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vsウルスムス 3


 刺突、かわされる。

 反撃の切り上げ、見てから前に進んで回避。

 隙だらけの胴体に一撃を放てば、ウルスムスの張っていた不可視の結界に弾かれる。


 そこからウルスムスが、踏み込んだまま斬撃体勢に。

 振り下ろされる仕込み杖の剣閃を、身体の動きから予測してかわした。



 俺が気力による身体強化のみで戦闘を行っているのに対し、ウルスムスは常に魔力によって身体強化を行いながら、同時に自らの周囲に結界魔法を張ってその身を守っている。


 気力の出力は、急激には上がらない。

 練れば練るだけ、徐々に無駄がそぎ落とされ、身体機能が向上していく。


 事前に『超過駆動』を使って慣らしていたため、普段よりもずっと気力が身体に馴染む。

 おかげで純粋な強化の量で言えば高いはずのウルスムスと、まともにやり合うことができている。


 俺しか使わないから知られていないが、『超過駆動』にはこんなメリットもあったりするのだ。


「――シッ!」

「ちいっ、ちょこまかとっ!」


 戦闘を馬車の軽量化で例えるとするのなら。


 気力強化とは、無駄をそぎ落として行う重量カットだ。

 車輪の木板をスポークに変えたり、部品の中身を空洞化させて軽くすれば、その分だけ馬車は機敏になる。


 対し魔力強化とは、言わば軽量化の魔法を馬車にかけることに似ている。

 練達の魔法使いがとにかく軽くしてしまえば、頑張ってちまちま削っていくよりずっと早く馬車の速度は上がってくれる。


 短期的に見れば、魔力による強化の方が強化効率が高い。

 なので剣を振れば、俺よりもウルスムスの方が剣速がある。


 けれどその太刀筋を見切ることは、それほど難しいことではなかった。


 ウルスムスは常に、圧倒的な火力で敵を蹂躙してきているため、白兵戦の経験はそれほど高くない。

 故にウルスムスの剣技は、そこから放たれる一撃の練度自体は、デザントの百人隊長レベルとそう変わらない。


 それは言ってみれば、テレフォンパンチのようなものだ。

 どれだけその速度自体が早くとも、どんな攻撃がくるかさえわかっていれば――。


「ぐっ! どうして当たらない!?」

「さあ、どうしてかな?」


 こんな風に攻撃に合わせて、つばぜり合いをすることくらいはできる。

 ただし、俺の方も完全に優位に立っているわけじゃない。


 バックステップで後退、即座に反転。

 ウルスムスへと斬撃を入れる。

 しかし放った攻撃は、全て甲高い音と一緒に弾かれる。


(硬いな――結界の硬度が高すぎる)


 魔法使いがそこまで接近戦を重視しない原因の一つは、この結界魔法という盾の強さにある。


 結界魔法においては、張り出す結界の性能は込めた魔力量によって変わる。

 ウルスムスが全力で結界を張れば、俺の普通の斬撃では破ることも難しい。


(これは相性もあるか)


 得物を『龍牙絶刀』からオリハルコン製の剣へと変え、息もつかせぬ剣撃で相手の反撃を封じながら攻撃を繋げていく。


 突き、薙いで、穿ち、そして貫き通す。


 パリンと、一枚結界が割れた。

 いけるかと思いそのまま剣を進めれば、即座に硬質な感触。

 当たり前だが、結界は一枚ではない。


「無駄なんだよっ、カスが!」


 俺の攻撃を鬱陶しく思ったからか、ウルスムスは叫びながら周囲を焼き尽くす範囲魔法を放つ。


 その威力を冷静に確認してから、俺は炎の渦を魔法を剣で切り伏せた。

 しかし目の前の魔法は消えても、周囲には未だ炎が揺らめいている。


 炎が消え万全なウルスムスが顔を出した時には、既に俺が破ったはずの結界は修復されていた。


 ウルスムスの魔力量に陰りは見えない。

 このままだと破って修復してを繰り返す千日手になりそうだ。


 少し早いが――あれを使うか。

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