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先は長い


「……いいんじゃないでしょうか?」

「やっぱりオウカもそう思うか」


 思い立ったが吉日とばかりに、屋敷に戻ってからすぐにオウカへと話をしに行く。

 彼女は少し悩んでから、ポンと手を打って納得した様子だ。


「お父様もそれなら納得してくれると思います」


 オウカがオッケーだと思った理由はそこにあったらしい。

 こうしてサクラの話を聞いているからこそわかるんだが、どうやらオウカも父に対しては色々と思うところがあるらしいな。

 過干渉で過保護なお父さんというのは、どんな場所でも大体は嫌われるものだ。




 話を終えてから、いつものように夕食を。

 サクラは食器に手を持っていかずに、自分の腿のあたりに置いていた。

 グッと拳を握りしめており、下を向いたりこちらを向いたりとなんだかそわそわしている。


「アルノード」

「おう」

「もしよければ、なんだが……私を『辺境サンゴ』に入れてもらってもいいか? 最初は見習いから、ということで構わないから」

「ああ、問題ないぞ」


 多分見習いというより、メンバーと余所との折衝とかを担当する交渉官みたいな形にはなると思うけどな。

 事前に話はしていたので、それでも問題ないとオウカは言う。

 ならば俺にどうこう言う気はない。


 後はメンバーと上手くやれるかどうかだが……多分、サクラの加入を拒否するメンバーはそれほど多くはないだろう。

 クランメンバーのみんなは、今までは軍隊という閉鎖的な環境で、上官に従って戦っていればそれでよかった。

 けど今の彼女たちは、多かれ少なかれ社会というものを知ることになった。


 武力だけでは解決できないことが案外たくさんあるということを、みんな学んでくれているはずだ。


 俺がリンブルの貴族にペコペコ頭を下げてることにすら、みんな最初は難色を示してたからな。


 けど今は商人に素材を買いたたかれた奴もいるし、ギャンブルで危うく装備を売りに出しかけたバカもいる。

 『辺境サンゴ』という冒険者クランのメンバーとしてやっていく以上、仕事を受けるための社会というものとの接点は持っておかなくてはいけない。

 それが理解できているだろうから、サクラの加入にそれほどの困難はないと、個人的には思っている。


 でもこれで無事に新たなクランメンバーを迎え入れることができたな。

 信頼する人しか入れられないから、人数をガッと増やすのは難しそうだ。

 余所の騎士団から引き抜くっていう手もありっちゃありだが、そんなことしたら絶対に元のメンバーと諍いを起こすに決まってる。


 今はサクラを『辺境サンゴ』に入れられたこと、そして『辺境サンゴ』に新メンバー加入の可能性があることを周知させることができたことで、納得しておこう。

 まだまだ俺たちの行く先は長いのだから。

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