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vsウルスムス 1


 魔法には正確には四つの等級がある。

 下級、中級、上級、そして超級。

 この一つ一つの間には、結構大きな拡がりがある。

 それは威力であったり、効果であったり、速度であったり……同じような系統の魔法を使えば、基本的には等級の高い魔法が勝つ。


 下級水魔法ウォーターボールでは中級水魔法ウォーターウィップには勝てないし。

 中級水魔法ウォーターウィップは、上級水魔法タイダルウェイブには勝てない。


 けれど俺には、それを覆すための技術がある。


暴風エアバースト!」

「『超過駆動』ウィンドサイクロン」


 ウルスムスの放つ上級風魔法が、俺の放つ中級風魔法によって掻き消される。

 それを見たウルスムスが、ふんっと鼻を鳴らした。


 今はまだ互いに遠くからジャブを打ち合っている段階で、言わばどちらも身体を温めてウォーミングアップをしている最中だ。


 魔法使いの古式ゆかしい魔法戦では、こういう力試しのような撃ち合いの形に落ち着くことが多い。

 形式や儀礼といったものを重視するウルスムスは、古来から伝わる決闘のやり方で戦うつもりらしい。


「相変わらず小賢しいな、貴様の魔法は」

「生憎大技ばっかり使っていたら、すぐガス欠になるもんでね」

「能無しが」

「知ってるさ」


 ウルスムスと俺では、持っている魔力量や魔法に対する適性の差が違う。

 文字通り格が違うと言ってもいい。


 ウルスムスは大規模殲滅魔法を連発してもまだ余裕があるほどに、魔力量がある。

 併せて才能もあるので、俺なんかよりもよほど効率のいい火魔法を使うこともできる。

 けれど俺は、大規模殲滅魔法を一度使えばぶっ倒れるような魔力量しか持っていない。


「地獄の業火ヘルフレイム!」

「『超過駆動』ファイアアロー」


 なので真っ向から打ち合っていては、先にガス欠になるのは俺だ。

 ウルスムスの上級火魔法である地獄の業火。


 高温により白色化した炎に対し、俺は『超過駆動』によって発動させたファイアアローを当てる。

 もちろん打ち負けるのは俺の方だ、地獄の業火の飛んでいく方向をわずかに変えることが精一杯。


 けれどそれだけで十分だ。

 俺は純粋な身体能力だけで魔法を躱し、横っ飛びに跳ねる。


 ウルスムスと戦うには、とにかく節約が必要だ。

 バカスカ強力な魔法を使うあいつに対して、俺が最低限の魔法を使い続けて、ようやく帳尻が合うといったところだろうか。


 あいつは火魔法で。

 俺はそれに対し四属性全ての魔法で、『超過駆動』を用いてそれに拮抗する。


 気力の使用量はさほど大きくはない。

 今後のことを考えても、十分に自然回復で賄える程度だ。


 俺の方にも、そしてウルスムスの方にも変化はない。

 まだ前哨戦だからな。


 ちらと気取られぬよう、ウルスムスの後方へ目を向ける。

 そしてすぐに戻し、ポキポキと指の骨を折った。


「相変わらずデタラメだな、お前」

「はっ、会話で時間を稼ごうとしても無駄だ。さて、そろそろ次の段階へ行こう」


 それだけ言うとウルスムスは目を閉じ、そして大きく見開いた。

 俺もそれに合わせ、急ぎ魔力を練る。


「お前に聖別を受ける権利をやろう――」

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