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嬉しくない


「他に何か問題とかはあるか?」


 平のメンバーたちと話す機会はあまりない。

 どうせならこの機会に、普段は聞けないようなことまで聞いておくべきだろう。

 みなは互いに顔を見合わせて、そして首を傾げていた。


「特には……?」

「なぜ疑問形だ?」


 俺の言葉にみんなが矢継ぎ早に答えを被せてくる。


「装備の補修、配給も問題なし」

「今よりもいい装備なんて早々作れる物でもないでしょうし、何より満足しているし、愛着もあります」

「専用の『収納袋』も貸与してもらっているので、物資面での問題もほとんどないですし」

「給与面でも問題を感じたことはないっすね。ぶっちゃけ、大隊に居た頃の何倍ももらってますし」


 命の危険は前より少なくなり、待遇は改善。

 給料は何倍にもなったし、しっかりと休暇ももらえるようになった。

 彼女たちはデザントにおいては二等臣民だったが、リンブルの人たちからすればそれは関係ない。

 俺たち『辺境サンゴ』の面々は、みな一様にデザントから来た人間、と一括りにされている。


 もちろん悪い意味ではなく、良い意味でだ。

 俺たちの戦闘技術なり魔法技術なり、リンブルの人間からするとかなり価値があるらしいからな。


 ……おっ、そうだ。

 それに関しても、ちょっと聞きたいことがあったんだよな。


「ヨシナ」

「はい、なんですか」

「お前って、一緒に作戦行動を取ってた騎士団とかから、スカウトとか受けなかったか?」「……ええっと」


 ヨシナが天井を見上げて、遠い目をする。

 そのままひぃふぅと指を折っていき……。


「三つですね。今なら騎士爵までならなんとかすると言われました」

「やっぱりか。シゲルの方は?」

「俺は二個っすね。かあっ、ヨシナに負けたかぁ! やっぱり顔か、男は顔なのか!」


 ヨシナはスッと鼻梁の通っていて、彫りが深くてシュッとしたイケメンだ。

 シゲルの方は肌が浅黒く、どちらかと言えばワイルド系の見た目をしている。


 二人ともこんななりをしているくせに、実際はヨシナの女遊びが激しく、シゲルは童貞というのが結構面白い。

 もちろん誰かに話したりはしないぞ。

 一人でほくそ笑んでるだけだ。


 にしてもそうか、やっぱりスカウトって結構来るもんなんだな。

 俺の近くにいる奴らは、側近と思われているからかそういう話はとんと聞かなくなった。 つまりその分、下にいる平の構成員あたりに勧誘の手が伸びているってことだな。


 ……ふっふっふ。


 やっぱりこいつらの出自や見た目なんかは関係なく、しっかりと見てくれている人がいるじゃないか。

 取り立ててくれる場所も、デザントを出ればちゃんとあるんだ。

 騎士爵は一代限りだが、中でしっかりと頭角を現せば男爵くらいにはなれる可能性は十分にある。

 

 もう、ヨシナもシゲルも大きくなっちゃって。

 おじさんは嬉しいぞ。


「まあ『辺境サンゴ』を抜ける気は毛頭ないですけどね」

「右に同じです」


 なんだと、おじさんは嬉しくないぞ。



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