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蜂起


 俺は辺境伯から許可を取り、急いでみんなと合流することにした。


 幸いなことに、街の様子はまったく変わらなかった。

 早駆けの伝令が急ぎで伝えてくれたおかげだろう、彼にはゆっくりと眠ってもらいたい。


 首都ランドリアを東に抜けたところにある、ランドル辺境伯領の中でも屈指の穀物貯蔵庫であるディカンティウム。

 辺境伯の一人息子であるジョットは、そこで蹶起をしたらしい。


 それに呼応して、各地で現状に不満を抱えている不穏分子達も一斉に蜂起し始めたみたいだ。

 今はまだそれが領外に広がってはいないが、早急に鎮圧しなければ蜂起が各地で起きかねない。

 アイシア殿下を蹴落とし、地方分派を瓦解させることができたとはいっても、現状の体勢はとてもじゃないけど盤石とは言いがたい。


 下手に蜂起が起きて統治に不安を感じさせるなことになれば、どこから綻びが生まれるかわからないからな。


「で、どうするんです?」

「もちろん動く。俺達はまだソルド殿下の名代扱いのままだから、これを利用させてもらうことにしよう」


 有事の際に備え、帰還するまでは名代としての権限は譲渡されたままという形になっている。

 ここは辺境伯領だからある程度制限はされるだろうが、そこにオリハルコン級冒険者といいう肩書きが合わさればできることはかなり増えるだろう。


 仕込みをしていて助かったってところか。

 蜂起するとまでは思っていなかったが、後でこれが効いてくることになるだろう。


「全速力でディカンティウムへ向かう。後のことはまあ……臨機応変に行こう」

「いきあたりばったりってことですね」


 ……仕方ないだろ。

 俺は魔物相手の戦いなら得意だが、人間同士の権力闘争は苦手なんだ。








 いつものようにすぐにへばってしまうセリアを肩に乗せながら、ディカンティウムへとやってきた。

 やってきた、といってももちろん街の中に入れたわけじゃない。

 向こうの衛兵に見つからないくらいのところに待機して、中の様子を窺うことにした。


「クレボヤンス……おお、結構な数の兵がいるな」


 遠見の魔法を使って街の中を覗く。

 どうやらクレボヤンスを阻害する類の結界は張っていないようで、問題なく中の景色を見ることができた。


 兵隊の数は、一つの街にしては異常なほど多く、その数は二千近い。

 装備を見てみた感じ、どうやら全員が正規兵というわけではなく、農民達からの徴集兵も混ざっているようだ。


 街の住民の様子は明らかに困惑の色が強い。

 街の内外への往来にも制限がかかっているようで、そろそろ食料配給が始まろうかといった感じだ。


 本格的に戦争の準備をしている感じだな。

 上から下まで団結しているとは言いがたいが、上から言われたことには従っとこうと思うくらいには民からの信望もあると。


 さて、どうするべきか。


 極論を言えば、俺達が街の外へ打って出た兵士達を皆殺しにしてしまえば反乱は解決する。 でもそれをやっちゃうとちょっとばかしマズい。

 外聞が悪いのはまあどうとでもなるからいいとして、恐らく半分を超える男手を失ったらランドル辺境伯領が一気に弱体化してしまう。

 大量の未亡人や孤児も生まれることになるだろうし、それは避けたい。


 となればやはり……直接出向くしかないか。


「ちょっとばかし予定は変更したが、当初の目的を達成することにしよう。ランドル辺境伯の長子を捕縛して王都まで連れて行く」


 ランドル辺境伯には申し訳ないが、反旗を翻した時点で斬首は確定だ。

 自分の首を切るつもりだった辺境伯には、もうしばらく頑張ってもらおう。


 それに息子は一人とはいえリンブルなら貴族は女系でも許される。

 家格は落ちるかもしれないが、家が存続できるよう俺の方もソルド殿下に一筆添えることにしよう。

 俺は辺境伯みたいな武張った人は……嫌いじゃないからさ。


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