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王様ゲーム 1


 今回の王様ゲーム、その参加メンバーを紹介していこう。


 まずは発起人である俺。

 そしてエンヴィー・マリアベル・セリア・エルル・ライライの元隊長達に、新メンバーのサクラを入れて六人。


 そこにもう三人……俺と同じ屋敷にいる面子が入る形である。


「それではまずは私が最初に」


 一人目はヨリーレ。

 スラッとした形の眼鏡をかけている、いかにも真面目そうな女性だ。


 曲がったことが大嫌いな、職場の事務仕事とかでブイブイ言わせてそうなタイプである。


「それじゃあ次は僕だねっ!」


 ポニーテールを揺らしながら棒を抜いたのはイオ。

 元気っ娘で身長がちっちゃめ。


 多分小さい頃とかは、男の子に混じってちゃんばらごっことかをしていたタイプだ。


「おーっほっほ、次は私ですわね!」


 三人目はマフィン。

 サクラやオウカなんかよりも物凄いお嬢様言葉を使うくせに、実家はゴリゴリの農民という面白い女の子だ。


 高飛車なお嬢様みたいな態度を崩さないが、実は結構交友関係が広い。

 多分、実際の所はめっちゃいい子なんだと思う。


 そこに俺を合わせた十人が、今回の参加メンバーだ。


 本来なら『七師』で結構すごいはずの俺が、一番キャラが薄く感じてしまうこってり具合だ。

 正しく粒ぞろいと言える。


 エンヴィーたちもどんどんと棒を取っていき、俺は最後に残った一本を選択。

 みんな俺が指定していた通り、棒の下の部分は隠してくれている。


「それじゃあ行くぞ。せーのっ――」

「「「王様だーれだっ!」」」


 下に書かれているものを確認――そこにあったのは六の文字。


 くそっ、王様じゃなかったか。

 いったい誰が――。


「私が王様ですわぁーーっ!」

「じょ、女王様だ! マフィン女王!」

「おーっほっほっほ!」

「わっ、僕は三番だったよ!」


 一番それっぽい人に当たったな!

 そしてイオ、それを言っちゃうのはルール違反だぞ!


「こほん、えーっとそれでは……五番が最近あった一番嬉しかった話をしてくださいませ」


 マフィンは見た目と言動を除けば良識のある子なので、イオのポカは見なかったフリをするらしい。

 そういうところ、ホント常識人だよな。


 五番は誰か……と思いみなが視線をさまよわせると、エルルが手を挙げる。


「え、ええっと……」


 エルルはきょろきょろと周りにいる面子に目を向けてから、次に俺を見て、ちょっとだけ頬を赤らめる。


 ――なぜかわからんが、嫌な予感がした。

 さぶいぼが立ち、俺の本能がそれはダメだと警告する。


 俺を見てはにかむエルルを見て、彼女が何を言うつもりか察してしまった。

 止めようと思ったが……残念なことに間に合いそうにない。


「アルノードさんと手を繋いだこと……ですっ」


 ポッと頬を赤らめて言うエルル。

 彼女の言葉に、誇張抜きでその場が凍った。


 そして氷点下のようになった室内を、静けさが包み込む。


「隊長……?」

「そ、それはどういう……」

「――ごくり」


 これは俺に説明義務があるんだろうか……。

 なぜ王様ゲーム一発目から、こんな波乱の展開に……。


 当たり障りのない説明(エルルの告白は除く)を終えて、再び箱の中に棒を入れる。

 先が思いやられる展開だ。


「「「王様だーれだ!」」」


 俺の番号は――二番、残念ながらまた王様にはなれなかった。


「お、私が王様ネ」


 今回王様になったのはライライだった。

 彼女は既にほろ酔いのようで、真っ白な頬がわずかにバラ色になっている。


 なぜだろうか。

 彼女の命令が、ろくでもないものになる気しかしないんだが。


「えっとそれじゃあネ――全員、酒を一杯飲む!」


 王様の言うことは絶対ネと言いながら、ライライが皆の前に杯を置き、酒を注いでいく。

 一杯を並々と……しかもこれ、ワインだ。


 ぺろりと舐めてみると、水を混ぜている感じもしない。

 結構度数高いぞ、ホントに大丈夫か?


 みんながライライに言われるがまま、酒を飲み始める。

 俺、彼女たちがどれくらい酒に強いかは知らないんだが……これ三回目以降、どうなるんだ?


 みなは酒を飲み干すと、明らかに異常を来し始める。

 目が据わっていたり、笑っていたり、既になぜか泣き顔になっている子まで……。


 どうしよう、既にヤバい気配しかしないぞ……。



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