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天より拒絶  作者: エムエム
第1章 エンドライン
3/7

【優しさ故の優しさ】

 「相変わらずの腐った匂いだ、この世界は」

 

 彼女は、凛として、どこか悲しげな横顔を俺に見せそう言い放つと俺の胸ぐらを掴み、横たわる俺を乱暴に起こした。


 「えっ!ちょっ!何ッ!」


 「うるさい!黙れ米粒!」

 「お前のそのつまらなく、何も起きない人生のせいで、我は天法により、お前のジャッチを行わなければならん。100年ぶりだぞ、善も無く、悪も無く生の終末を迎え此度のように我の手をわずらわせる事は。」


 「いやっ!俺だって死にたくて死んだわけじゃないし、天法とかジャッチとか言われても何がなんだか」


 「うるさい!黙れ米粒!」

 「とにかくお前を天に送るか、地獄に送るか、我が見定めてジャッチをする!それが終わるまでは魂体のままこの腐った匂いの世界でお前のラストチャンスタイムを過ごす。地獄に落ちたくなければ善を見極め、我に嫌われるな。」


 要するに天に行きたきゃ善ある行動を行い、こいつの言うことは何でも聞けと言うことなのだろう。

 それにしても、このすざまじく、強制的な遠距離型の上下関係はある意味地獄だ。

 

 「あの、一つ宜しいですか?」


 「何だ米粒」


 さっきから米粒ってなんだよ!なんか自分がもの凄く小さい人間に感じてしまうではないか!逆らったらきっと地獄行きなんだろうな、我慢だ。


 「善を行わなければ天に行けないってのはわかりました。ただ死んだ僕がどうやってここで善の行いをすればいいんですか」


 「うるさい!黙れ米粒!」


 いやっ!その返答の頭に必ず着いてくる日本刀のような鋭い悪意のある上から言葉はなんとかならないんでしょうか。


 「良く聞け米粒、善とは基本、自分の行う行動を持って、他人の心に触れ、心を浄化する、浄化された者は他の人の心に触れ、またそれを浄化する。それが繋がり、始まりの善は尊い善となり、生の果てには天へと浄化する。」

 「が、先にこれは我のできた心故の優しさだ、はっきり言っておいてやろう、お前はすでに死んでいる。」


 「いやっ、はいっ、それはわかってるし」


 「そうか、お前はすでに死んでいる。米粒」


 うわっ!2回言った、2回言ったよね!

 それは優しさなのか?遠距離型の上下関係を踏まえた上で10000歩譲ってそれを優しさと言うことは、こいつは希に見る優しさを表現する事が人並み以下というめんどくさい特殊能力を持っているのか?そもそも人なのか、2回目の最後の米粒は意味はあるのか?


 「わかっているなら良い。」

 「もちろん死んだお前が生きてる人に見えるわけではない、我に媚を売りつきまとう金魚のふんのようなお前が、そんなゴミみたいなお前が、生きてる人間と関わりを持つことはできない、わかるか?」


 「わかります、途中の金魚のふん辺りはいらないと思いますが。」


 「うるさい!黙れ米粒!」

 「生きてる人間には見えない、触れられないそんなお前だが、そんなゴミみたいなお前だが、我のこのできすぎた心故の優しさのお陰でお前はある力を使って人の心に触れる事ができる。」


 「心に触れる?」


 「そう心にだ。」

 「まぁ説明より一旦やってみろ、そうだなちょうどいいあそこで寝てる臭そうな男にするか」


 指を指した先には、他人の家の前でゲロを吐いた挙げ句、ヨダレを垂らして寝ているチャーターがいた。


 「あれはちょっと!他の人じゃダメ、ですか?」


 「いいから一旦やってみろ、あと言い忘れてたがお前に我に逆らう権限はない、それともあれか?地獄判定を狙ってるのか?それなら今すぐに地獄に落とし」


 「わかりました!やります!やればいいんでしょ!」


 「当たり前だ!黙れ米粒!」


 そうして俺は横たわる自分の死体を通りこし、チャーターの前にたった。今思えば彼女のあまりにも不器用な優しさと言う特殊能力のお陰で2回も告げらた、「お前はすでに死んでいる。」の言葉でこの横たわる自分の死体を受け入れられない自分は今はもう消えていた。


 「よしっ!米粒!手をこの男の胸に当てて見ろ。」


 俺は言われた通り、右手をチャーターの胸に当てた。

 それにしてもこの寝顔を見ると、押さえきれない怒りが俺を包む。通り抜けてしまうだろうが一発殴っておくか。いやっ、殴る俺を見て悪の判定を下されても困る。後で見てない隙になぐってやろう。

 

 「行くぞ!米粒」


 そういい放つと、彼女は俺の左手を握った。

 その途端、急にチャーターの胸が白く光出した。


 「うわぁっ!行くぞって言われても」


 「うるさい!黙れ米粒!」

 「そのまま手を胸の中に押し込め!」


 俺は訳もわからないままその手をゆっくりとチャーターの胸の中に押し込めた。

 すると俺の手がチャーターの中の何か暖かいものに触れた、その瞬間、凄まじい光が僕を包み込んだ。


 「うわぁー!」



                       つづく

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