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ミラクルカラー物語  作者: 水無月魅美
2/30

目的を間違ってはいけない


ーー厚い雲が国を包むミストクラウド

ミストクラウドに君臨し、支配する帝国インティンティブ。帝王は自らの欲のためにありとあらゆる権力、力を使い自分の欲しがる物、人物を兵士に持って来させていた。

刃向かうものは反逆罪として帝国から厳しい罰を処されるので、ミストクラウドに住む民たちは帝国に苦しめられていた。


帝国が力と権力を大いにふるい世界を支配し始めた頃、ミストクラウドの北に住む竜の里に赤い肌を持つ赤子が竜の里に天から舞い降りてきた。

赤子を胸に抱いた里の長は言う。


『この子は世界を変える力を天から受け継いだ奇跡の子じゃ』


里の長は夢で未来を予知する[夢見(ドリームビジョン)]と言う力があり、里の皆は長の話を信じて赤子を大事に育てようと心に誓い竜の民は帝国が里に踏み入れられないように魔法を使い障壁を作り帝国から身を隠した。

魔法による障壁で外の情報は全く入れる事は出来なくなったが竜の民は帝国から赤子を守るならそれでいいと思い里は帝国に脅かされる事がなく皆安心して赤子を育てるのだったーーー


〜〜森の国〜〜

ミラクルカラーを集めて世界を平和にしたいと言う[竜人(りゅうじん)リア]。そのリアの目的に協力すると言ってリアと一緒に旅をすると言った[森人(もりびと) ルリ]。

2人はミストクラウドの北にあるウッドノアという森にいた。


「うわぁー!!!私、あの森から一歩も出た事なかったけど…私の森と違ってこっちの森の方が木が大きいし広ーい。何よりも緑が全部濃い!!」


「この森……ウッドノアはルリが住んでいた森からそんなに離れていない筈だが?」


ルリの言葉にリアは不思議そうに聴くとルリはリアに笑顔を向けて自分が森からでれなかった事について話す


「うーん、皆がね。まだその時じゃないって言って私が違う森に行こうとした時、止められてたの。その時はまだ分からなくて皆に八つ当たりみたいなことを言って泣いちゃって困らせちゃったけど」


実際にこの森を出ると言って宣言した時も森に生えている木が葉を揺らし蔓が伸びてルリを止めようとしていたがルリの意思は固く、そしてリアが森の木々達に向かって「必ず守る」と言った言葉に木々達は漸くルリを森から出すことを承諾してくれたのだった。


「……そのくらいルリが大切な存在だった。

良い奴らじゃないか」


「うん、だから私皆が困ってたり、悲しい顔をしている世界をこれ以上増やしたくない。

送り出してくれた皆のためにも早く世界を変えるミラクルカラーを集めないとね!!」


ルリの明るい声にリアは微笑み、シャイングローブを取り出す。

ルリとリアがシャイングローブを見ればシャイングローブの中央にある星が光って一本の細い糸のようなものが伸びたとおもったら消えてしまい


「どうやら……このウッドノアにはミラクルカラーの気配を感じないみたいだな。

このまま歩けば夜になって動くのは危険だから今日はここで野宿だな」


と言えば、ルリはフーッと息を吐いて近くにあった切り株に座って身体を伸ばす


「うーん、初めてこんなに動いたからちょっと疲れちゃったや!」


ルリが身体を伸ばすとリアはルリの近くの地面に座って脚を触る

ルリはリアにこの前の矢の傷が痛むのかと思い心配そうな顔でリアを見る

それに気づいたリアはルリの頭を優しく撫でて


「気にするな……竜人の身体は頑丈に出来ているからあの矢の傷なんて直ぐに塞がる」


「でも…塞がるまでは痛いんだよね?

動くのも辛そうだし…痛いなら暫くこの森で塞がるまで身体を休ませた方がいいんじゃない?」


ルリの言葉にリアは首を横に振れば、真剣な表情になり


「休んでいる暇はないんだ。こうしてる間にも帝国に苦しめられている民がいる

そう思うとこのくらいの傷で休んでなんていられないんだ」


リアの真剣な表情にルリはジッと見た後

リアの額から汗が出ていて息が荒れているのを見れば、我慢しているのが分かるのでルリがリアの体を休ませようと話す


「リアの気持ちや早く集めたいって気持ちは分かるけど…こんな所で倒れたら元も子もない……「大丈夫って言ってるだろ!しつこい!!」


「っ!!」


ルリの言葉にリアは苛立ちを感じて、強くルリに言葉を言ってしまうとルリは驚いて何も言えなくなればリアは苛立ちをそのままルリにぶつける


「俺の気持ちが分かるなんて勝手な事を言うな!!数日しか一緒にいないお前に俺の気持ちなんてわかってほしくない!迷惑だ!!」


「……」


リアがルリに強く言えばルリは顔を俯けて、拳を握る

リアもルリに強く言葉をぶつけてしまった事でハッと我に帰れば身体を背けて地面に横になりルリに言う


「……早く寝ろ。少し仮眠を取ったら行くぞ」


「……」


リアがそうルリに呟けばリアは目を閉じて仮眠を取る。

しかし、リアはこの時はまだ知らなかった。

自分の言ってしまった言葉で後悔することになろうとは……


〜〜〜〜〜〜

リアが目を開けて起きれば、矢が刺さった脚に痛みがなくなり傷が塞がったのだと分かれば息を吐いて振り向くとルリが既に起きていたので昨日の強く言ったことを謝ろうとルリの前に立って申し訳ない顔をする


