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アイザックの焦り

「ホントなんですか?」

 マーサはガバッと立ち上がる。

「そう、来週」

 本当は生まれて初めての事でドキドキしながら報告する。

「デートに?」

「そう、はっきりと!」

 顔が赤くなってはいないだろうか、顔が熱い。

「やりましたね」

 我が事の様にマーサが喜んでくれる。

「えぇ、色々案内してくれるって」



「ところで何故あなたが?」

 私とマーサの会話に何故かちょこんと座って聞き耳を立てる侍従、勿論隣の。

「アイザック様、生憎と今日は外せない用事で」

「それで?」

 パトリシアが問い詰める。

「私にご機嫌伺いを、と」

 侍従は二人に睨まれてしどろもどろだった。

「この時間まで」とマーサ。

「女性二人の家に」と私。

「あ。あの、その、これを」

 そう言っていつもの献上品、菓子箱をおずおずと差し出す。

 マーサは其れをさも当然の様にサッと受け取り

「今の話、ご内密に!」

 マーサは侍従をにらみながら言い放った。

「それは出来かねます」

 侍従は小さな声で言った。

「出来かねる?」

 聞き捨てならない言葉をパトリシアは聞き漏らさなかった。

「お二人の安全をお守りするようにと申し付かっておりまして、それで」

「それで?」

「危険と判断される事はご報告申し上げませんと」

「何が危険?」

「店長とやらが」

「どこが?」

「アイザック様の脅威に」

「変な事言うのね、店長は人格者よ」

「そうかもしれませんが……」

「さぁ、もうお帰り下さい。今後は勝手に上がり込まないでくださいね」

 隣の侍従を追い出して貰った菓子を頂きながら話を戻す。

「それでどこまで話したかしら?」

「来週デートのお約束の所までです」

「そうそう、それで相談なんだけどね、何を着て行けば良いかしら」

「そう言えば初めてのデートですものね。少し可愛い感じでどうでしょうか。お嬢様のドレスは地味なものばかりですもの」

「買えって事?勿体無いわ。持っているものを少しリメイクしようかしら?」

「そうですか、ではリボンとか刺繍ですかね」

 二人であれやこれや相談の花を咲かしてマーサの恋話を聞いたりして過ごした。


 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎


 ドドドド、バタン!

「パトリシア!」

 凄い勢いでアイザック様がやって来た。

「何ですか、こんな時間に」

「侍従の聞き違いだと思うのだが」

「聞き違い?」

「誰かとその⋯⋯デートの約束を?」

「えぇ、そうですが。それが何か?」

 アイザック様改め隣の背後霊様がバタンとコケた。


「もう、気を付けて下さい。試作品に躓くなんて。大丈夫ですか?」

 パトリシアが明日忘れない様にと用意していた試作品の木箱に見事に躓いたアイザック様。

「お怪我はありませんか?」

 マーサが心配して聞く。

「こんなところに箱があるから⋯⋯」

 アイザックがそこまで言ったところで、護衛が踏み込んで来る。

「アイザック様ご無事ですか!」

「おでこを打った」

 アイザック様のおでこが赤い。

 パトリシアは救急箱を出しながら

「アイザック様、一瞬飛びましたよね」

「箱が目の端に映ったので避けようとしたんだ」

「まぁそうでしたか。こちらにお座り下さい。手当てしますので」

 アイザック様は無い尻尾をブンブン振りながら椅子にかける。

「お嬢様、私が⋯⋯」

「そう。じゃあお願い」

「えっ!いや、えっ」

 マーサの手際の良い処置で、アイザック様のおでこに白いガーゼが当てられて治療は終了した。

「頭なので気分が悪くなったり頭痛がしたりしたら医者に直ぐ掛かって下さい」

「動かないほうがいいかもしれない、今日は此処で⋯⋯」

「護衛の方々の出番ですよ」

 パトリシアは護衛の皆さんに回収をお願いした。

「いや、そう。デート、デートだ」

「デートが何ですか?」

「私も同行しよう」

「「はぁ?」」

 マーサと声が被る。

「いやその、何だ。最近ここいらも物騒になったらしい」

「マーサそんな話聞いたことある?」

「いえ、ございません」

「だ、そうですけど」

「あ、相手が危険人物かもしれん」

「人柄は分かっていますのでご心配には及びません」

「丁度私もこの街を回りたいと思っていてだな」

「そうですか」

「ついでだから一緒に⋯⋯」

「お断りします」

 間髪を入れずにお答えする。

「お嬢様、オブラートに包んで!」

 慌ててマーサがフォローになっていない事を口走った。


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ここ最近コメディーになってる気が!

あくまでアイザック様は上品枠です!

コメディー枠ではありません、アシカラズ!

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