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未来


「アルノードさん……」

「どうも、月が綺麗ですね」


 並び立ち、なんとはなしに遠くを見つめる。

 けどそれだけでは間が持たず、気が付けば俺もダナさんも二人で空を見上げていた。

 人の数が少ないからか、夜の星空は俺が知っているものよりもずっと綺麗だった。


「ガルシアはどうなってしまうのでしょうか……」

「そう、ですね……」


 ガルシア連邦の未来は暗い。

 既に連邦のうちの二つの国が敗北しているし、恐らくもうそう遠くないうちに、連邦という枠組みが機能しなくなることも考えられる。


 ガルシア連邦が瓦解してしまえば、リンブルの未来にも陰りが出るだろう。

 ソルド王が狙っていたのは、デザントの孤立とガルシア・リンブル・オケアノスの三国でデザント包囲網を作ることだ。


 リンブルの魔法技術は、上がってきてはいる。だが単体でデザントと対応できるだけの力はない。

 それ故の同盟と魔法技術の供与だったわけだ。


 トイトブルク大森林の魔物の逆侵攻や長年のガルシアでのゲリラ戦により、デザントの経済力と兵力は確実に限界に近付いている。

 恐らくあと何年かすれば、純粋な技術だけでいけばリンブルが肩を並べることができるはずだ。


 となればリンブルがやらなければいけないのは、時間稼ぎである。

 というわけで、とにかくガルシア連邦に潰れてもらっては困るのだ。


 ……本当に俺が根っからのリンブルの人間であれば、リンブルが一人勝ちするような形を貪欲に狙いにいったかもしれないが。

 あいにく俺はデザント出身の外様の人間だし、愛国心みたいなものはさして強くない。

 それにガルシアが潰れたら、ガルシアに住む人間は困るだろうし、デザントだって次にどんな動きをするかはわからない。


 で、あれば。

 やるべきことは一つ。


 総力を以て――ガルシア連邦から、デザントの奴らを追い返す。

 ガルシア連邦との戦いに。『七師』の投入があるかどうかは定かではない。

 ただそろそろ大詰めに差し掛かっているという自覚は、デザント側にはあるだろう。

 多分だが……そう低くない確率で『七師』も出張ってくるはずだ。

 俺たちが『七師』を相手取ることも、ちゃんと考えなくちゃいけない。


 もちろんその場合は……真っ向から戦わずに、事前準備を重ねた上で、『七師』を着実に消す。


 ここはリンブルではないから、採れる手段は格段に増えている。

 最悪ガルシアが潰れない範囲で、彼らの兵を当てて『七師』を探る……みたいなことも十分可能だ。


 事前情報がない『七師』とのぶっつけ本番だと勝率はまた変わってくるだろうが……今ならもう、断言できる。


 俺は『七師』の中では地味な活躍しかしてこなかった。

 けれど仲間と力を合わせさえすれば、俺の牙は着実に他の『七師』へと届く。


 なにせ『七師』最強とされていた『強欲』のウルスムスを倒せたんだ。

 『暴食』のアリステラだろうが『色欲』のガーベラだろうが、倒してみせるさ。


 さて、それなら善は急げだな。

 俺は『いっぱいハイール君』に手を突っ込み……中から一式の鎧を取り出した。


「ダナさん。俺はガルシアを守るために、自分にできることをするつもりです」

「……はい」

「ですからダナさん達にも、是非とも協力をお願いしたい。一緒にデザントを追い返しましょう」

「アルノードさん……はいっ!」


 こうして俺は現地人の協力者たちと共に、デザント兵たちへと挑むことになるのだった――。

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