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Mundus ex machina  作者: 嘘(仮)
第一章 旅立ち
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真実の片鱗

ようやく物語が動き始めます。多分…

 建物の中は所々壁が壊れていたり、天井が崩れていたりしたが廃墟としては綺麗であった。

 モルトたちはいくつかの部屋を回ったが、大抵が壊れた物体や風化して崩れた本などで埋め尽くされており特別な発見は無かった。

 ローナはその様子に

「やっぱりだめでしたか」

 と言い悲観的な表情をしている。

 そして、最後に一番奥の部屋にやってきた。そこには目立ったもの、というよりも物自体が何もなく非常に殺風景な部屋であった。

「ここには何もありませんよ。帰りましょうか…」

 そう呟いて帰ろうとするローナを他所に彼は床を凝視していた。

(なんだ、この違和感は?)

「何しているんですか?帰りますよ」

 ローナが諦めたように声を掛けてくる。

「ちょっと待ってくれ。もうちょっと調べさせてくれ」

「分かりましたよ…。どうせ何もないと思うので早くしてくださいね」

 ローナは何も見つからなかったことで少しやさぐれている様子であった。彼はそれに構わず床を調べ始める。

 すると、床に一か所だけ妙に溝が深い部分があったのである。

 彼がその部分を叩いてみると他の床と違いコーンコーンという音が帰ってくる。

(この床の下に何かある?)

「ローナ、ハンマーのようなものは無いか?」

「ありますけど、こんなもの使ってどうするんですか?」

 そういいながらローナは彼に大きめのハンマーを渡す。

 彼がそのハンマーを使い床を思いっきり叩くと老朽化して脆くなっていたのか簡単に床が崩れる。

 壊れた床の下には階段が存在していた。

 物の壊れる音に反応しローナが彼に近づいてくる。

「な、なんですか一体…。!?こ、これって隠し階段じゃないですか。こんなところにあったなんて。早速下りてみましょう」

 そういうや否やローナは階段を駆け下りて行ってしまった。

「あ、ちょっと待て」

 彼はそんなローナの後をため息交じりに着いていくのであった。


 階段を降りると段々と異様さが漂ってくる。それも下に行けば行くほど異様さが増し、自身が現実世界と離れていく感覚を彼に与える。その様子は彼に、ただ地下に降りて行っているためだけでないことを簡単に感じさせる。

「ローナの奴どこまで一人で行ったんだ」

 暫く降りるとようやく部屋のようなスペースに辿り着いた。

「あ、モルトさん遅いですよ」

 そこには既にローナがさも当たり前ように探索をしていた。

「ローナ、いくら興味があるからって…」

「それよりも来てくださいモルトさん!」

 ローナが彼の言葉に割り込んで話して来る。

「この場所凄いですよ!まだ見たこともない様々な物や資料が沢山あるんですよ!まさに宝の山」

 ローナは非常に幸福そうな表情で様々な場所を漁りだす。

 その様子に彼は呆れながらも自身の興味を引くものを探し始めた。


 部屋の探索をしながら部屋の異様さの原因を考え始める。

(最初に目につくのは壁だろうか)

 部屋の壁、というより建物全体に言えることだが普通ならば木材や石などで造る。

 ところがこの部屋は違った。部屋全体が金属のようなもので造られているのだ。

 さらに天井の一部が眩しく発光し部屋を明るくしている。

 だが、それだけではこの部屋の異様な雰囲気には程多い。

(やはり、一番の原因は部屋の至る所に存在している未知の物体か)

 彼はそれを調べるため一つの小さく透明な長方形のものを手に取る。それは軽くそれでいて丈夫な造りをしていた。

 それを調べてみると横に突起があるのを発見する。

(これはボタンか?)

 そう思いその突起部を押してみると物体の中に何かが表示される。何か文字が書かれているようだが彼はそれを読むことが出来なかった。

 そのため、結局何か分からず、後でローナに聞こうと思いそれをしまおうとした。

 その時、持ち方を変えたためだろう。彼の手が物体の表面に表示されている地図のマークをしたものに触れる。

 すると、それから光が発せられ空中に地図と思しきものが現れた。いきなり現れたそれに彼は驚く。

 だが最近驚きすぎているせいだろうかすぐに冷静になり地図を見る。

 地図にはピンマークが一つと黄色い丸が複数描かれていた。ピンの周りを見てみると今、自分たちがいる地形と非常に似通っている。

(このピンは物体の現在位置を示しているのか。ならばこの黄色い丸は…)

 彼はその地図を見ながら自身の考えに集中していくのであった。


 モルトが別のところに探索に行った後、ローナは探索を一時中止していた。

「このタブレット?というものは便利ですね。こんな小さなものの中に大量の情報が入るのですから。んん~、それにしても素晴らしい。知的欲求が満たされていく感じがします」

 彼女は拾ったタブレットを手に興奮気味に一人呟く。

 彼女が興奮するのも無理がないだろう。なぜならタブレット内には彼女が知らない、いや世界的に知られていないであろう様々な情報が山のように出てくるのだから。

 彼女はその中で特に気になる記事を見つける。

「世界崩壊について?ま、まさか古代文明の破滅の理由!?」

 彼女は今まで求めていた解答がそこにあると思うと居ても立っても居られずに我を忘れてその資料を読み始める。

「こ、これは…」

 そこには所々読めないとこがあったが予想だにしない答えが書き記されていた。


 〇月〇日

 世界各地で異界の門が開く。そこから異形の怪物が入り込んできて世界は大混乱へと陥る。

 〇月〇日

 この非常事態を治めるため異界対策機関が発足。怪物や異界の物質についての研究が開始された。ここ■■支部は情報の統合、管理を任された。

 〇月〇日

 ■■支部の研究により魔法、魔術の行使が可能となった。詳しくは別資料に記す。

 〇月〇日

 魔法、魔術の発見により様々な技術が発展。現在■■支部にて、それらと科学を使った■■■■■■である■■■■■■■の研究を開始。これが完成すればこの事態は収まるものと考えられる。

 〇月〇日

 ■■■■■■■が完成。これにより世界各地の怪物を抹殺することに成功。さらに異界の門より怪物の侵入のみを禁止することに成功。怪物がいなくなったが魔法、魔術は使用可能なままとなった。

 〇月〇日

 ■■■■■の神が世界を破滅へと導き始める。■■■■■■を介して全ての■■の占領をされ人類は実質抵抗不可能となった。幸いにも私たちの研究機関は独自の■■■■■■を構築し、それを使用していたため被害は受けなかった。しかし、ここの研究所のみ情報管理のため独自■■■■■■以外に接続していたため幾つかのデータが破損してしまった。

 〇月〇日

 ■■■■■の神の攻撃は終わった。しかし、これにより全世界の人口はおよそ9割減ったと思われる。ただ、またいつ攻撃を開始するか分からない。神に抗う為、我々は我々にできることを続けていかなければならない。


 読んだ後ローナは血眼になって魔法や魔術、それらと科学の融合体などの気になった事柄を探した。

 しかし、どの資料も存在することは無く、たとえあったとしても中身はほとんど読めない状況になっていた。

(とりあえずモルトさんに合流しましょう。何か見つけたかもしれませんし)

 ローナはタブレットを手にモルトの元へと向かうのであった。


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