ここで
「アルノードさんっ!」
「お久しぶりですっ!」
連絡が取れるようになればこっちのものだ。
クランメンバーたちと連絡が取れるようになったのは、そろそろガンドレアとの国境線が見えるかどうかというあたり。
というわけで、両国の国境沿いで話を聞かせてもらうことにした。
俺を出迎えてくれたのは、双子のミミィとリリィだ。
相変わらず、成人しているとは思えないスモールサイズである。
「それじゃあ」
「またあとでっ!」
それだけ言うと、二人は出て行ってしまった。
何をするのかと思い見ていると、俺が引き連れてきた獣人たちのところまで駆けていき、彼らの耳を引っ張ったり尻尾を掴んだり始めた。
やりたい放題の二人を捕まえようとするが、残念ながらミミィとリリィの素早さは『辺境サンゴ』の中でもピカイチ。
結局獣人たちは、されるがまま耳をいいように弄ばれていた。
もちろん、ミミィたちが蹂躙している様子をただぼーっと眺めていたわけではない。
隊員からの報告を、脳内でまとめている最中だ。
まず現状に関してだが、デザントはやはり七師の投入は行ってはいないらしい。
けれどかなりの物量をガルシア対策に注ぎ込んでいるらしく、現在ガンドレアでは、デザント式の要塞の建築が進んでいるという。
落とした街の中で一番大きかった規模のミンディという街が、以前シュウにリンブルでやらせたような、ゴーレムを利用した要塞化の最中ということだった。
デザントはミンディを橋頭堡としてそこに物資を集中させながら、そのまま前線を押し上げようとしているらしい。
要塞化がそこまで進んでいないのには、恐らく俺たちがやってきた補給潰しもある程度効いているだろう。
さて、俺たちがシステナで粘っていた間、他のクランメンバーたちは何をしていたか。
彼女たちはどうやら、各地を転戦するという選択肢を採ったらしい。
今集まっているクランメンバーが力を合わせても、ミンディを落とすには力不足。
故に俺が来るまでは自分たちにできることをしようと、各地の不利な戦場へ出向き活躍をしているということだった。
おかげで持ち直した場所もあり、中には目立ちすぎて現地で存在感を示しまくっているやつもいるとかいないとか……。
だが現状はあまり芳しくない。
定期的に連絡を取っているところ、既に後退しなければいけないところがちらほらと出てき始めているらしい。
やはりガンドレアは、かなりの劣勢に陥っているらしい。
「さて、どうするのがいいか……」
俺たち『辺境サンゴ』の主力がこちらにやって来ることで、取れる選択肢は増えた。
システナとアンドルーの道中に色々と世話をしたおかげもあり、補給は以前より更に滞っているはずだ。
今ミンディを落とすことができれば、デザントはかなり苦しくならざるを得ない。
ただ、劣勢の戦地を駆けて挽回しに行くという手もある。
デザントとガルシアの戦いは、殲滅戦に近い。
大局的に勝てるとなった場合でも、各地で起こる悲劇とその損害は無視し得ないものがあるう。
少し考えてから、決定を下す。
ここから挽回することは十分に可能と判断する。
俺たちなら誰一人欠けることなく、ミッションを達成できるはずだ。
「よし、二手に分かれるぞ。俺率いる本隊は、ミンディを落としに行く。そしてエルル率いる分隊は、とにかく被害のこれ以上の拡大を食い止めてくれ」
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