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姉の皮算用

 ロザリンドは確かな手応えに満足していた。

 邪魔者のパトリシアもまんまと領外に追いやって、公爵に気に入られるように毎日べったり張り付いた。


 両親からはやんわりと婚約者の居る身でと、何か奥歯に物の挟まったような言われ方をされたが、相手は老人。

 一族の長である公爵に気に入って貰えれば、将来の公爵夫人の座が見えてくる。

 結婚さえ出来れば、夫となった者が長男で無かろうと跡取りに押し上げてみせる自信があった。

 ここで上手く立ち回れれば、全て思い描いていた未来の姿が近づいてくる。

 だからさりげなく聞く。


「公爵様、ご家族は何人いらっしゃいますの?」

「何故かね?」

「何も特産品の無い我が領ですがせめて何か手土産でもと思いまして」

「流石ご両親が自慢されるだけの事はあるな」

「大した事はできませんが心を込めて選ばせて頂きますわ」

「息子が3人、娘が1人それぞれ結婚していて孫は9人なのだよ」

「ご自慢のお孫さん方には何が宜しいかしら?」

「そうだな、何でも持っているから心が籠っていれば何でも喜ぶだろう」

「性別を(うかが)っても宜しくて?」

「男6人、女3人だが関係あるのか?」

「男女で好みも変わりますから。デリケートなんですよ、女性は特に」

 公爵はご機嫌で笑っている。


 ロザリンドはさり気無く孫の内6人が男だと知った。

 やはり孫の嫁探しだったのだ。丁度ロザリンドと年齢も合う。


 確信を深め急いで私の婚約をどうにかしないといけない。

 しかも私の過失であってはならない。

 如何にしたら自分の婚約破棄をロバートのせいに出来るか?

 そればかりに頭を悩ます、相手有責で同情を引き、私こそ孫に相応しいと誘導するには……。

 早くしないと公爵が帰ってしまう。

 もうロザリンドの脳内では、公爵夫人として華々しく社交界で注目を浴びる自分が見えるようであった。


 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

 毎日両親を差し置いて公爵に取り入った努力が実り、公爵は明らかにロザリンドを気に入ったようだった。

 でも問題は婚約者のロバートだった。

 幼い頃からの婚約者ではあったが、優しいばかりで最近は物足りなさを感じていた。


 公爵の武勇伝を聞く内に、王家とも関わり合いの深い公爵家以外考えられなくなって来た。

 公爵には婚約者が居る事は知られているので、何とか相手有責で円満に婚約解消したかった。

 部屋の中をうろうろ歩き回っていると、セシリアがノックも無しにズカズカと入って来た。


「お姉様、今日はロバート様がいらしたのよ。約束があったのでしょう?」

「そうだったかしら?」

「私が謝ったのよ。何か言う事無いの?」

「あぁ、ありがとう」

「何よ、上の空ね」

「考え事してるから出て行って貰える?」

「折角面白いお芝居だったのに、勿体無い」

「だから、出て行って!」

「何よ。そんなに蔑ろにしたら婚約破棄されちゃうわよ」

「うるさいわね」

「ロバート様に振られても知らないわよ。あの太った方をお誘いするように言っておいたから」

「そう、分かったわ、えっ今なんて?」

「お芝居今日までだから、代わりにお姉様のお友達のあの丸い方勧めといたわよ」

「エブリン様?」

「確かそう、行けたかは分からないけどね」

「助かったわ」

「助かった?まぁ良いわ。兎に角ロバート様良い方なんだから大事にしなきゃダメよ」

「チョット考え事してるから出て行って」

「⋯⋯」


 セシリアが出て行ってからニンマリと笑う。

 もしあの2人が出かけていたら?

 使えるかもしれない、二人ともお人好しで口下手だから!

 セシリアの言った通りになったのなら、浮気をでっち上げて相手有責で円満に解消できるじゃないの。

 エブリンには都合の良いことに婚約者がいない。

 私の婚約者に横恋慕して……いける!これ使えるわ。

 嬉しくて部屋でついスキップしてしまった。

 セシリアもたまには良いことをするわね。

 上機嫌で今後の計画を立てるロザリンドだった。



宜しければブックマーク、評価、感想等お寄せいただけたら……。

宜しくお願いします(#^.^#)

何と日間でこの作品が56位(恋愛ジャンル)にランクインしましたψ(`∇´)ψ

嬉しくて小躍り中です!

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