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 俺達はダンテさんの下で統率された獣人部隊を率いて、氷雪国アンドルーを縦断することになった。

 他の者達にも気力を仕込みながら、それの慣らし運転も兼ねて気力を使って移動や耐寒を行ってもらう。


 気力の主な効果は身体強化だが、それ以外にもある程度の耐熱や耐寒、耐毒などの副次的な効果が見込める。

 気力は使えば使うだけ練度が上がる。

 今後、俺たちと分かれてからもある程度戦うことができるよう、鍛えあげながらの強行軍だ。


 道中、セリアが使い魔を用い、俺がクレボヤンスを使い様子を探る。

 アンドルーからガンドレアへと抜ける道も半ばほどまで来たが、『辺境サンゴ』の人間の姿は未だ一人として見ていない。

 やはり、俺たちより先にガンドレアに向かっていると考えるのが自然だろう。


 ただダークエルフの時とは違い、獣人たちに実地でデザントの輜重兵たちを襲わせることはしない。

 今回は向こうの数を減らすことよりも、こちらの数を増やすことを優先させる。


 ダンテさんは流石アンドルーを取り纏めているだけのことはあり、アンドルーにいる獣人たちのおおよその居場所を把握している。

 俺達は現在ある程度現状を確認したり、支援をしたりしながら進んでいく形を取っている。 なるべく最短距離を進めるよう、地図とにらめっこをしながらの毎日だ。


「一つ質問をいいでしょうか、ダンテさん」

「気兼ねなく聞いてくれ、救世主殿」


 俺が行く先々で支援物資を配るものだから、気付けばダンテさんにそんな呼び方をされるようになっている。

 デザントの奴らからぶんどった略奪品をあげてるだけだから、ちょっと心がチクリとしないでもない。


「見ている限り、獣人たちには気力を扱うだけの素養があるように思える。だというのにどうして、気力使いの数がこれほど少ないんでしょうか。こうして一度教えれば、使い手の数はかなり増えているように思えるのですが」

「なに、それは間違いなくアルノード殿に触発されてのことだろう」

「自分に、ですか?」


 気力使いというのは、一度気力の使うまでが大変だというのは有名な話だ。

 けれど思い返してみると、俺の周りに気力が使えなくて困っているという人間は、セリアやシュウのような自分から学ばないという選択をしたやつを除くと、ほとんどいなかった。


 だから俺は気力を使えるようになるのは簡単だと、心のどこかで考えていた。

 だがどうやら、気力をしっかりと扱えるようになるのは、世間一般で言われているように、そこまで簡単なものではないという。


「気力の扱いができるようになるには、気力の扱いに長けた人間がつきっきりで長い期間教える必要がある。そして仮に扱えるようになったところで、その技術がまともに使えるようになるまでに更に数年はかかる。それならば獣人が元来持っている、魔力による身体強化を極めていった方がいいだろうというのが、気力が使える獣人たちの考え方だったわけだな」

「自分のおかげで、期間を短縮できているということですか?」

「いかにも。気力の難しいところは、気力は伸びるが伸ばすために、死地をくぐり抜けなければならないところにある。簡単に言えばアルノード殿は、俺たち獣人に死を覚悟させるだけの男だからな! 皆の上達が早いこと早いこと!」


 『辺境サンゴ』のみんなも、ダークエルフのダナさんたちも、気力を一度教えてから使えるようになるまでは非常に速かった。

 どうやらそのスピードの理由は、俺にあったらしい。


 死を覚悟させるほど強烈な闘気を持ち、自分たちを導いてくれる存在。

 そう言った人物がいれば、気力の力は急速に普及することができる……ということなのか。 とすればガルシアとデザントの戦いで……俺たち『辺境サンゴ』にできることは、いくらでも探せそうだな。


「ガルシアの方たちに片っ端から気力を教えていけば、デザントも相当に手こずることでしょうね」

「ガッハッハッ! できることなら是非お願いしたいところだな! まあガンドレアをなんとかしてからの話にはなるだろうが!」

『ガー……ガガー……聞こえますか、隊長?』


 ダンテさんと話をしている最中、『通信』の魔道具がとうとう反応を示した。

 どうやら『辺境サンゴ』のみんながいるあたりまで、ようやっと追いついたらしい。

 まずは合流して話を聞いてから、他の仲間を集めながら先へ進んでいこう。

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