表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

邂逅

 ―――ねえ、本当に?


私は気付けば、彼の瞳をじっと覗きこんでいた。夕焼けの所為か、ひどく輝いてみえる。

さっき聞いた話のせいだろう、彼は今にも折れて壊れてしまいそうな氷柱のようだった。すこし痛みを帯びたそれは、いとも簡単に割れてしまう。


 ―――本当だよ。僕は、


そう言って彼の顔は少し翳る。言葉が紡がれない。溢れてきたものか、溜まっていたものか。どちらかは分からないのだけれど今の彼からは何かが込み上げているようだった。

それと同時に私も自分自身から何かが溢れそうなのがよく分かった。今の私は彼と同じ気持ちだ。


真逆で、同じことを、経験してきたのだ。



 ―――…僕は?


彼の続きを促す。意地の悪い行為だとは分かっていた。こんなにも脆い今の彼にこれ以上話させてはいけないと分かっていた。でも、駄目なんだ。今じゃないと駄目なんだ。

今でなければ―この心の繋がった今でなければ―彼のこの言葉を聞いてはいけないんだ。



カタン、と彼は座っていた椅子から立ち上がる。顔はうつむいたままだった。そして彼の長い指が彼の薄っぺらい胸に触れる。彼はまるで胸が傷ついて、痛んでいるかのように優しく触れた。

静かな空間のなかで、私は彼見つめた。彼は顔を上げて私を見てから、本当に小さい声で私にそっと囁いた。今にも泣きそうな、見ている人すら泣かせそうな顔をして。



 ―――なくした。僕を救ってくれた人を、なくしたんだ。


彼の瞳からすうっ、と一筋の涙が零れた。透明な雫が落ちる、落ちる。

彼はそれを意に介さず、私に問いかけた。



 ―――君も、同じなの?






 

プロローグのようなものです。

次話からちゃんとした話が始まります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