「ルリ……その昨日は…」


「…謝らなくていいよ。私がリアの気持ちなんて分かるわけないもの。だって心は自分だって制御できないんだもんね」


とリアの謝罪を断れば、ルリは立ち上がって微笑む。

リアはルリの笑顔に違和感を感じて何かを言おうとするがルリはリアに背中を向けて指を指して歩き出す


「ウッドノアを早く抜けてミラクルカラー探しに行こう!」


「……あぁ」


ルリの言葉にリアは違和感を感じながらも首を縦に振って歩き出す

暫く歩いていると、リアは歩きながらルリの様子を後ろから見ていればやはりおかしいと思えば歩みを止めてルリに声をかける

ルリはリアに背中を向けたまま止まり


「どうしたの?早く行かなきゃなんでしょ」


「…ルリ、さっきから言おうと思っていたが…なぜ俺と目を合わせない?

今もそうだが…」


リアの言葉にルリは動かずにリアの疑問に背を向けたまま答える


「……痛いからだよ」


「…痛い?」


リアはルリの言葉にどこが痛いのかルリの正面に立てばルリの脚が震えていて、ルリが脚の痛みで顔を俯けていた事に気づけばルリはリアに話す


「私、リアがどれだけ苦しい思いや痛い思いしているのか本当に分からなかった。

だから…リアの感じていた痛みを魔法を使って私に移したの」


[身替(サーヴァメント)]を使ったのか!?」


ルリの言葉にリアは衝撃を受けるとルリはよろけて前のめりになって倒れそうになるが、正面に立っていたリアがしっかりとルリを受け止めて叱る


「なんで、そんな魔法を使用したんだ!!」


叱るリアの言葉にルリは息を乱しながら、リアを見れば微笑みかけて苦しそうに話す


「リアの事……分かりたかったから…

痛みを移すことで…少しでもリアの苦しみを和らげられたらって……」


「ルリ……お前…」


リアは昨日のルリに放った言葉でルリを追い詰めてしまっていた事に酷く自分に嫌悪感を抱いていると、ルリはリアから離れてヨロけながらも立ち上がって前に進もうとするのでリアがルリの身体を止めて強く抱きしめる


「……リ…ア?」


「ごめん、ルリ……俺は何もわかっていなかった」


謝るリアにルリは苦しそうにしながらも首を傾げればリアはルリの両膝を持ち上げて近くで流れていた川まで行けばルリを下ろして脚を水につける


「〜〜っ!」


脚を水につければ、ルリは沁みたらしく目をギュッと閉じ、リアが自分の着ている服の一部を破いてルリの脚に巻きつけ手をかざして青色の光を放つ

青色の光を当てられると、ルリは急激に眠気に襲われて眠りそうになる


「……急に…眠くなって……」


「あぁ、[治癒(ライラ)]の魔法をかけたからな。痛みに乗じて眠りの時間が決まる。

目を覚ました時は脚の痛みもなくなるだろ」


水につけたのは治癒の光が青色な為、効果が高まるからであった

リアはルリの頭を自分の膝の上に乗せればルリは眠ってはいけないと起きようとするがリアがルリの頭にも手を置いて青い光を当てる


「どう……して…急がなきゃいけない……んでしょ」


ルリはリアの腕を掴んでどけようとするが、リアは止めずにルリに光を当て続ける

そして、リアはルリを見ながらルリに昨日の事を謝り己の目的と間違ってはいけない事をルリに告げる


「強く言って悪かった。昨日は自分の目的の事しか考えていなかった、凄く反省をしている。俺の目的は確かに急がなきゃいけないことだが……目の前の苦しんでいる存在を放って世界の苦しんでいる民を救う事なんて出来ないからな」


「……リ…ア」


リアがルリに光を当て続けながら言えばルリは眠気にとうとう勝てずに目を閉じて眠りにつく時リアに呟いて眠りにつく


「……迷惑…かけて……ごめんなさい」


「……迷惑をかけたのは俺の方だ…寧ろ気づかせてくれてありがとうルリ」


眠りについたルリの頭をそっと撫で下ろせば、優しい表情で見た後ルリが起きるまでリアも一緒に眠りにつくのであった


ウッドノアの森でしっかりと痛めた身体を癒した2人は起きて再びミラクルカラーを目指して歩いていた


「ルリ…….」


「リア、どうしたの?」


ルリが目を覚ました時にはリアは既に起きていてルリの体調を気にするように声をかけるようになっていた

リアの魔法により脚の怪我による痛みはすっかり治り今は元気よく歩いていると

リアはルリを呼び止めて真剣に言う


「昨日は本当にありがとう。だが、もうあのような魔法を使うのはやめてほしい……」


[身替(サーヴァメント)]の事?」


昨日ルリが放った[身替(サーヴァメント)]は、黒属性の魔法で相手の痛みを自分の体に入れる魔法である。その魔法の事をルリがリアに聞けばリアは辛そうな表情でルリに言う


