作戦会議 2
「じゃあまずは私から」
一番最初に手を挙げたのは、脳筋娘のエンヴィーだった。
「隊長がウルスムスをボコす、そして弱ったところを私たちが狩る! どう、これしかないと思うんですが」
「まあそれができたら一番いいよな」
戦いというのは純粋な出力だけで決まるものではない。
例えばウルスムスが得意な火魔法に対して高い適性を持つ防具なんかを揃えたりすれば、相性差から勝てる試合になる可能性だってゼロではない。
たしかに、完全に臨戦態勢のウルスムスを相手にすれば、エンヴィーたちが連携を取っても難しいだろう。
「魔闘気……向こうも、使える?」
「ああ、まず間違いなくな」
マリアベルはむぅと頬を膨らませていた。
魔闘気が使えるか否か。
これが実は、結構デカい。
俺が『超過駆動』でコスパのいい魔法が使えることを考えればわかる。
あれを大量の魔力と気力をぶち込んで使えば、それはもう凄まじい出力になるというわけ。
練達の気力使いが居ても『七師』には勝てないのは、究極的にはこの魔闘気があるからだ。 魔闘気が使えるというだけで、それだけで戦闘能力に大きな差が出てしまう。
エンヴィーたちがウルスムスを囲んだとしても、やられることになるのはこちらだろう。
一度距離を取られてから遠距離攻撃で沈められていけば、為す術なく負けるはずだ。
魔闘気は燃費が悪いからガス欠を狙うという手もあるにはあるが……ウルスムス相手に時間稼ぎをすると、何をされるかわからない。
ブチ切れてリンブルの都市を片っ端から灰にするくらいのこと、あいつなら本当にやりかねないからな。
自分以外の全員の命のこと、なんとも思ってないだろうから。
「まあエンヴィーの言う通り、まず俺が戦うことになるのは確実だ。そこである程度ウルスムスの魔力を削れればいいんだけどな」
魔力回復ポーションというものも存在するが、それほど回復する量は多くない。
自然回復と合わせても、戦闘でバカスカ魔力を使っていればまず足りなくなる。
「とりあえずウルスムスの火魔法で抜かれない魔道具を作る必要があるんだよな……あいつの本気の火魔法がどれくらいかはわからんけど」
「そんなもの、作れるんですか?」
「作る……しかない。一応腹案はあるぞ――これだ」
シュウにペラリと俺が発想だけ書き殴った設計図とも言えないようなものを見せる。
それだけでニヤリと、彼の口角が上がった。
「いいじゃないですか、やりがいありそうですよ」
「作った後が怖いけどな。一応前に馬車型『収納袋』は作ったことがあるから、それの応用でいけるとは思うんだが……」
「じゃあ僕の担当はこれの作成ですね。一旦持ち帰ります」
それだけ言うと、シュウは紙をくるくると巻いて立ち上がる。
そして未だ頭を悩ませている俺たちを背にして、さっさと帰ってしまった。
……シュウらしいな。
そもそもシュウに礼儀とか求めてないから、結果を出してくれれば俺に文句はないとも。
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