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Mundus ex machina  作者: 嘘(仮)
第一章 旅立ち
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遺跡へ

初の戦闘シーン。書くの難しかった。

「モルトさん、起きてください」

 誰かに揺さぶられモルトは目を覚ます。見慣れぬ天井、見慣れぬベッド、目の前の少女。

(ああ、そうか。昨日ローナの家に止まったんだっけ)

 ここで彼は昨日のことを思い出す。

 奴隷鉱山から逃げ出し、ローナと出会いこの街‘アビレス’に着いたことが今でもまだ信じられない。

「これは夢か?」

 ローナに問う。

「何馬鹿なこと言ってるんですか。ご飯は用意しておいたので寝ぼけてないで早く支度して下さい。遺跡調査に行きますよ」

 その言葉に彼は自身の幸運に再び感謝し、身支度を整えるのであった。


 モルトたちは遺跡に行くため街郊外の森林の入り口に来ていた。

「モルトさん。これを」

 ローナがモルトに黒く小さいものとナイフを渡す。

「この黒いのは何だ?」

「それは銃という遠距離武器です。そこの安全装置を外して引き金を引くと・・・」

 彼はその言葉を聞きながら引き金を引く。

 次の瞬間、銃声が響き近くにあった木の幹に風穴を開ける。

 自身の銃より唐突に響いた音にモルトは驚き尻もちをついてしまった。

「な、なんだ。何が起こった!?」

 ローナが怒気を孕んだ声で答える。

「危ないじゃないですか。当たったらどうするんです!?場合によっては死にますからね!もう、人の話は最後まで聞いてください!」

「す、すまなかった・・・」

 彼はローナの真剣な様子から本当に危険なのだと察し、自身の軽率さを悔いるのであった。

「はぁ、まぁ大事にならなかったので良かったですよ。それで引き金を引くと今のように弾が射出されるんです。それで当たるとあの木のように敵に損傷を与えれるんですよ。生物なら頭でも狙えば大抵一撃で仕留められます。」

 彼は木の様子よりこの武器の強力さを感じた。

「確かにこれは強力だ。ところでこの武器、何発まで撃てるんだ?無限に撃てるのか?」

「流石に無限に撃つなんてことできませんよ。弾が無くなったらカートリッジを変えてください。これが替えのカートリッジです。見本見せるので一発で覚えてくださいね」

 そういうとローナは替えを彼に渡し、銃のカートリッジを空のものと慣れた手つきで交換をする。

 そして、交換が終わると銃と入れ替えたカートリッジを彼に渡した。

「さぁ、実際にやってみてください」

 彼は交換を始める。ローナのを見ていた限りでは簡単そうであったが実際にやってみると彼女ほど早くは出来なかった。

「まぁ、及第点ですね。あとは慣れてください。それとナイフの使い方は流石に分かりますよね?」

「ああ、もちろん」

 ローナは彼の回答に安心したのか‘ふぅ’と息を着いた。

「さて、準備もできたようですし遺跡に向かいましょう。遺跡があるこの森の中には獰猛な動物も生息しているので注意してくださいね」

「了解だ」

 そして彼らは森へと入っていったのである。


 森の中は非常に居心地のいい空間であった。

 外とは違い木々によって日差しが遮られ木陰となっているため涼しく、それでいて所々から木漏れ日が入ってくるおかげで暗すぎない。街のような噪音がなく木々のさざめきや小鳥たちのさえずりが聞こえてくるだけの心地よい静けさ。まさに理想的な空間と言えるだろう。

 そんな森に入ってから一時間は経過しただろうか。ここまで何の問題もなく進んできた彼らだったが不意に何者かの気配を感じる。

「ローナ、何か来るぞ。気を付けろ」

「分かってます」

 彼らが警戒態勢を取ると同時にモルトの後方より何かが飛びだしてきた。

「っ!!」

 彼はそれを間一髪で回避する。

 相手のほうを見るとそこには野犬がいた。そして、彼らの周りにもいつの間にか野犬が5匹いた。

「囲まれましたね。モルトさん、戦えますか?」

「ああ、もちろんだ」

 彼らは互いに背中を合わせ後ろから襲われないように構える。

「なら、私は前方の3匹を殺ります。残りは任せます」

「了解だ」

 その言葉を発すると同時に彼は腰から銃を抜き目の前の野犬に発砲する。

 だが、まだ銃の扱いに慣れていなかったせいか銃弾は空を切る。

「ちっ。やはりまだ無理か」

 野犬は発砲音に一瞬ひるんだようだったがすぐに立ち直りモルトに向って飛び掛かってくる。

 彼はそれを避けたが、その際に腕に攻撃をくらってしまい銃を落としてしまう。

 彼もただでは終わらない。それと同時に反対の手でナイフを抜き野犬に切りかかる。

 しかし、横から飛び掛かってくる野犬の対処に追われナイフを振り切ることは出来なかった。

(なんていうコンビネーションだ)

