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戦いの始まり


 俺は『辺境サンゴ』の面々に避難誘導を命じ、とにかく近隣から避難してもらうようソルド殿下名義で勧告を出してもらった。


 幸いこの場所が中心部から離れていることもあり、人の数はさほど多くない。

 戦いに巻き込まれる人間はいないはずだ。


 俺たちが本気で争えば、街の一つや二つはなくなりかねない。

 そしてウルスムスならば王都の人間を、癇癪で殺しても何一つ不思議ではない。


 プライドが許さないからこそ『辺境サンゴ』の面々を人質に取ったりはしてこないが、彼はその分考え方が常軌を逸している。

 懸念はしておくに越したことはない。


 俺たちが避難誘導を始めても、ウルスムスはその場を動くことはしなかった。

 どうして動かないのかはわからないが、生まれた時間はありがたく使わせてもらうことにする。


 自分が焦って動けば、それは自分が俺よりも下である証明になりかねない……と、そんな風に考えているのかもしれない。


 ウルスムスは徹頭徹尾、こういう面倒くさい考え方をするやつだ。

 さて……みんなも準備ができたようだし、行くか。


 久しぶりにアイツに会うのか。

 なんだか少し、憂鬱になってくるな……。









「よぉ、相変わらず薄汚ぇ格好してるなぁ。お前に流れてる血と一緒でよ」

「お前は……相変わらずブレないな、ウルスムス」


 ウルスムスに対して抱いている俺のイメージを一言で表すと、真っ赤な獅子だろうか。

 赤い瞳にたてがみのような赤銅色の髪。

 そして突き出た犬歯に、獰猛そうな表情。


 ウルスムスは、自分が狩る側だと確信を持っている獅子のような男だ。

 そして己が勝者であると信じて疑っていない、自信過剰な人物でもある。


「何しに来たんだ?」

「決まってるだろ、お前を殺しにきた」

「争いなんて意味のない……って説得フェイズに移ってもいいか?」

「俺はお前が前から気に入らなかった。だから殺す。問答無用、これ以上息を吐くな、雑種が」


 古くさい貴族思想に凝り固まったウルスムスは、昔からとにかく俺のことを嫌っている。 貴族以外の人間を雑種と言い切る性根は、いっそすがすがしさすら感じる。


 俺が『辺境サンゴ』の人間とつるんで、一緒にバルクスの防衛をしていたのも気にくわないらしい。

 多分何をしても、色眼鏡をかけて見られてたんだとは思うが。


 辞めていくらかなまった元『七師』と、謹慎を食らってる現『七師』。

 果たして戦って、どちらが勝つか。


 普通に戦えば、俺は負ける。

 だからこそ、事前に準備もしてきた。

 予想も無事に当たり、ここまでは想定通り。


 ……だが『七師』クラスの人間とガチでやり合うのは、これが初めてだ。

 デザントにいる間は、仮にも仲間だからと小競り合い程度しかしたことはなかったからな。

 対人戦は、魔物戦とはまた違った緊張感がある。

 でも……負けられない。

 こいつが来たってことは、この戦いの勝敗は俺一人のことだけに収まらないからな。


「俺を殺したら、どうするんだ?」

「……さあ、考えていなかったな。とりあえずお前の下に居た雑魚は皆殺しにする。あとのことは、その時に考えるとも」

「ああ、そうかい」


 これ以上の対話は無意味。

 そもそもウルスムスは、俺と話をする気がまったくないからな。


「さあ、聖別を始めてやろう。簡単にくたばるなよ、雑種ゥ!」


 ウルスムスの魔力が膨れ上がる。

 俺も『収納袋』から取りだしておいた杖を構え、意識を集中させる。


地獄の業火(ヘルフレイム)!」

「『超過駆動オーヴァーチュア』ウィンドサイクロン!」


 魔法発動のタイミングはほとんど同時。

 ウルスムスの炎と俺の竜巻は、真っ向からぶつかり合った――。

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