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暗雲

 とても複雑な感情を抱えつつもおば様の手前、感情を押し殺した。

 エリアルおば様が、私の事を考えてくださると言って下さったので、安心したらお昼になっていた。

「今日はね、街のレストランを予約してあるのだけれど、体調は如何かしら?」

「ハイ、大丈夫です。でもおば様あまり気を遣わないで下さい。マーサと二人で街の生活を見て回りたいですし、調べものもあるので図書館にも行ってみたいと思っています。今後はお仕事もおありでしょうから、私達の事はお気遣いなく」

「そう、家族みたいなものですものね。今後は基本、家で食事をする方向でいきましょう。お昼に帰ってこれないようならランチを二人分厨房に頼むと良いわ。街で食べるのもたまにはいいけど、今後を考えたらお金は節約しないといけないでしょう?」

「ありがとうございます、明日からはそうさせて頂きます」

 そしてここでの生活がスタートした。


 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

 その頃実家でも、スペンサー公爵閣下が到着された。

 65歳と言う事だったがまだまだ元気のようで、目つきの鋭い抜け目のない人物に見えた。

「ようこそいらっしゃいました」

 両親と二人の姉妹が使用人と共に出迎えた。

「ふむ。しばらく世話になる。所で三姉妹と聞いていたがもう一人はどうしたのだ」

「うつる病気になりましたので他の場所で静養させております」

「そうか、では案内を頼む」

 そう言って屋敷の応接室に腰を落ち着けた。


「スペンサー公爵閣下、長旅お疲れさまでした。ご紹介いたします。横に居りますのが妻のカミラで、長女のロザリンド、三女のセシリアでございます」

「カミラと申します、何なりとお申し付けくださいませ」

「ようこそいらっしゃいました、長女のロザリンドと申します」

「三女のセシリアと申します」

 公爵は二人を一瞥して

「病気療養しているのは?」

「次女のパトリシアでございます」

 父親が慌てて言った。

「パトリシアという娘をという話だったが、病気ならしょうがあるまい」

「ご安心ください、()がおりますので」

 ロザリンドが一歩前に進み出て腰を深く折り微笑みかけた。

 公爵の目がきらりと光った。


 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

 それからは毎日のようにロザリンドが公爵にべったりと張り付いた。

 ()()()()()()()に気に入られようと、本人は頑張っていたが両親はハラハラして落ち着かないようだった。

 ロザリンドにしたらパトリシアを……と公爵の口から出たので、やはりパトリシアの縁談だったと思い込みそれなら自分が成り代わろうと手を握り、腕を組み一生懸命自分を売り込んだ。

 スペンサー公爵も満更(まんざら)でも無いらしく、ロザリンドを抱き寄せたりと積極的だった。


 ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

 流石に不味いと感じた父親が、意を決してスペンサー公爵に切り出した。

「ロザリンドには婚約者がおりまして、今日はその婚約者が芝居見物に連れて行く事になっております。ですから私達が街中をご案内いたしますので」

 両親が少しでもロザリンドを引き離そうとそう言った。


「お父様、公爵様がせっかくいらしているのです。私は公爵様と出かけたいです」

「婚約者が焼きもちを焼くのではないかね?」

「最近あまり上手くいっていないのですわ。伯爵家の御子息なんですが我儘ばかり言われて困っておりますの」

「ではわしと行くかね?」

「ハイ、是非ご一緒したいですわ」

「嬉しい事を言ってくれるじゃないかね、では宝石でもドレスでも好きなものを買うといい」

「本当ですか?欲しいアクセサリーがありますの。さぁ行きましょう」

 手を握りべったりとくっついて応接室を後にする。

 両親は止めることも出来ずに二人を見送った。


 ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

「あなたどうしましょう?」

「グズグズするな二人きりにしてはならん」

「お父様、私は行きませんよ。毎日毎日息が詰まるわ。それに何だか視線が気持ち悪い」

「あぁ、留守番を頼む」

 そう言って慌てて追いかけて行った。


 セシリアは疑問に思っていた、私達姉妹に対して何だか目つきが粘着質でいやらしい。

 息子か孫になんでしょうけど……。

 鳥肌が立った腕をさすっているとお姉様の婚約者がお見えになった。

 一足違いですれ違ったらしい。


「済みません、姉は出かけてしまいましたの」

「約束していたんだが。あの公爵様と?」

「そうなんです。姉は何を考えているんだか理解に苦しみますわ」

「この芝居今日までなんだ。困ったな」

「あのお芝居は私も行きましてよ。とても面白かったので是非行ってらしたら?」

「でも一人では……」

「そうだ!あの……お姉様のお友達がいらしたじゃありませんの。お名前何でしたかしら?丸い、あの方を誘ってみてはいかがですか?」

「あぁ、エブリン嬢か」

「そうその方」

 エブリン様はお世辞にもお綺麗な方じゃない。丸くてふっくらとした体つき。性格もおっとりされて姉はよく鈍いのよと言っていた。

 あの方ならお姉様も安心でしょう、そう思って提案してみた。

「そうだな。彼女も見たいと言っていたし。そうさせてもらうよ」

 そう言って帰って行った。

「婚約者をなおざりにして。公爵様にべったりなんてお姉様何考えているのかしら?」


 セシリアのこの何気ない提案が後々(のちのち)大問題となるのである。


ブックマークと評価を宜しくお願いします!

ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ

お天気いいのに今の季節は本当に辛いです。

私は鼻水と咳が酷いです。

今はコロナで咳がし難い。アレルギーですとプラカードを首からさげたいぐらいデス。

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