 今まで何匹もの獲物を共に狩ってきたのだろう。野犬たちの動きは実に洗練されていて隙があまりにも少なかった。

(ならば…)

 彼が体勢を立て直すのと同時にまた野犬が襲い掛かってくる。

 だが、彼はここで回避をしなかった。わざとナイフを持っていないほうの腕を前に出し、それを噛ませることにより攻撃を防御したのだ。

(っ!痛むがこの程度なら)

 彼は次が襲ってくる前に噛みついている野犬の脳天をナイフで突き刺す。

 攻撃に夢中になっていた野犬は反応が一瞬遅れる。

 その一瞬が命取りとなる。

 所詮は生物、脳を破壊されては生きてはいられない。

 脳天への一撃により野犬は絶命した。

 彼は腕を払い死体を飛ばす。

「後、二匹」

 仲間がやられたのを見てか野犬たちは先ほどと違い警戒して積極的に襲ってくることはしなかった。

「来ないのか。ならばこちらから行くぞ」

 彼は野犬に向かい飛び込んでいく。その単調な攻撃を野犬は軽々と躱して見せる。

「その程度は予測済みだ」

 彼は野犬の後ろにあった木を使い無理矢理体を野犬のほうに飛ばす。

 そして、流石に対処できなかったのか動けずにいる野犬の喉元にナイフを突き立てる。

「後、一匹」

 後ろを振り返るとそこには野犬が飛び掛かってきていた。

 彼はそれを無理に避け先ほど落とした銃があるほうに転がる。

 しかし、無理な体勢で避けたせいだろう。彼は体勢を崩してしまう。

 それをチャンスと見たか野犬が追撃を仕掛けてくる。

 それを見て彼は密かにほくそ笑む。

 そして、野犬の口が彼の顔に迫ったとき銃声が響き渡り野犬の頭が吹き飛んだ。

「流石に零距離なら外さないか」

 銃を撃ったのはモルトである。先ほど避けた際に拾っていたのだ。

 彼が起き上がりローナのほうを見るとそちらも既に戦闘は終わっていたようだった。

「終わってたか」

「はい、もちろん。楽勝ですよ。それにしてもモルトさん結構苦戦してましたね」

 ローナが茶化すかのように言ってくる。

「見てたのか。まだ、銃の扱いになれなくてな」

「大丈夫ですよ。そのうち慣れます。でも、身のこなしは中々でしたよ。モルトさん銃より近接格闘のほうが合ってるんじゃないですか」

「10歳まではそれなりに鍛錬していたんだ。そうでないと困る」

「ハハハ、それもそうですね。さて、戦闘音に気付いた別の敵が来ないうちに早くここから離れましょうか」

 そして、彼らは遺跡に向かい歩き出したのであった。


 あの戦闘のあと何事もなく進み、森の開けた場所に辿り着いた。

 そこにはアビレスのような街の廃墟が存在していた。

「ここが古代遺跡です。調査したい場所はもう少し奥にあります」

 ローナについていきながらモルトは廃墟を見渡す。建物は崩れ、道は荒れ果てかつての栄光など見る影もなくなっている。

「ここが、か。あの文明力を持ってここまで荒れ果てるとはいったい何が…」

「それを調べるのも今回の目的の一つですよ。さぁ着きましたよ」

 ローナが示す先には他の建物と比べ全体的にまだ綺麗な建物が存在していた。

「随分と綺麗に残っているな」

「そうなんです。ここだけ妙に綺麗なんですよ。だから、この遺跡ほとんど調べつくされてるんですがここには絶対何かあると思うんですよ」

 ローナが興奮気味に喋りだす。

「だから今回こそは絶対に見つけてやるんです。それに今回はモルトさんがいますから。別視点から見ることで何かつかると思うんです。そういうわけなので頑張ってください」

「わ、分かった」

 ローナのその様子に若干の戸惑いを覚えながら彼は了承した。

 そして、彼らは建物へと入っていくのだった。


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