パトリシアの波乱の初デート
後書きは別の書き込みしてるのでここで報告させてください!
私の短編「隣国より嫁いで半年、そろそろお時間です!」が
ジャンル別日間異世界恋愛部門で1位となりました。
今泣いてます、ありがとうございました!
皆さんの応援のお蔭です!
「これはどういう事?」
パトリシアは猛烈に怒っていた。
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その日、パトリシアはメイソン・ロペス店長と休日デートを楽しんでいた。
穏やかな性格の彼とは趣味で気が合い、書店巡りをして楽しい時間を過ごしていた。
思えばパトリシアは婚約者も居なかったので、親族以外の男性しかもデートと名の付くものはこれが初めてであった。
昨夜から何処に連れて行って貰おうかと、興奮し過ぎてよく眠れなかった。
マーサからは眼の充血を取る為に濡れおしぼりを作って貰い、ものの見事に睡眠不足がバレた。
「マーサには分かっておりますよ」
とやや同情寄りの優しい言葉を貰い送り出された。
メイソン店長はため息が出る程素敵で、店で見せている営業スマイルでは無く、このひと時を本当に楽しんでくれているのだと態度で示してくれる。
何もかもが新鮮で輝いて見える、パトリシアは幸せを噛み締めていた。
「この店はね、主に専門書が主力なんだよ。ほらこれなんか珍しい本だろう?」
「確かに、⋯⋯これ買います。欲しかったんです」
「今日の記念にこの本はプレゼントするよ」
「えっ、いいのですか?」
「勿論、そうだ折角だからプレゼント用に包装して貰おう」
「ありがとうございます」
プレゼントされた本を大事に持ちながらお茶でも飲もうと言う事になった。
お勧めカフェでお茶を楽しんでいるとメイソン店長がポツリと言った。
「気の所為かもと思ったんだけど⋯⋯」
メイソン店長が言いにくそうに切り出した。
「何がですか?」
「大分離れたところからずっと付いて来る一団が居るんだけど、知り合い?」
「付いて来る一団?」
「そう、一定の距離を空けて。行く先々に来るから気になっちゃって」
パトリシアはクルリと振り返った。
通りに人が多くてよく見えない、それらしい一団は居なかった。
「観光の一団じゃ無いのでしょうか?」
「観光か、そんな感じじゃ無かったけど⋯⋯そうかも知れないね」
あんまり納得している様には見えなかったが、ケーキセットが来たので頂く事にする。
「店長は甘い物お好きでは無いんですか?」
ブラックコーヒーを飲むメイソン店長に声を掛ける。
「そんな事はないよ。そうだなぁ、クッキーとかよく頂くよ」
「じゃあ今度お持ちしますね、同居している友人がとても美味しいクッキーを焼いてくれるんですよ」
マーサの焼くナッツ入りのクッキーは絶品だ。
「それは楽しみだな」
其れから共通の本の話や図書館の話で盛り上がりを見せた頃、メイソン店長が声を潜めて言った。
「ホラ、さっきの一団あそこに居るよ」
「えっ」
「待って、まだ振り向かないで。普通にしてて」
「何者ですか?」
「うーん、見たところ貴族の方と護衛かな?」
「貴族、護衛?」
パトリシアがいきなり振り向く。
案の定、アイザック様とバッチリ目が合った。
「これはどういう事?」
ツカツカとアイザック様に近付き刺々しく問う。
「だから止めましょうと申し上げましたのに⋯⋯」
従者が腹話術の様に、口を動かさず小さい声で呟く。
⋯⋯いや、聞こえてますから。
「やぁ、パトリシア嬢じゃないか。奇遇だね」
アイザック様は後ろめたい癖に、目も逸らさずにぬけぬけと言ってくれる。
「奇遇?」
わざとパトリシアは言ってみた。
「そう、たまたま」
「知っててわざと付けましたね、デートだから困りますって申し上げましたよね?」
その時パトリシアの後ろからメイソン店長が声を掛けてくる。
「やっぱり知り合いだったか」
「親戚です」
パトリシアはキッパリ言い切った。
「ご親戚ならご一緒にどうですか?」
「メイソン店長それは⋯⋯」
パトリシアが断ろうとした時にアイザック様が元気よく返事をされた。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
「⋯⋯」
パトリシアは保護者の様に隣に座って来るアイザック様を唖然と見つめた。
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いつも誤字報告ありがとうございます〜感謝しております!
見直してるつもりでも結構ありますね、本当に助かりますぅ〜(^^)v




