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第1話

 目を覚ますと見慣れない場所でベッドに横たわっていた。


 ひどい頭痛に顔をしかめながら起き上がって部屋を見渡す。

 必要最低限の家具と小さな本棚が1つだけという質素な部屋だ。


(ここは病院―― ではないようね)


 本棚を見ればいくつかの背表紙が目についた。


・ゲヴュルツ連邦共和国の歴史

・アルトラ大陸 各地域の気候と特徴

・魔法学 基礎編


(聞いたことのない国や大陸の名前ね。それに魔法学?)


 アルトラ大陸についての本を手に取り開いてみれば見たこともない地図がのっていた。


 どうやらここは日本どころか地球ですらないようだ。


(まさかこれはアニメやラノベでよく見る異世界転移ってやつ!?)


 さきほどから感じる頭痛のひどさから夢ではないだろうと思う。夢であればこんなに痛みを感じないはずだ。


 しかし、夢でないのであれば早くこの状況を理解して立ち回らなければならない。交通事故で危うく死ぬところを転移のおかげで免れたのだ。またすぐ死に直面するような状況に陥りたくはない。


(家主には悪いが、この部屋を少し調べさせてもらおう)


 そう思い、机の引き出しを開けると手鏡が入っていた。


 そして鏡に写った自分に驚愕した。

 そこには金髪で青い目をした少年が映っていたのだ。


「え!? 誰?」


 驚きのあまり声をあげてしまった。


 中性的な美少年。

 髪型によっては女の子に見えなくもないが……


(たぶん男だよね)


 これは異世界()()ではなく異世界()()なのか。


 私が転生ではなく転移だと思ったのには理由がある。

 日本で過ごした31年間の記憶はあるが、この世界での記憶は一切なかったからだ。


(異世界転生ってどちらの記憶も持っているものだと勝手に思っていたわ……)


 なんだか目眩がしてきてその場に頭をかかえてうずくまる。


 その時、控えめなノックとともに老齢の男性が部屋に入ってきた。


「坊ちゃま! 気が付かれたのですね!」


 ―― もし男だったら―― なんて考えていたせいだろうか。

 どうやら自分は男になってしまったようだ。

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