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気付き

「緊急事態です!」


 ダンッと机を思い切り叩くのはエンヴィーである。

 彼女はアルノードがソルドと話している最中、クランハウスの中にいる面々に対し招集をかけていた。


「ふあぁ……」

「いきなりそんなことを言われても……」

「帰っていいですかぁ?」


 彼女が呼び出したのは屋敷の中にいる全員なので、マリアベルたちを始めとする『辺境サンゴ』の幹部たちだけではない。

 その横を見てみれば、合わせて三十人近い屋敷の住人たちほとんど全てが揃っていた。


 例外はシュウたちを始めとする男衆とエルルだけである。

 エルルは最近明らかに調子がおかしいので、今回は呼んでいない。

 つまりこの場にいるのは、彼女を除いた女性陣だけである。


「既に王都を離れてからしばらく経っているというのに、私たちの関係にまったく進展がありません! だというのに最近アルノードさんはヨルたちなんかとよく談笑をしています! これは差別です、格差は今すぐ撤廃しなくては!」

「下の意見をよく吸い上げるというのはぁ、良い上司の条件なのではないですかぁ?」

「このままは良くないわ! なんとしてでも隊長の気を私たちの方に繋ぎ止めなくちゃ!」


 エンヴィーは堅苦しい言葉遣いにはすぐに限界がきたので、いつもの調子に戻す。

 彼女の言葉に頷く者もいれば、なんとも言えない顔をしている者もいた。


 前者は今までアルノードと深い関わりがあった子たちであり、そして後者はガードナーになってきてからアルノードとよく話すようになった子たちだ。


 みながガードナーに来てからのアルノードの変化には気付いていた。

 彼はここに来てから、前と比べるとぼーっとする時間が増えていた。


 仕事一心で来ていたというのにすることがなくなり、自分の時間が増えた結果、それをどう使えばいいかわからなくなってしまったのだろう、というのがエンヴィーの推測である。


 そしてアルノードは時間が余り、その時間を自分たちとの交流に使ってくれるかと思っていたのだが……残念ながらそうはならなかった。


 彼は空いた時間を使い、今まで交流をあまりしてこなかったクランメンバーたちと食事をしたり、談笑をしたりするようになってしまったのだ!


 無論エンヴィーたちのことを無視しているわけでも、彼女たちに対してまったく時間を割いていないというわけでもない。

 彼女たちに使う時間は、おおむね普段と変わらない。

 そして結果として関係も、今までとまったく変わらない。


(このままでは、ヤバいかもしれない。アルノードさんを、他の女の子に持っていかれちゃうかも!)


 アルノード隊長やアルノード様をやめ、これからはアルノードさん付けで呼びなさいという通達があってから、エンヴィーの焦りは更に増していた。


 今まで触れ合ってこなかった、というか上司で『七師』なせいで自分なんかが恐れ多い……と思っていたクランメンバーとの距離が、アルノードが自身から積極的に動くようになったことで明らかに縮み始めていたのである。


 別にアルノードは以前から厳格なリーダーという感じでもなかったが、そこまで熱心に部下と関わりを持つようなタイプでもなかった。

 そしてそれをいいことに、エンヴィーたちも彼を他の隊員たちとあまり近付けてはこなかった。


 任務の時や有事の際はある程度シャットアウトをしても、アルノードの邪魔をしないようにという大義名分が立っていたが、残念ながら今はガードナーでスローライフを送っている最中。

 下手に遮るわけにもいかず、アルノードは自らの赴くままにメンバーと関わるようになった。


 そしてメンバーたちが……気付いてしまったのだ。

 アルノードの魅力に。



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