噂の宗教。
王都、ヴァンセルス。グリット教団本部、教皇の部屋。
「この頃、王都内である宗教が広まっているそうですね?」
丸々太った男は忌々しそうに言った。
「はい、どうも田舎の宗教のようで、数は少ないのですが、信者が異常に信仰が強くて、その夢のような勧誘に、思わず乗ってしまう者もいるようです」
「ふん、忌々しいですね?」
男は酒を飲み、大きく息を吐く。
「どうしましょうか?」
「忌々しいですが、所詮は絵空事でしょう。放っておけば勝手に潰れますよ」
男はにたーと、笑みを浮かべる。
まるで見るものすべてを欲望で見ているような目だッた。
その頃、マモ村では………
どうしてこんなことに?
俺の目の前には大量の荷物を持った人たちがいた。
これは一体……
「はい、王都での熱心な勧誘がうまくいきました!その結果、移住者が多く集まったようですね」
俺を見てウインクして来るリリー。
なに、そのやりましたねって顔は?
全然よくないよ?
「静かに!賢者マーモ様よりお話ですじゃ!」
ちょ!?
村長何言ってるの!?
隠れなくては!
そう思うが俺はリリーに抱かれ掲げられる。
「おお!あれが賢者マーモ様!」
いや、だから、俺はただのマーモットだって。
「そのありがたいお言葉をよく聞くのじゃ!」
村長!!
あんた、ハードル上げすぎだろ!?
ええい!こうなれば怖がらせて信者を減らしてやるしかない!
俺はやけくそで口を上に開きあれをやる。
「キュキューーーーーーーー!!」
口から叫びとともに光線が放たれる。
それは雲に穴をあけ、空に散っていく。
「「………」」
移住者たちは口を大きく開け、固まっている。
ふふ、これならば恐れをなして、移住をあきらめてくれるはず。
俺は、ただのマーモットだぜ。
夢は見るものじゃない!叶えるものだぜ!
夢は自分の手で掴むものだ!
必死にキュキュイと伝える。
「「おおおおお!!」」
大歓声でした……なんか胴上げされました。
絶対意味わかってないな……
「あの力まさに賢者様!」
「ああ、疑いようがない!」
むしろ、力の証明になってしまった。
完全な墓穴だった。
そうして俺は現在、家を大量生産中。
次!
次!
次!
次ーーーーーー!!
果てしなく続くゲームみたい……もう嫌だ。
「お疲れ様です」
「キュキュ……」
リリーがお茶を入れてくれる。
それを飲み干す。
「キュイー」
はあ、安心する。
俺が一休みしていると村の中央がやけに騒がしい。
「キュイ?」
「ああ、あれは、ちょっとした細工です」
細工?
なに、その嫌なワード。
俺は嫌な予感がして四足歩行モードで中央に行く。
「キュ、キュイ!?」
そこには、ドラゴン化したエリーとガイがいた。
「キャーッ、ドラゴン!!」
「落ち着け、幻想に違いない……」
男はそっとガイに触れる。
「あ、本物だ……」
泡を吹き倒れる男。
「あ、あなた!?」
いったい何でドラゴン化してる!?
「これは細工なのですよ」
は?
だから細工って?
「落ち着くのじゃ!このドラゴンたちはマーモ様のご友人じゃ!」
「え、ほ、本当ですか?」
「うむ、そうですな?エリー様、ガイ様」
「うむ、そうだ」
二人は素直に認める。
何でこんな派手に紹介を……
「分かったかの。ここは賢者マーモ様と、このお二人に守られている楽園なのですじゃ!」
「キュキュ!?」
はっ!?
細工ってこれのことか!?
「ふふ、これでマモ教はさらに増えますね?」
リリー末恐ろしい子!
だが、なぜそこまで信者集めをするんだ?
「マモ教は全世界に広めるべきです!」
何言ってるの?
このインチキ集団を広める?
本気?
「本気も本気です!」
俺には不安しかないぞ……
こうしてマーモの不安をよそに宗教は広まっていく。
拝啓、母さん、父さん。
宗教順調だよ。
信者、増えたよ。
うん…うん……
素晴らしいことだよね?
そうだよね?
きっと、そうなんだ。
信じるしかできない息子より。
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