ウルスムス
「来るんですか……『七師』が?」
「厳密に言うと『七師』が来るかはわからないが、最悪の場合はってことだな。もしかしたらどこかの暗殺者部隊なんかが来るかもしれないし、毒のプロフェッショナルとかが来る可能性もある。けどまあ、何かは起こるだろ」
デザントのあの国王が、バカ正直にプルエラ様を派遣するだけで終わるはずがない。
まだ連邦との戦いは終わっておらず、リンブルと仲違いをする気はない。
とすれば真っ先に狙われるのは、リンブルの国民ではなく完全に流浪の身の、俺たち『辺境サンゴ』だろう。
俺を狙うかクランメンバーを狙うかでもまた話は変わってくるが、成功すればデカいのは俺だ。
自分で言うのもなんだが、俺さえいなければ『辺境サンゴ』の戦力とか統率とか、色々とヤバくなるからな。
あの国王なら、クランメンバーを人質に俺を殺しに来るくらいのことはしてくるだろう。
とりあえず誰一人として犠牲にならないよう、色々と考えておかなくちゃいけない。
「今後のことを考えると、『七師』はなんとかできるようにしておかなくちゃいけないんだよな」
「まあここに居着くつもりなら、そうなりますよね」
シュウはどうでもいいと思っているからか、ぼんやりとあらぬ方を向いている。
態度は悪いが、言っていることは的を射ているな。
デザントにいる間は仲間……というには物騒なことも結構な頻度であったが、一応同陣営ではあった。
味方と言えるようなやつはほとんどいなかったけど、それでも全力で殺し合うような関係になったやつもいなかった。
けど、リンブル側に立って戦うとなれば話は別だ。
俺たちはデザントが放ってくる刺客や強敵たちを、打ち負かさなくてはならなくなる。
そして当然、その中にはデザントが誇る最高戦力である『七師』だって含まれている。
つまりいずれは『七師』と戦うことは避けられない。
それならプルエラ様の随行で『七師』が来てガチバトルが始まったとしてもなんとかできるように、しておかなくちゃってことだ。
……まあその方法が、思いつかないんだけどさ。
「隊長、もし戦う準備をするとして、誰を想定するんですか? 誰を相手にするかで、大分変わってきません?」
エンヴィーは強敵との戦いと知り、わくわくドキドキが止まらないようだ。
まるで宝石のように、瞳が爛々と輝いている。
「まあ来るとしたら……ウルスムスだろ、多分」
「「「あー……」」」
みんなが納得、というような顔をする。
俺とウルスムスの不仲は、デザントでも割と有名な話だからな。
といっても向こうが、一方的に俺のことを嫌ってるだけなんだが……。
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