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現着


 というわけで俺たち本隊は、道中で『辺境サンゴ』のメンバーを適宜回収しながら、ミンディへ向かうことになった。


 ガンドレア火山国に入るなり感じることになったのは、やはり強烈な熱気だ。


「うへぇ、死ぬぅ……溶けてなくなるぅ……」


 この熱さに、魔道具で温度を調節しているにもかかわらず、セリアがダウンしてしまった。

 けど恐らく、というか間違いなくミンディ攻略には彼女の力が必要になる。


 魔導技術でも人的なリソースでも、ガンドレアには相当なビハインドがある。

 それを覆す圧倒的な物量を出すことができるのは、『辺境サンゴ』でも俺とセリアの二人だけだからだ。


 現地に到着する前に、なんとかして身体を馴らしてもらいたいところだ。

 彼女は低気圧が来たり、雨が降ったり、急に気候が変わったりするとすぐにこんな風に使い物にならなくなってしまう。


「たしかに熱いな……」

「システナとはまた違った熱さだよな、ちょっとジメッとしてるし」


 サクラの言葉に頷きながら、水筒を手渡してやる。

 冷たいお茶を飲む彼女の喉元がなまめかしく動く。

 仕事モードに意識を切り替えていなければ、動揺していたかもしれない。


 システナの暑さは、気付けば汗が流れ、流れた汗が熱で乾いて白い線になるような、カラッとした暑さだった。

 大してガンドレアのそれは、どちらかといえば熱帯雨林なんかのような、じめっとした暑さだ。

 先ほどまでアンドルーで手がかじかんでいたのが嘘のように、ダラダラと汗が流れてくる。

「しかし、見た目的にはアンドルーとさほど変わらないのが不思議なところだ」

「火山灰を見るのは初めてか?」

「ああ、リンブルに活火山はないからな」


 サクラが喉のあたりを、グッと手の甲で拭う。

 俺、セリア、そしてサクラ。


 今回ミンディへ向かう主要メンバーは以上の三人だ。

 道中拾えるメンバーを合わせても、その数は五十人を超えないだろう。


 他の四百五十人は、各地に振っている。

 ちなみにダンテさんたち獣人も、あちらに向かってもらっている。

 戦い方を見るのなら、魔法と魔道具を使う俺たちより、あちらのやり方の方が今後の参考になるだろうからな。


 というか入ってわかったんだが、ガンドレア……かなりヤバそうだ。

 各地での戦線が押し上げられすぎて、ミンディ以外のところに戦力を分けないと、マジで詰みかねない状況なのである。


 俺だって、本当ならもうちょっと戦力が欲しかったさ……。



 現状、ガルシア連邦との戦争が長引き、ガルシア側がゲリラ戦法を採っていたこともあり、デザントの兵は各地に散っている。

 大隊、あるいは百人部隊規模の少数の兵のリーダーたちが、かなりの裁量を持ち命令の範疇で好きなように動く分散進撃の戦法を採っている。


 そのため軍隊が一つ一つ街を潰していくのではなく、小規模な衝突が各地で起こっている状態になっているのだ。


 長く続く過酷な環境下での対ゲリラ戦でかなり疲弊している者も多く、デザントの部隊の中には厭戦ムードが漂っているところも少なくないという。

 エンヴィーたちには、そこらへんの意識に訴えかけるような作戦や魔道具を授けている。


 卑怯な手だろうが嫌らしい手だろうがどんなものでも使い、なんとしてでもここから巻き返す。

 そのためにもまずは、デザントの希望になっているミンディを落とし、彼らを絶望させてやらなくちゃならない。


「しかし、火山灰のおかげで視認されずらいのは助かるな」


 ガンドレアにはいくつもの活火山が存在し、大体の地域に火山灰が降り注いでいる。

 おかげで足跡から存在が露見するようなこともなく、敵に見つからずすいすいと進んでいける。


 灰に遮られ、太陽光を浴びる量が少なくとも育つガンドレアでは、地域特有の麦や野菜などが栽培されている。


 こういう作物がもしリンブルでも育てることができれば、飢饉対策用に重宝すると思うんだが、残念ながら時間がない。

 今が有事でなければじっくりと観察しておきたかったな。

 ミンディを落とした暁には、空いた時間でガンドレアのことをもう少ししっかりと調べることができたらと思う。


 俺たちがヒーヒー言いながらガンドレアを進んでいくと、とうとうミンディが見えてきた。

 そこにあったのは……。


「おお……流石ドワーフの国、ガンドレアだな」


 ガンドレア火山国の主要種族であるドワーフたちが築き上げた、見事なまでの堅牢な要塞だった――。

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