三人へのおくりもの
老コルド伯は三人の孫娘を庭園に集めいいました。
「よく来たのう、愛する孫たちよ。今日はお前たちにふさわしいおくりものを用意したのじゃ。」
そういうと使用人が大きな箱と小さな革袋を持ってきました。
「まずはアリタ、わしの娘に似て美しいお前にはこれを送ろう。」
孫の一人の前に大きな箱が差し出されます。中から出てきたのは美しいドレスでした。
シルクの生地は陽光をうけてつややかにかがやき、ふんだんにあしらわれたレースがふんわりと揺れます。
「まあうれしい、おじいさまありがとうございます。」
彼女はドレスを大切そうに胸に抱えると嬉しそうに走っていきました。
「あのドレスを着てパーティーに出れば注目の的、良縁にも恵まれるじゃろうて。
つぎはメリー、この革袋を受け取りなさい。」
二人めの孫がずっしりと重い革袋を受け取り中をのぞくと金貨が詰まっていました。
「ありがとうございます。これは有効に使わせていただきますわ。」
「聡いお前のことだ、また交易にでも使うのかね?」
老伯の問いに娘はたおやかにほほ笑みました。
「最後にミランダだが・・・。」
老人は庭園の片隅につかつかと歩いていくと、落ちていた石を拾い最後の一人に手渡しました。
「馬鹿にしてますわ!」
三人目の孫は石をその場に投げ捨てると、怒りに顔を真っ赤にしながら去っていきました。
「おじいさま、その石を金貨1枚で売っていただけませんか?」
「ああいいとも、気付いたかね。」
金貨1枚と引き換えに石を受け取った孫が石を太陽にかざすと、その一部がきらりと輝きました。
「いい原石ですわね。磨けば大粒の宝石になりそうですわ。」
「ああ、あの子には見た目に惑わされず本質を見抜けるように願ってこれを渡したのだがね。」