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休暇


 ウルスムスとの激闘を終え、俺は再度魔道具作りに集中することになった。

 のめりこむとか、没頭していると言った方が近いかもしれない。


 なんだか何か考える暇を持っていたくなくて、結果として暇を埋めるかのように魔道具作りばかりを繰り返していた。


 すること自体はなくならなかったので、手すきの時間ができるようなことはなかった。

 ……まあ全部俺がやる必要があったかと言われると、少しばかり疑問ではあるのだが。


 そんな日々をまた繰り返している間も、『辺境サンゴ』のみんなは頑張っていた。


 今ではセリアが悪魔とアンデッドたちを引き揚げても、なんとか防衛が可能になるほどに、状況は改善してくれている。


 ソルド殿下の白鳳騎士団も、現地では頑張っているらしい。

 そういう話を聞くと、頑張ってマジックウェポンを作ってよかったと思えてくる。


 あれからまたエンヴィーたちとは離ればなれになったので、俺はしばらく魔道具班や生産班とばかり行動をしていた。


 男所帯のこの場所は気楽でいい。

 適当に酒でも飲めば、ぐっすり眠れる。

 そして朝になったら、また夜まで仕事を続ければいい。


 そんな毎日を送っていると、ソルド殿下から呼び出しがかかった。

 招かれて話をしてみると、殿下は思ってもみなかったことを俺に言ってくる。


「アルノードも含めて、『辺境サンゴ』の面々はしばらく休んでいろ。あとは俺たちだけでなんとかなる」

「はぁ……?」


 小康状態になったとはいえ、『辺境サンゴ』から各貴族家の騎士団への申し送り事項の伝達もまだ終わってはおらず、戦力の移動は完成していない。

 領地の奪還までも、手が及んではおらず。


 そしてリンブルの内部では、アイシア第一王女が未だに虎視眈々と機会を窺っている。

 彼女が下手を打てば、国内で内戦が始まってもおかしくはない。


 だから少なくとも、まだまだ安心できる状態ではない。

 俺たちの力は、ソルド殿下からすれば喉から手が出るほど欲しい状態のはずだが……。


「お前、ひどい顔してるぞ」

「そうでしょうか……たしかに最近、生活が不規則で不摂生だった気はしますが……」


 『収納袋』から鏡を取り出し、覗いてみる。

 うーん……たしかにいつにもまして疲れたような顔をしている。


 よく見れば目の下に隈もできているし、肌にも張りがない。

 ……こうして改めて見てみると、なるほどたしかにひどい顔をしているな。


 疲れている……というか、自分から疲れにいっているんだよな。

 自分でも、仕事に逃げているという自覚はある。


 誰からも止められずに、仕事に全力な面子の中だから問題にはなっていなかっただけだ。


 その原因は……やはりウルスムスとの戦いにある。


 匪賊討伐や戦争で人を殺したことは何度もある。

 けどあの戦いは……それらとは何かが違っていた。

 今も俺の心には、何かわだかまりのようなものが残っている。


 剣術の達人は、一合切り結ぶだけで相手のことを感じ取ることができるらしい。

 だとすれば俺もウルスムスの魔法で、何かを感じたということなんだろうか。


 なんにしても……たしかにこのままじゃ、ぶっ倒れてもおかしくない。

 ここはソルド殿下のご厚意に、甘えさせてもらった方がいいかもしれないな。


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