表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/244

上位龍討伐戦 1


 そもそもの話、上位龍にしっかりとしたダメージが入るような一撃を放てる人間は少ない。 そのため大隊のメンバーのほとんどは、サポートと牽制の役目を引き受けることになる。


 大型の魔物の厄介な点はとにかくタフネスがすごいところだ。

 なのでこちらは長期戦ができるよう、適度にメンバーを交代し休ませなければならない。


 まずは第一陣、エルル率いる百人隊を使う。

 第一の作戦は、とにかくシルバリィドラゴンと戦いデータを収集すること。

 効率的な攻撃方法の発見が、大物を狩る上では一番大切だ。





『属性攻撃をかたっぱしから撃ち込みなさい! 効果確認の後、即座に離脱!』


 エルルの指示に従い、彼女の部下達が魔法の籠もった攻撃を放っていく。

 俺とセリアは、『辺境サンゴ』から距離を取った場所で二人で戦況を観察していた。

 二人で右耳と左耳でカフを分けあいながら、耳に意識を集中させている。


「にしてもこれ、すごいですねぇ……もう隊長が最前線で戦う必要、ないのではぁ?」

「何かあればすぐ駆けつける必要があるだろ」


 今、俺とセリアの耳にはカフが装着されており、それは後ろにある巨大な箱へと繋がれている。

 そしてカフからは、向こうで戦っているエルルたちの声が流れてきている。


 この箱が、『通信』の魔道具だ。

 現状使うためにはこの箱に常に大量の魔力を充填しておかねばならず、通信を行うごとにそれをバカスカ消費してしまうため燃費はすこぶる悪い。


 ちなみに前線には、これよりもう一回り大きい『通信』の魔道具が固定して設置されている。

 ドナシアにいる貴族たちに何をしているかを見せるための魔道具だな。


 でもこれ……想像していたよりずっと有用だ。

 遠見の魔法で向こうの状況を見ることはできたが、俺から向こうに連絡を取る手段はなかった。


 だがこの魔道具なら送受信が可能なので、俺からエルルへ連絡を取ることもできる。

 技術的な問題で、エルルたち百人隊長が持つ親機としか双方向通信ができないが、それでも十分だろう。


 ちなみに映像が届くものは送信だけで、かつ一つしかできていないので、音声のみの送受信だ。

 俺は遠見のクレボヤンスの魔法で、セリアは使い魔との感覚同調で戦場を俯瞰している。




 属性のついた魔法が放てる『魔法筒』に属性付与が成されたマジックウェポンのナイフ等色々な飛び道具が飛んでいき、各員が己の攻撃の戦果を報告する。


『投げナイフ、火属性のみ効果有り!』

『初級魔法攻撃、どれも通りません!』

『中級火魔法のみ効果有り、効力射を継続します!』


 エルルの部下たちが彼女へしている報告を、反芻する。

 どうやら魔法攻撃は、ある程度威力の高い……具体的には中級以上の威力のある火魔法だけが、ドラゴンに傷をつけることができたようだ。

 ただし投げナイフのような属性付きのマジックウェポンであれば、付与される魔法の強弱にかかわらずダメージは入ると……。


 要はマジックウェポンか威力高めの魔法でしか傷がつかないってことだな。

 そして弱点属性は火と。

 そこらへんも見たまんまって感じだ。


「gyaaaaaaa!」


 シルバリィドラゴンは闇雲に動き回り爪や尻尾を振り回しているが、被害報告は入ってこない。

 つまり、攻撃はまったく当たっていないのだ。

 そのカラクリは、先ほど使わせた『闇玉』である。


 これは使い捨ての魔道具で魔力によって生み出した黒い煙幕を周囲に放射する効果を持つ。 現在シルバリィドラゴンの周囲は、真っ黒な靄で覆われていることだろう。

 更に言えばこの『闇玉』には偽物の魔力反応を大量に生み出すデコイのような効果もあるため、ドラゴンはエルルたちを捉えることができない。


 結果として龍は視界が回復しないままに、闇雲に攻撃を加えている。

 対しエルル率いる部隊はその攻撃を誰一人食らうことなく、相手に対して一方的な攻勢を続けている。


 その理由は、彼女たちがつけているゴーグル型の魔道具『見え見え発見君』。

 事前に用意していたこれを使えば、『闇玉』が続く限りエルルたちだけが連続して攻撃を続けることができる。


『近接部隊は各部位ごとの剣の通りやすさを報告しなさい!』


 エルルは戦果を焦らず、自分たちに与えられた仕事を着々とこなしていく。

 各員にドラゴンの身体を攻撃させ、有効部位を探す。

 そして同時並行で、どの程度の威力ならば斬撃が通るのかの検証も行わせていた。


『アルノード様、どうやら下腹部が一番もろいようです。柔らかい順に腹、腕、背中、尻尾です』

「了解。セリア、出番だ」

「はいはぁい、みなさんお仕事しましょうねぇ」


 一当てして検証を終えたら、ここからは消耗戦。

 まずは消費しても痛くないアンデッドたちで、可能な限り相手の体力を削らせてもらう。

【しんこからのお願い】

この小説を読んで


「面白い!」

「続きが気になる!」

「このまま押し切れ!」


と少しでも思ったら、↓の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!


あなたの応援が、しんこの更新の原動力になります!

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