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職人視点

日間ハイファンタジー12位!

みなさま、応援ありがとうございます!

 俺はオーガ討伐を二人に任せ、一人ガードナーの街をぶらついていた。

 ……別にさぼっているわけじゃないぞ?


 昨日のうちに処理を済ませておいた魔石とレバーを売っていたのだ。

 オーガから採れる素材の中で、この二つが最も有効な魔力触媒を作ることができる。

 魔力触媒というのは、魔道具を作成する際に必要になってくる触媒のことを指す。


 魔道具作りに必要なのは三つ。


 魔道具として使う道具そのもの。

 道具に魔法を付与できる付与術士。

 道具へ魔法を付けるために必要な魔力触媒。


 何を作るにも、この三種の神器が必要不可欠だ。


 例えばガードナーの魔道具ショップなんかにも並んでいる点火の魔道具。

 最も初歩的なこの魔道具は、魔力回路を刻んだ道具と簡単な火魔法の使える付与術士、適当な魔力触媒があれば作ることができる。


 点火の魔道具なら、魔力触媒に高価な物を使う必要はない。

 付ける魔法の難易度も低く、魔力回路自体も火を点けるためのシンプルな物だからな。

 具体的には最弱の魔物であるスライムの核のうちの三分の一ほどをすり潰した水溶液があれば事足りるだろう。


 回路が複雑になり、より精密な魔力伝達が必要となる場合、触媒もまた有用なものを使わなければいけない。

 オーガの魔石と肝臓から作った自家製魔力触媒は……全体から見ると下の中くらいだろうか。

 バルクスだと上の中くらいなら平気で手に入っていたので、自己採点が少し辛いような気もする。

 とりあえずは適当に何店舗かに卸してみて、一番高く買い取ってくれそうな場所をお得意様にするつもりだ。

 あいにくだけど、魔道具作りを生業にするつもりはまだないからな。



 魔道具作りにおいては、相性というものがある。

 例えば魔力回路と魔力触媒の相性だったり、道具の素材と魔力触媒、術士との相性だったり……何を使って誰が作るかで、性能はかなり変わってくるのだ。

 また同じ職人が作っても、結構バラつきが出ることも多い。

 同じ品質の物を安定して作れるようになるのは、その職人が一流の証拠だ。


 俺はとりあえず下見で目星をつけていたザレム魔道具店に入ることにした。

 どちらかと言えば大衆向けの簡単な魔道具がメインの店だが、ここの製品の品質はかなり均一だった。

 どうせ使われるのなら、腕のいい職人に使ってもらいたいと思うのは、魔道具職人としての性だ。


「魔力触媒の買い取りを頼みたい」

「素材はなんだ?」

「オーガの魔石とレバーだな」

「おお、それなら出してみてくれ。オーガ素材が少しばかり不足気味でな」


 前にも言ったが、基本的には魔道具は素材を統一した方がいい物ができる可能性が高くなる。

 オーガ系の防具は冒険者なんかには人気が高い売れ筋商品だ。

 討伐する魔物のチョイスは間違ってなかったみたいだな。


 容器を取り出し、机の上にことりと置く。

 店主はクルクルと蓋を開けてから、まず匂いを嗅いだ。


 魔力触媒の質の見極め方は、五感に頼らざるを得ない。

 魔力が入っているだけいいというわけでもないので、ここらへんは職人技の領域だ。


「混じりが少ねぇな。純水で作ってるのか?」

「いや、面倒だったから少し血を混ぜた」

「おいおいマジかよ、勇者かお前」


 魔力触媒を作るのに最も適しているのは純水だが、俺が作業をしたのは馬車の中。

 濾過装置が割れるのが嫌だったので、オーガの血を混ぜて魔石と水の親和性を上げておいた。

 ただしこのやり方は、配合比率をミスったり、作成の際に魔力調節を間違えると魔力触媒がまるごとおじゃんになる。


 ザレムが驚いているのはそれが理由だ。

 オーガの触媒程度ダメになってもいいからと、効率優先で作っただけなんだけどな。


「合わせて……金貨五枚でどうだ?」

「おお、思ってたより高いな」

「見たことないくらいに上質な触媒だからな。一応参考までに聞いておきたいんだが……お前さん、高名な魔道具職人かね?」

「いやいや、まさか」


 前に王国で魔法で飯を食ってたことはあるけれど、魔道具職人ではないよ。

 俺の答えに満足せずに首を傾げられても困るって。


 ……でも思っていたより金になるな、オーガ討伐。

 一日の稼ぎはしめて金貨十三枚。

 俺は懐を店に入る前より重たくしながら、ホクホクで店を出る。


 まだまだやらなければいけないことはある。

 次は不動産見学と洒落込むか。

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