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調査

とても嬉しい事がありました。

後書きでお知らせします。

ではどうぞ~ヽ(^o^)丿


 時を少しばかり(さかのぼ)る。


 ここはコールマン伯爵領に有る執務室で、ロバート・コールマンは調査報告書に目を通していた。

 親同士が仲が良い友人同士だったので、幼い頃に決まった婚約者ロザリンド・サンチェス及びサンチェス伯爵家に関する調査報告書だった。

 親が友人同士という事もあり、今までこういった調査の(たぐい)はやった事が無かったが、先日驚くべき話を聞いたので念の為調査をさせた。

 しかしそこには目を疑う事が書いてあった。

 普段穏やかなロバートの表情が曇る。


如何(いかが)でしたか、調査の方は」

 長年勤めてくれている乳母でメイド長のエマが聞いてくる。

 先日の噂を教えてくれたロバートにとってもう一人の母のような存在の人である。


「これは酷いな。伯爵家を辞めた者達が一様に先日の噂を肯定している」

「先日の話では皆怯えているそうです。花瓶や皿が割れて跳ね返って怪我をする者も多いとか」

「しかしそんな事を簡単にペラペラ喋るかな」

 ロザリンドを信じたい気持ちが口に出る。


「お坊ちゃま、それは私が無理に聞いたのです。首元を怪我しているようだったので。彼女は最初青ざめてしきりに包帯の部分を触るので隠している傷が見えているとでも思ったのでしょう」

「しつこく聞いたら教えてくれたか」

「そうです、お坊ちゃまに関わる事なら知っておかねばなりません。それで他に聞こえないように耳元でコッソリ教えてくれました」

「そうか、これらの証言とも合致するな」

「何人証言したんですか?」

「元メイドが4人、庭師が1人、下男が3人だ」

「そんなに……」

「辞めさせられた恨みか、とも思ったが結婚で職を辞した者もいる。皆の証言が似通っているのも気になる」

「随分と酷い癇癪だとか。自分の思い通りにならないと突然豹変されると言っていました」


「あのご両親も娘達を随分甘やかしているのだな」

「ところが甘やかしているのはお二人だけで、真ん中のパトリシアお嬢様だけには厳しいそうですよ」

「先日そのメイドが話したのか」

「はい。三姉妹皆からだと思ったので」

「……」

「あなたも三姉妹がそんな風だと大変ねと申しましたら、いつも庇って下さるのはお優しいパトリシアお嬢様だけだと言っておりました」

「そういえばパトリシア嬢は私も滅多に会えた事が無いな。体が弱く、心の病で公の場には出てこられない方だよな」

「それ、嘘なんだそうですよ」

「嘘?」

「姉妹で扱いが違うのだそうです。どこにも連れて行って貰えずお可哀想と言っていました」

「その辺も含めて引き続き調査をさせるか」

「今ならまだ間に合います。結婚したら向こうの実家とも一生付き合っていかなくてはいけません。もしそれが本当の家族の姿なら、幸せになれるでしょうか?」

「……あの家には何だか裏がありそうだな、私も癇癪持ちはご免だよ」


 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

 あれからロザリンドに芝居見物を見事にすっぽかされたロバートは迷っていた。

 しかし折角苦労して手に入れたチケット、今日が最終日で無駄にするには勿体無い。

 ふと婚約者の妹セシリア嬢の提案に乗り、婚約者の友人に声をかけて見る気になった。

 時間も迫っているので駄目で元々、慌てて友人に先触れを出した。


 突然の事なので断られるかと思いきや「暇なのです」と言って快く同行する事となった。

 馬車でエブリン嬢を迎えに行くと、急いだのか髪を少々乱してはいたが目一杯にオシャレした彼女が出て来た。

 いつもロザリンドの陰に隠れて目立たない印象の彼女が頬を赤くして、今日はとても可愛らしかった。


「ロバート様遅くなりまして、間に合いますよね?」

「大丈夫ですよ。急がせてしまって……さぁ乗って」

 と手を差し出して乗り込むのを手伝うと(さら)に真っ赤になった。

「ありがとうございます、凄く観たかった芝居なのでとても感激です」

 ロザリンド以外の女性に目を向けた事が無かったロバートにとって、とても新鮮な反応だった。

 何だか胸が温かくなって、こんな気持ちいつ振りだろうかと考えながら会話も弾み劇場へと急いだ。


日間のランキングで9時時点……

短編 お願い墓穴を掘ってが恋愛ランキングで10位

短編 百年の恋が終わったが恋愛ランキングで59位

にランクイン出来ました~これも皆さんのお蔭です(p_-)

朝の6時に小躍りして多分下の住人は何事かと飛び起きたかもしれません!

ありがとうございました。

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