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連邦の未来

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 デザント王国を南に進めば、そこはガルシア連邦の領土である。

 ガルシアの自然環境は、それよりも北に位置するどんな国とも異なっている。


 四季はなく、どんな場所も常に生き物に牙を剥くような厳しい気候をしている。

 鼻水が凍り、定期的に足を動かさねば凍傷で切断を余儀なくされるような氷雪エリア。

 定期的に火山が噴火し、火山灰が降り積もり、まともな農作物が育たない活火山エリア。 常に太陽が沈んでいるエリアもあれば、砂漠地帯も存在している。


 このような場所でもなんとか暮らしてきたのが、ガルシア連邦を構成する八つの国家だ。

 連邦は現在、デザントと戦争状態にある。


 彼らは力を合わせ、デザントに対し北部に長く続く砂漠エリアでゲリラ戦を敢行。

 天候に慣れた現地兵を用い相手の物資を焼き、夜襲で睡眠を削り、デザント側の士気を削ぎ続けてきた。

 しかしこのような捨て身の作戦は、戦争の勝敗を曖昧にすることしかできない。

 時間が経つごとに国も民も疲弊し、その負担は他の七ヶ国へとのしかかる。


 今はデザント憎しでまとまってはいるが、連邦もまた決して一枚岩ではない。

 このままではもたないか……そう悲観していた彼らは、急にデザント側の攻勢が弱まったことに気付く。

 そしてガルシア連邦の上層部は調査の結果を聞き、その理由を知ることになる。



「なるほど……トイトブルクの魔物の氾濫に追われているというわけだな」

「リンブルのようになったということですね」


 ガルシア連邦の名は、八つの国名の頭文字を取ったことに由来する。

 八ヶ国の中で盟主とされているのは、garushiaのうちのg――ガンドレア火山国。

 今そのガンドレアにおいて、国の代表が集まり行われる連邦議会が開かれていた。


 各国の重鎮たちは、密偵の調査により、デザントの攻勢が収まった理由が彼の国が東方からの魔物の侵攻と国内での統制から回復するためだと知る。


「しかしそこまで凶悪な魔物をどうやって今までは封じ込めていたというのです?」

「どうやら一人『七師』を放逐したようで、その穴を埋め切れていないようです」

「なんと! 今すぐにでも我がアンドルーに招待状を――」

「狸爺、もう遅いのですよ。リンブルに持っていかれちゃったみたいなのです」

「畜生、あいつら上手くやりやがったな!」


 きっと初めてこの会議を見た人間がいるとすれば、そのあまりの多様性に驚くことだろう。

 髭を生やしたずんぐりむっくりな体型をしたドワーフ。

 長い耳を持ち、恐ろしいほどに整った顔をしたエルフ。

 そしてその隣にいるのは、浅黒い肌と長い耳をしたダークエルフ。

 ぺたんと垂れた狸の耳を持ち、小さな眼鏡を鼻の上に乗せる獣人。

 尻尾を生やし、腹部の怪しげな紋章が丸見えになっている露出度の高い魔族の女性。

 無論、中には普通の人間もいる。

 しかしそのうちの過半数が、非人間種によって構成されていた。


 ガルシア連邦とは、現在のユグド大陸においてあらゆる種族が結託し作り上げた、彼らにとっての楽園である。

 その中には、人間種も含まれている。

 自分たちは人間と同じことはしないと、亜人たちは逃げ込んできた人間種を同胞として受け入れてきたからだ。


 連邦に住まう民たちは、肥沃な土地を追い出され、結果として厳しい気候の中で生きていくことを余儀なくされてきた。

 暮らしぶりは決して楽ではなかったが、この場所は他の国に侵害されることのない彼らにとっての聖域だったのだ。

 彼らが徹底抗戦を行いデザントに下らない理由は、その歴史を紐解けば簡単にわかる。


 デザントにいる非人間種の扱いは、属州民よりなおひどい。

 まともに暮らせている亜人たちは、全体の一%もいないだろう。


 デザントは多神教であり宗教的な排斥はない。

 だが人種差別は歴然と存在しており、見た目が明らかに違う彼ら亜人に対しては常に冷たい態度を取り続けており、奴隷になっている者も多かった。


「魔の森の魔物ですか……いったいどれほど強いのでしょうか」

「我ら連邦の東側に霊峰ヌンがあって助かりましたなぁ」

「然り、正しく霊験あらたかな聖山であるな」


 トイトブルク大森林の魔物は連邦には入ってこない。

 連邦と森を繋ぐ経路には、霊峰ヌンと呼ばれる特殊な山が横たわっているためである。

 どういうわけかヌンは天然の魔物避けとなっており、魔物はヌンの近くに近付いてくるようなことはない。


「しかし攻勢は弱まっただけ、あちらさんはまだまだ攻めてくるつもりのようだけど?」

「リンブルとオケアノスの返答はどうなのだ?」

「……芳しくないですね、どこも静観しているだけです」

「うちは僻地ですし、外交文書を出すのにも一苦労ですからねぇ……」


 ガルシアはゲリラ戦や焦土作戦を行いながら、なんとかして他国と繋がりを持てないかと画策してきた。

 リンブルやオケアノスが戦端を開いてくれれば、デザントもガルシアにだけかかずらっているわけにはいかなくなる。


 三方からデザントを囲い込み、属州の反乱を起こすことで内と外からデザントを壊す。

 これが現在のガルシアがデザントに勝てる、ほとんど唯一の手段であった。


「未だ機は熟せず、か……」

「……」


 皆が暗い顔をしながら黙り込む。

 ガルシアの未来は、未だ先の見えぬ深い闇の中にあった――。

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