毒を食らわば皿までと、次にデザントの手を取った。

 裏金を回してもらったり、向こうの先進的な魔道具を譲り受けてもらったり。

 向こうも何か考えてるんだろうけど……そんな目論見なんか簡単に打ち破れるはずよね。



 とにかく、まずは王になることだ。

 王になることができたのなら、その後から色々なことを考えればいい。


 私は一番上に立つのが好きだ。

 そして誰かの下に立たされるのが嫌いだ。


 だから私は王になって、リンブルで一番偉い人間になる。

 ならなくちゃいけない……いや、なって当たり前。

 だって私はこんなに美しく、聡明なんだもの。


 私の目論見は、かなり上手くいっていた。

 けれど邪魔が入った。

 そのせいで今はもう、むちゃくちゃよ。

 あの――アルノードとかいう男のせいで!

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