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vsウルスムス 17


 先ほどまで守勢に回っていたはずのウルスムスが、こちらに対してしっかりと反撃を行ってくるようになる。


 俺たちの攻撃を読み切れるようになったから……ではない。


 ウルスムスが自分が怪我をすることを厭わずに、確実にカウンターを当てにいく戦法へと切り替えたのだ。


 既に結界は張られておらず、彼は完全に生身のまま戦っていた。

 さっきまで、どんなダメージも通さぬよう結界で厳重に身を守っていたのとは別人のようだ。


 手負いの獣は我が身を省みぬようになるというが……それと似たような感じだろうか。


 戦いの中で成長をされると、こちらはどんどんキツくなってくる。

 できればこれ以上の覚醒は、ごめんこうむりたいところだ。


「――ふっ!」


 ウルスムスの動きのキレは、土壇場になって格段に向上し始めていた。


 先ほどまで大振りだった薙ぎが次撃のための小回りの利くものへと変わり、振り下ろしの際の重心移動のやり方も最初と比べるとずいぶんと上達している。


 俺たちとの戦いの中で、彼もまた成長しているのだ。

 今まで足りていなかった直接戦闘の経験が、急速に埋め合わせされているのかもしれない。


 だが無論、俺たちもまたウルスムスを相手に、より効率的にダメージが与えられるような動きができるようになっている。


 攻撃の際の筋肉の動き、視線の配り方。

 回復魔法を使おうとする際の若干の後退や、使用時にできる一瞬の隙。


 そういった一挙手一投足を見逃さず、頭の中に叩き込み、攻撃をウルスムスのモーションの間に挟んでいく。


 やっていることは、完全に強力な魔物相手の集団戦と同じだ。


 既に俺が回復魔法を使っている時間がないた

め、みんなには各自持っている『収納袋』からマジックアイテムなりポーションなりを使ってもらっている。





「ふうっ、ふうっ……」

「はあっ、はあっ……」


 ウルスムスの狙いは、あくまでも俺一人。

 そもそもこいつは俺が気に入らなくてリンブルにまでやってきたわけだしな。


 ウルスムスはあくまでも俺しか見ていない。

 こいつからすればエンヴィーたちは、神聖な戦闘のお邪魔虫だ。

 だから可能な限り、彼女たちに前に出てもらいウルスムスを怒らせていたのだが……そんな小細工をする必要も、そろそろなくなりそうだ。


 満身創痍の俺とウルスムスが向き合う。

 エンヴィーたちは少し下がって、俺たちの様子を見つめていた。

 全身が痛むのは、彼女たちだって変わらない。

 彼女たちは俺の言葉に従い、後ろから戦いの行く末を見守っている。


「おい雑種、お前のペットたちはもう動かさなくていいのか?」

「ラストくらいは、お前の要望に応えてやろうかと思ってな」

「はっ、今更何を――」


 最後の一撃を放てば、彼女たちもタダでは済まない。

 だから下がらせたというそれだけの話。


 それにエンヴィーたちは既に役目を終えている。

 時間とダメージを十分に稼いでくれた。


 だからあとは……俺の仕事だ。



 再度回復した魔力を練り、底を突きそうになっている気力をそれに混ぜていく。

 『超過駆動オーヴァーチュア』の超級魔法への使用……それをやらなければいけないタイミングは、今を置いて他にない。


 恐らく俺が現状使える魔法だけでは、ウルスムスが編み出した超級魔法に太刀打ちすることはできないからだ。


 限界を超えなければならない時は――今。


 さあ、これが最後の魔法だ。

 お互いの全力を、ぶつけ合おうじゃないか――。

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