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vsウルスムス 19


 俺が放った魔法は、超級魔法のスターダストファイア。

 星屑のようなきらめきを放つ白い炎が、宙を瞬きながら飛んでいく。


 ウルスムスが放った魔法は、恐らくは彼のオリジナルの超級火魔法。

 本来なら広範囲に放つ超級魔法のエネルギーを一点に圧縮させることで威力を増したその炎は、まるで稲妻のようなジグザグな軌道を取ってこちらへと向かってくる。


 そして両者が――激突する。


 その勢いは――拮抗している。

 しかし変化はすぐに訪れた。


 ウルスムスの放つ、俺の放つ白い光線を迎え撃たんとする稲光。

 それが左右に大きくブレて、俺の魔法をまるごと飲み込みにいくような軌道に変わった。


 やはり威力でいけば、ウルスムスの魔法の方が高い。

 このままでは俺の魔法は裁断され、そのままウルスムスの魔法に押し切られてしまう。


 このままではまずいと魔力を継ぎ足し、再度魔法同士を拮抗させる。

 気力を混ぜ合わせることで更に威力が上がり、今度は若干こちらが優勢になった。


「はああああっ!」

「があああぁぁっ!」


 押し合い、引き合い、駆け引きをし。

 自分が振り絞れる力の全てを引き出し、それを分配して魔法に乗せていく。


 相手が威力を上げればこちらも更に上げる。

 こちらが上がれば、相手もそれに呼応して出力を上げていく。


 両者ともに際限なく上昇していくように思えた、この魔法のぶつかり合いの結果は――。







 最終的には、仲間と戦うことで力を温存することのできた、俺の魔法の勝利で終わった。


 そしてウルスムスは輝く炎へ飲み込まれていき――魔法がその効果を発揮し終えてもなお、その場に立ち続けていた。


 だが着用していたローブは抜け落ち、力を失った手が仕込み杖を落としており、既にその身体から生気は感じなくなっていた。


「俺は……負けたのか……」


 ウルスムスは右膝をつき、そのまま地面に倒れ込もうかというところで歯を食いしばる。 そしてなんとか踏みとどまり、左手で左膝を掴んで上体を起こす。


「一対一で戦っていれば……負けていたのは俺の方だ」

「人に貴賤はあれど、勝利に貴賤はない。勝ったのがお前で、負けたのが俺。それが全てであり、それ以外の全ては不要なのだ」

「そうか……それじゃあ、またな」

「次があるのか?」

「俺もお前も、堕ちるのは地獄だ。だから次はあの世で戦おう……一対一で」

「――はっ」


 ウルスムスは何も言わず、鼻で笑うだけだった。

 結局こいつは、戦い自体は終始正々堂々としていた。

 世間的に見れば、今回悪の側になるのは間違いなく俺だろう。


 だがそれでも……構わない。


「介錯は不要。このウルスムス、生きて虜囚の辱めは受けぬ」


 ウルスムスはそれだけ言うと、パチンと指を鳴らした。

 彼の身体が、炎に包まれていく。

 もう何度見たかわからない、圧倒的で、威圧感を感じさせる焔。


 ウルスムスはそのまま……炎の中へと、消えていった。



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