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大切

「私たちの方も一応ありますよ」

「今より良い条件を出すから専属冒険者になってくれとかが多いですかねぇ」

「あと、お妾さんにならないかって誘いも受けました!」


 ふむふむ、こっちもまあ予想通りだな。

 女性騎士はそもそもの数が少ない。

 サクラが『聖騎士』になることができていたのも、父親であるアルスノヴァ侯爵の力がかなり強いから、バランスを取るためっていう部分が大きかったはずだ。


 舐められたらまずい力が重視される業界で、上の人間が華奢な女性となると、護衛の時なんかは少しマズい。

 相手に「あれならいける!」と思われたらいけないような商売だからな。

 見た目的な物も結構重要な部分はある。


 俺は古くさい価値観だと思うが、女の上司の下で働きたくないという男はやはり一定数存在している。

 でもお妾さんか。それは……どうなんだろうか?

 女性のそういう事情はよく知らないな。


「貴族の妾って、どんな感じなんだろう」

「さあ? 何不自由ない生活を約束するとは言われましたけど」

「別に今も不自由してないしねぇ」

「むしろ妾になった方が、不自由しそうだよね」


 女性陣からすると、妾という選択肢はよほどのことがない限りはナシだそうだ。

 それこそ、公爵級の大貴族にかなりの好条件でも出されない限りはなびかないと言っていた。


 何不自由ない生活を送れるのなんてよくて数年。

 庶子を生んで、下手にその子が優秀だったなら家の中で方々から睨まれて居場所がなくなったり、いわれのないイジメを受けることなども多いそう。


 なんだか夢のない話だ。

 平民が貴族の嫁になるなんて、物語に出てくるようなシンデレラストーリーなのに。


「みんなは結婚願望の方はあるのか?」

「私たちですか?」

「もちろんありますけど」

「身近に居る人に慣れると、大抵の人には物足りなくなってしまうんですよ……」


 身近な人?

 たしかに『辺境サンゴ』にいる男たちも、スペック自体はかなり高いだろうな。

 手に職がついてる奴も多いし、何よりみんな顔見知りである程度気心も知れている。

 優良物件と言えば、優良物件なのかもしれない。


「これさえなければね……」

「わかっててやってます?」


 いったい何がだ。

 ……あ、そうか。

 彼女たち基準で言うと、俺もその中に入るわけだな。


 ならどうして……俺はずっと、彼女がいないままなんだろうか。


 ――クソッ、俺だって好きで独り身でいるわけじゃないんだぞっ!

 それならお前らが俺のこともらってくれよ!


「いや、それは……」

「後のことを考えると、命がいくつあっても足りないというか……」

「命知らず過ぎるというか……」


 優良物件だとみんなが思ってくれているのに、居住してくれる人間は誰一人としていなかった。

 泣くぞ、普通に。


「まま、アルノードさん。今日は酒飲んで忘れちゃいましょう」

「明日になってからまた考えればいいですよ」


 男衆に言われるがまま、俺は酒に口をつけた。

 そして久しぶりに、かなりベロベロになるまで酔っ払った。


 翌朝自分が色々と言っていたことを思い出し赤面し。

 そして猛烈な二日酔いによる頭痛に頭を抱えることとなる。


 けどまあ……たまにはこういうのもいいだろう。


 みんなとの触れ合いだって、大切な時間さ。



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