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ソルド殿下


 装備の点検とみんなの健康チェックを終え、ドナシアに戻る。

 事前にシュウたちに魔道具のお披露目会をしていた会場を聞いていたので、みんなを掘っ建て小屋に押し込んで一人で向かった。


 衛兵の誰何を終え中に入ると、俺が見たことないおっさんが居た。

 彼は俺の姿を見つけると、小走りで駆け寄ってくる。

 周囲の人間の反応からして、ここにいる人たちの中ではかなり一目置かれているようだ。


「よぉ、お前がアルノードか。戦いは見させてもらったぞ、よろしく頼むな」

「はっ……アルノードと申します。今は冒険者クラン『辺境サンゴ』のリーダーを務めさせていただいております」

「ああ、そういう堅っ苦しいのはいらない。そういえば名乗ってなかったな、俺はソルド。ソルド・ツゥ・リンブル=デザンテリアだ」

「――っ!?」


 名前を聞いて、俺はビビった。


 この人――王党派のリーダー、第一王子のソルド王太子殿下じゃないか!

 アルスノヴァ侯爵の上司にあたる次期国王だぞ!?


 なんでこの人がこの場にいるんだろう。

 偉い人っていうのはなんかこう……もっと後ろの方で腕組みしてるイメージがあるんだが。 にしてもまったく聞いてなかったぞ……アルスノヴァ侯爵のサプライズなんだろうか。


「失礼しました、まさか殿下がこの場におられるとは思わず」

「ああ、他の奴らには反対されたからお忍びで来た。多分王宮に戻ったら、侍従長にこってりしぼられるだろうな」


 そういって笑う殿下は、いたずらに成功した子供のような無邪気な笑顔を浮かべている。

 年齢は既に三十を超えているはずだが、実年齢よりずいぶんと若く見える。


「東部領土の魔物の掃討はずいぶん進んでいると聞く。実際のところはどんなもんなんだ? 張本人であるアルノードからの話が聞きたい」

「難敵は掃除しましたので、あとの魔物たちはそこらにいる魔物より少々強い程度かと。私たちの魔道具を使っていただければ、防衛は十分に可能だと思います」

「ほう、では報告通りそこまで進んでいるのか。そう遠くないうちに領地を奪い返すことができそうだな、その時にはまた戦働きをしてもらうことになるかもしれんが、よろしく頼む」

「御意に」


 殿下が来たのは俺たちの戦力確認と、ここらへんの実地での調査のためってところか……。

 たしかに一クランに戦闘を任せきりではよろしくない。

 向こうもできれば、さっさと自分たちで守れるようにしておきたいんだろう。


 俺も同じ考えなので、もう少し魔道具造りのペースを上げるか。

 しなくちゃいけないこともまだまだ沢山あるから、誰かに任せられる部分は任せてしまいたいしな。


「これから我ら王党派は躍進する! 一層の奮起を期待するぞ!」


 みなに演説をぶっているソルド王太子殿下は様になっていた。

 王の器があるかどうかとかは俺にはわからないけど……統治者としては、そう悪くないんじゃないだろうか。


 真っ直ぐで、頼もしく、人に頼ることを知っている。

 良い王様の条件を兼ね備えている感じがするぞ。


 ファラド三世みたいな腹芸はあまりできなさそうだけど……そこは配下が補えばいい。

 アルスノヴァ侯爵とソルド殿下のコンビは、少なくともリンブルを率いることができるだけの牽引力がある。


 ――与すると決めたのが、王党派で良かったな。


 俺の帰還後は討伐のお祝いと決起集会を兼ねたパーティーが始まる流れになった。

 『辺境サンゴ』のみんなも、全員とかじゃなければ連れてきていいらしい。

 きっと喜ぶぞ、あいつら。

 俺はるんるん気分で、みなの下へと向かっていく――。

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