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vsウルスムス 5


「くぉんの……クソ野郎がっ!」


 ウルスムスが両手を横に突き出し、目を閉じる。

 ブゥンと音を鳴らしながら、先ほどからのものとは違う、目にも見えるだけの厚さを持った結界を張り出した。


 叩く、硬質な音。

 突き、穿とうとしても剣が通らない。


 これは相当に強く作ってあるな。

 おまけにそれが見えるほどの分厚さとなると……今の俺でも、破るのには難儀しそうだ。


 けれどこれだけの結界、生み出すために相当量の魔力を消費するはず。

 維持も合わせれば、とんでもない量の魔力を食っているだろう。


 それほどまでに魔力を使ってでも行う時間稼ぎとなると……ようやく来るか。



「右手に魔力……」


 ウルスムスの右半身に、赤い魔力が宿る。

 火魔法が得意だからか、あいつが噴き出す魔力は濃くなると、赤色に変わる。


「左手に気力」


 そして左半身に、黄色い気力が宿る。

 魔力は人によって色が変わるが、気力は外まで噴き出しても基本的には無色か黄色になることが多い。


「合成――」


 右手と左手を、パチンと重ね合わせる。

 瞬間、先ほどのような強い光の奔流。

 光が収まれば――そこには、俺と同様赤い魔闘気を纏うウルスムスの姿がある。


 純粋な出力は、ウルスムスの方が上。

 気力の扱いでは俺の方が勝ってはいるが……。


「やっぱり、こう、なるよなっ!」

「野蛮な肉弾戦は嫌いなんだが、なっ!」


 ウルスムスの仕込み杖が、俺の頬を浅く切り裂いた。

 そのまま上から下に、輪切りにするかのような高速な連撃が襲いかかる。


 やはり速度は、完全にあちらの方が上だ。


 魔闘気を使わぬ接近戦であれば俺が優位に立てていたが、両者共に本気を出すと速度の差がかなりあるせいで、俺はどうしても防戦一方になってしまう。


 剣を上げ、下げ、腕をクロスさせ、時に足技を使いながら、ウルスムスのラッシュをなんとか捌いていく。


 足に、腕に、顔に、小さくはあるが切り傷が刻まれていく。

 中でも戦いに響きそうだと感じた部位だけを、回復魔法で癒やしていく。


 痛みに慣れていない魔法使いは、魔力消費は多くとも結界魔法を使い、そもそもダメージをくらわないような戦い方をする。


 そして俺のような割と痛みに耐えられる実戦慣れした魔法使いは、結界魔法は使わず魔力を節約し、必要最低限の回復魔法だけを使ってなるべく魔力消費を抑えるようになる。


 これだけの高出力で戦っているとなると、ウルスムスの方もかなりガス欠が早いはずだ。 こいつの場合は、バカスカ使っている魔力よりも気力がなくなる方が早いんだろうけど。


 だが……うん、少しばかり慣れてきたな。



 飛んできた剣を、受け止めるために構える。

 剣筋が単調な分、軌道は大体三つくらいまでしぼることができる。

 そのうちで当たればまずそうな部分だけを重点的に守っておく。


「どうした、止まって見えるぞっ!」


 愉悦の声と共に、ウルスムスの斬撃が俺の右胸の辺りを浅く裂いた。

 そこならば特に問題ない。

 斬らせてやったんだよ。


 ウルスムスはそのまま腕を引き、再度溜めを作ってからこちらに突きを放ってくる。

 これは食らうとまずい。

 ただ回避軌道を取るだけの猶予がないため、とりあえず前に出た。


 そして突きが完全に勢いに乗る前に……剣の腹で擦り、勢いを殺す。

 勢い余って俺の身体に突き立つが……浅い。

 回復魔法で十分治せる範囲だ。


 刃をねじられる前に自分から身体を下げ、即座に傷を治す。

 そんな俺の様子を見て、ウルスムスは怪訝そうな顔をしていた。


「……おい、貴様はどうして、平気な顔をして立っていられるっ!?」


 どうしてって……そんなの決まってる。

 バルクスに居た頃から、俺はとにかく生き延びることに関しては自信があってね。

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