表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

プロローグ。

 


-私は、顔が悪かった。頭が悪かった。口が悪かった。態度が悪かった。



 それは、前世でどんな業をなしたのかわからぬほどで、一つ上の姉や少し離れた弟の勤勉さ、真面目さ、顔のよさ、身体能力のよさ、全てを羨ましく思った。だから、そんな何もない何も出来ない己が、どうすればおいしい物を食べられるか、そればかりを考えた。

他人は利用するもの。だから、私も利用されるが、それは私にとってもメリットがあればそれでいい。

そんな私を両親は諌める事もあった。だけど、この人たちは何かをひとつは必ず持っている。

顔、身体、性格・・・。

子も親を選べないが、親も子を選べない。これはどうしようもないことで、諌められるたびに、親を哀れに思った。

そして、一人で泣いて、何故なんだろうとどうしてなのだろうと自分を責めてみても、お金が降ってきて顔を治す事が出来るわけでもなく、頭が急によくなるわけでもない。


つらかった。

助かりたかった。


小さい頃から、ずっと救われたいと思っている。

でも自殺は出来ない。迷惑はかけたくない。こんな自分が、他者に迷惑などをかけることは出来ない。

「ハァ・・・」

バイト帰りに溜息をついた。

もう秋から冬へと季節が変わろうとしている。見上げた空は薄ねずみ色だった。時折吹く冷たい風が、私の頬をなでる。私も、今年で28歳だ。


どうしようもない。


どうすることもできない。


わかっているから、今の今までそのまま救われたいと思い続けて、生きてきた。

高校を卒業と共に、がんばろうと就職活動をしていたときもあったが

顔が悪い、対人関係が苦手、大学を出ていないからという理由で、どこにも内定をもらえなかった。

しかし、そんな私に

はじめから持っている人間は口をそろえて私に言うのだ。「顔だけじゃない。頭だけじゃない。人は、それだけじゃないんだよ。」と。

最初のうちは、幼いときは、理不尽な言葉だと考えたが、

今ではもうそんなことに思考を咲くこともめんどくさかった。


「どうしようもないな。」と、呟く。


このまま生きていくのだろうか。

どうしようもないまま、どうすることもできないまま?

そう考えると、眩暈がした。

最近、先のことを考えると動機や眩暈がする。


キーン


と、頭の中で音が鳴って、くらくらする。今日はちょっと、強い眩暈だ。

私は、歩みをやめ、道の端に身を寄せた。このまま少しの間、瞼をつぶって、胸に拳を持っていって、数回息を吐いて、吸って、、


そうすると、どんどん収まる。


私はいつものように、ゆっくりと瞼を開けた。





>>>



はじまり

はじまり。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