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どうですか


 デザント兵たちの兵装を確認する。

 その出で立ちはローブ姿。

 探知魔法を使って確認してみると魔力量はかなり高いが、気力量はたかがしれている。

 気力ではなく魔力で戦う、純粋な魔導師タイプだ。


 向こうは探知魔法は使えぬようで、こちらの接近には気付いていない。

 まあ使えるようになるまでの労力と使う時の面倒さなんかを勘案するとコスパ悪いからな、探知魔法って。


 魔導師はこれがあるから、面倒でも探知魔法を覚えておいた方がいいんだよな。

 もしくは、気力の扱いになれて気力感知を使えるようになるパターンでも問題はない。


「な、なんだお前らっ!?」


 向こうがこちらの接近に気付いたのは、こちらがかなり接近してからのことだった。


 さて、今までダークエルフは追われる兎の側で、彼らが狩人だった。

 今はその立場は逆転しているため、戦局による精神的な優位も見込めない。


 ダークエルフ達のお手並み拝見、といかせてもらうか。

 俺は途中で先頭をダナさんに代わってもらい、いつでも援護できる姿勢だけは維持しつつ観察する体勢に入った。


 向こうの魔導師は、ダークエルフ達の接近に気付いてからすぐに魔法を発動させた。

 ほう、展開速度はなかなかのものだな。

 あれは……マジックバリアか、ほとんど間も置かずに身体強化も使った。


 俺が知っている一般的なデザントの魔法兵より、ずいぶんと優秀だ。

 向こうの兵たちも、ガルシアでの戦闘を続けるうちに強くなっているのかもしれない。

 

 対するダナさん達も、既に身体強化は使っている。

 となると、あとは練度と出力勝負になるはずだ。


「はああああっっ!」


 ダナさんは腰に提げた片手剣を相手目掛けて投擲する。


「――なっ!?」


 今から接近戦を行うとばかり思っていた相手はダナさんの突拍子もない行動に一瞬動きを止めた。

 そしてその一瞬で、ダナさんは相手の懐に潜り込んでいる。


 トンッ!


 まるで軽く肩を叩くかのような一撃。

 けれどその手のひらには、かなりの量の魔力が乗っていた。


 あれは、魔法……なのか?


 手のひらが相手の魔法使いの胸に当たる。

 そして――。


 ドッッ!


 相手の背中側のローブが弾け飛ぶ。

 そしてダナさんの魔力と反発するかのように、地面をバウンドしながら吹っ飛んでいった。

 あれは……魔法、だよな。

 手のひらのあたりに魔力が渦巻いていることからも、ただの打撃じゃないのは間違いない。

 体内の魔力を、相手の内側に浸透させてから爆発させる魔法か。

 パッと見ただけじゃ、完全な仕組みまでは理解できないな。


 おまけに彼女の動きはかなり洗練されている。

 多分なんらかの拳法を修めているな、あれは。


「ちいっ!」


「怯むな! 今、数的有利があるのは我らだ!」


 ダナさんは続いて他の魔法使いの方へと向かう。

 彼女に負けじと、他のダークエルフたちも駆けていた。

 全員がかなりの練度で身体強化を使いこなせるようで、向こうが対応するよりも、ダークエルフたちが近距離戦に持ち込む方が早い。


 向こうの兵も負けじと魔法を使って応戦するが、残念ながら俺が渡した鎧には全属性の耐性が付与されている。

 こいつを使えば、相手の魔法を食らっても即座に動けなくなるような傷を負うこともない。

「なっ!?」


「あぐっ!?」


「ぐうっ!?」


 そしてどうやらダークエルフたちは皆体系化された拳法を操るようで、接近戦に持ち込んでしまえばあとは一方的だった。


 身体強化の出力自体はデザント兵たちの方が高い。

 恐らく身体強化で距離を取られて遠距離でチクチクやって倒すというやり方なんだろうが……俺印の装備を使えばそんな方法は使えないからな。


 結果として体捌きや砂漠地帯への慣れなどの総合的な点からダークエルフたちはあっという間にデザント兵に取り付くことに成功し。


 ダークエルフたちも四属性の魔法は使わず、身体強化とあの相手の身体の中へ直接魔力を打ち込むあの技だけで、あっという間にデザント兵をのしてしまった。


 けど、ダークエルフたちの戦い方はこういう感じなんだな。

 多彩な魔法で敵を翻弄したり、魔法の出力差で押しつぶしたりエルフとはずいぶんと違う。

 どちらかというとノリも体育会系だし……結構、俺好みかもしれない。


 それにみな、細身ながらもかなり身体を鍛え込んでいるのがわかった。

 彼ら……結構簡単に、気力の扱いをマスターできるんじゃないか?


 それにもしかしたら……いや、考えすぎか。


「どうですか、アルノードさん?」

「お見それしました」


 俺がそう言うと、額に汗掻くダナさんはにっこりと太陽のような笑みを浮かべるのだった――。

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