「俺の代わりをしてルリの痛みや苦しむ姿を見るのは酷く胸が痛い……だから、約束してほしい。この魔法は今後使わないと」


「…なら、私からも約束してほしい事あるんだけど?」


リアの表情にルリは覗き込むように下からリアを見上げるとリアの顔を触ってルリも真剣な表情で言う


「痛みや苦しみを我慢しないでほしいの。だから、もし怪我とかしたら隠さないって約束して」


「……わかった。約束を守る。」


ルリの真剣な表情にリアは頷けばルリは微笑み顔から手を離せばリアに小指を立てて前に出す


「なら、私も今後あの魔法リアに使わないって約束する!これ、皆が教えてくれた約束の儀式。お互いの小指を立てて絡ませて約束破ったら罰を受けなきゃいけないんだよ」


「……罰?」


小指を立てているルリにリアはどんな罰を受けなきゃいけないのかと思っていると、ルリの方から小指をリアの小指と絡ませて約束を破った時の罰を言う


「約束の儀式、お互いの小指を離してその約束がどちらか破ったらその相手の命を破った相手にあげる。今儀式は成立指切り発動!」


と言えば小指を離せば、リアは驚いた表情でルリに質疑する


「る、ルリ……今命を捧げるって…」


「うん!もし、リアが痛みや苦しみ隠してたら私がリアの命もらうからね!!」


とても眩しいくらいの笑顔で言えば、リアはとても重大な儀式を行ってしまったと顔を青ざめればルリはリアに話す


「破らなければいいだけの話でしょ?

私も条件同じだから。お互い様だよね!!」


「……ルリ、お前と言う奴は」


呆れた様子で話すが、リアの表情は穏やかで目を細めて腕に口を当てれば口角を上げて笑顔になっていると、ルリはその光景に呆然とする

呆然としているルリの姿にリアは気づいて「どうした?」と声をかけるとルリは喜びながら話す


「リアがそうやって笑うの初めて見たかも!!リア元々カッコいい容姿してるけど、笑うと益々カッコいいからもっと笑った方が良いよ!」


ルリの言葉にリアは驚いた表情をした後、顔を赤くしてルリに言う


「俺は……かっこよくなんてないぞ」


顔を赤くしながら言ったリアの表情にルリは面白くなったのかさらに続けてリアの顔を見て笑う


「じゃぁ、カッコいいじゃなくて可愛い?」


「〜〜っ、なんでそうなるんだ」


可愛いと言われまたリアの表情が変わる

ルリはその表情が変わるリアの事を見ながらリアに話す


「リアって…無表情なのかなって思ってたけど結構表情変わるんだね。

きっと、目的のために己を殺そうとしていたところでもあったのかな?」


「……そんなの、意識したことない。ただ、このミストクラウドに住んでいた竜の里の皆は笑いが絶えずに暖かい場所だった

そんな場所がミストクラウド全部になってほしいと俺は思ったんだ」


リアのミラクルカラーを集める目的を話せば、ルリはピョンって跳ねてリアに笑って手を取れば話す


「なら!リアも笑わないとだめだよ!!」


「……な、なぜ…」


突然の提案にリアは驚きルリに問うとルリは笑ったままリアに理由を話す


「だって、暖かい場所を作るにはまず笑顔から作らないと!森の皆言ってたよ!

どんな存在でも笑顔は最高魔法になって武器にも盾にもなる

だからリアも笑って!!」


「か、簡単にヘラヘラできるか……だが、そうだな。

ルリの言う通りかもしれない。」


と、冷静にルリの言葉にリアは賛同すれば口角を上げて笑おうとするがやはり早々笑顔を作れる事はなくて、ルリは困ったように笑えば


「きっと、リアが自然と笑顔になるよ。今は気長に待って旅を続けよう?」


「それもそうだな……ルリのおかげで分かったこともあるしな」


リアがルリを見て話せばルリは「分かった事?」と言って小首を傾げればリアはルリの頭に手を置いて


「あの時ルリが俺を休むように提言してくれなかったら俺の進む目的が間違った方向に進んでしまう所だった。

俺は目的を進行する事で頭がいっぱいになると周りが見えなくなる事が分かった。

だから、ルリにお願いしたいことがあるんだ」


「なぁに?」


ルリがリアを見上げてリアのお願いを聞く


「もし、今後俺が間違った方向に進もうとしてしまったらまた昨日みたいに俺を止めて欲しい………頼めるか?」


リアのお願いにルリは即答する


「うん!!リアの為になるなら任せて!!!」


と言えば、2人の前には悠然と広がる平地があり知らぬ間に2人はウッドノアを抜けていた

ウッドノアを抜けるとルリはパァーッと明るくなり真っ直ぐと指を指して


「森を抜けたみたいだね!リア次のところにミラクルカラーあると良いね!!」


「……そうだな」


ルリの言葉にリアは頷けば2人は平地を歩くのだった

次をお楽しみに!

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