ロザリンドの奸計
体調が悪くストックが切れましたのでお休みを頂きました。
まだ本調子とはいきませんが休み休み更新します。
ロザリンドは此処の所辟易としていた。
医者から妊娠がハッキリしたと告げられたのだ。
「コレじゃあもう暫くは逃げられないじゃ無い」
そう。ロザリンドは時期が来たら適当に理由を付けて離婚か、隣国にでも逃げる気だったので予定外の妊娠に困惑していた。
新聞にも大々的に妊娠した事実が載ってしまって、更に注目され身動きが取れなくなった。
取材を受けて世紀のカップルらしく振る舞い、妊娠を神の祝福とまで言ってしまった。
悪阻もあり踏んだり蹴ったりだ。
少なくとも一年は身動きが取れない、多分。
母が産後の肥立ちがその度に悪く、出産して数ヶ月は寝たきりだったと聞いていたから。
死ぬ思いで産んだのが娘のロザリンドでもう産みたく無かったのにパトリシアを妊娠。
今度こそ男児で⋯⋯そう思って。
そしてまた娘、セシリアでやっと諦めてくれたと母が愚痴っていたのを常に聞いていたからこそ母と体質が似ている為に早くて一年後、そう予測を立てた。
母の様に跡継ぎの男児を望まれている訳でもないからこの子だけで大丈夫だろうが。
そしてこの元凶の夫が横で眠っている。呑気に、そう正に幸せそうに。
その上この子が成人するまで何としても生きる!とか言い出してちょっと聞いてない、それ!
最近は若々しくなったと医者にも健康上の問題無しと太鼓判を押されて生き生きとしている。
2〜30年は軽く生きそうで悪阻だけでなく眩暈がする。
いい気なもんだ、そう思って小さく舌打ちする。
あの時の自分を殴ってやりたい程に後悔していた。
自分の思い違いに気付いた時は外堀を埋められて、もうそれしか選択肢が無かった。
あの状態で断れば一族諸共抹殺ぐらいやるだろう。
それにしてもこんな事になるなら素直にパトリシアにやらせれば良かった。
でも私は悪くない、65歳よ。
自分の花嫁探しとは誰も思わないでしょう、普通。
それと両親に予め話してくれるべきだったと何度も呪詛の言葉を吐いた。
一言耳打ちしてくれたら今頃は婚約者と⋯⋯ロバートは元気だろうか?
きっと突然の婚約破棄で気落ちし、何も手に付かないだろう。
それに無理やりとは言え、あのエブリン様を押し付けたのだ。
「恨んでいるかしら、私の事」
ひとりでに言葉が口をつく。
私の妊娠で更に絶望しただろうとロザリンドは頭を左右に振った。
あぁ、この状態から逃げ出したい。
逃亡も簡単では無いだろう、誰か味方につけたい。
ロザリンドは此処の所其ればかりを考えていた。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
その時、隣から掠れた声が聞こえる。
「ロザリンドもう起きたのかい?」
お願い口をゆすいでから声を掛けて。
「えぇ、目が覚めてしまって」
「もう少しゆっくりしよう。急ぎの仕事がある訳でもないし」
そう言って腰に手を回す。
「御花摘みに行って来ますわ。子が出来たら頻繁になってしまって」
「そうかい。早くお戻り」
洗面を済ませたがベッドに戻る気も起きず隣室のソファーに腰を下ろす。
「何か良い案が無いかしら?」
夫が私を取られても仕方が無いと思わせられる相手。
「王族は無理ね、婚約者が居るもの」
「王弟?いやあの方も無い、顔が嫌い」
「外国の貴族、か王族?いや知らないし」
聞こえない様に小さな声で呟きながら頭を巡らす。
「そうだ、候補は二人居るじゃないの」
「元婚約者と孫のアイザック様」
自分のナイスアイディアに一人ほくそ笑むロザリンドが居た。
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