第5話
第4話~第7話まで世界観の説明がメインの話になります。
私は闇属性の可能性が高いらしい。
闇属性ってなんだか響きがかっこ良い!
「闇属性はどんな風に役に立つ魔法なのですか?」
わくわくしながら尋ねる私。
それに対し先生は言いにくそうにごにょごにょと言葉を濁す。
「あー 闇属性はそのぉ…… なんと言いますか、使い所が難しくてですね。禁術とされるものも多くて。つまりその……」
尻すぼみになる声のボリュームに最後の方はもはや何を言っているのか聞き取れない。
「すみません、聞き取れなかったのでもう一度言っていただけないでしょうか?」
「――たたないです」
「え?」
「役に立たないです……」
がっかりである。
明らかに気落ちしている私を見かねたのか、先生は慌ててフォローし始めた。
「確かに今は役に立っていませんが、100年ほど前に隣国と戦争をしていた頃は役に立っていたのです! 闇属性は戦闘や暗殺に特化した魔法が使えますから!」
つまり平和な今の世の中には無用の長物である。
フォローになっていないフォローらしきものを聞きながら私はため息をついた。
(そういえば95%の確率で闇属性なのだとしたら、残りの5%の可能性は何なのかしら)
「ま、まだ闇属性以外の可能性もあるのですよねっ?」
焦りつつ、期待をこめて聞いてみる。
「そ、そうですね。先程、男の子は約95%の確率で父親の属性を引き継ぐと申し上げましたが、例外があります。光属性は遺伝しません。が、どの属性の父親からも光属性の子どもが生まれる可能性が5%ほどあります」
ということは光属性はレアな存在なのかもしれない。
「クリストフ様の場合、闇属性の可能性が圧倒的に高いですが、少ない確率とはいえ光属性の可能性があるわけです。奥様ならクリストフ様がどちらの属性なのかご存知だと思いますよ。光属性であればとても栄誉なことです」
光属性は闇属性と違って有用なようだ!
「もし光属性だったら闇属性と違って自慢できるということですね!」
「そうですね。光属性だったら貴重な治癒魔法が使えますし、何よりこの国の王になるためには光属性であることが必須です。遺伝する属性ではないので、この国の王は世襲制ではなく、新たな王は光属性を持つ者の中から選ばれるのですよ」
(光属性か闇属性かで私の今後が大きく変わり過ぎじゃない?)
どうか光属性でありますように!とお祈りしたい気分だ。今更祈っても変わることはないのだけれども。
「でももしクリストフ様が光属性であったとしても覚醒の儀までは家族以外の人に言いふらさない方が良いですよ」
栄誉なことなのになぜなのか。不思議そうにしていると先生はちょっぴり怖い顔をしてこう言った。
「自分の子どもを王にしたいっていう悪い大人に捕まって暗殺でもされたら大変です!」