例のあれ
俺は震える足を我慢しながら覚悟する。
もうこれしかない。
マーモット最大の武器を出すしかない!
「どうした弱きものよ。終わりか?」
「キュイ……」
まだだ。
「なに?」
これでもくらえ!
「キュイーーーーーーー!!」
大きく叫ぶ。
これぞネットミーム化された伝説の叫び!
だが、叫んだ瞬間に何か異変を感じる。
うん?なんか口元が熱い気がするぞ!?
な、何か出そう!
俺はとっさに上を向く。
すると、口から光線。いわゆるビームが出た。
「キュキュ!?」
え?なんか出た。ビーム……出た……
ビーム!?
ドラゴンは固まっていた。
顎が外れそうなくらい開いている。
「よ、弱きものよ。きょ、今日はこの辺にしといてやろう……」
ゆっくり門を閉め、ドラゴンは家に入っていった。
すると中から声がまた聞こえる。
「ハニーーー怖いよーーーー!!」
「なに?」
「なんか小さな動物の口から光線が出た!!」
「何言ってるの!?ビビって逃げてきただけでしょ?」
「ち、違うんだよ!確かに口から光線出してたんだって!!」
「もう!だらしないね!私が出るよ」
すると、門が開き、次は先程より一回り小さいドラゴンが出てきた。
「はい?どなた?」
「キュイ!」
「あら、か、かわいい!!」
ドラゴンはお座りして頬ずりして来る。
「あなた可愛いわね?」
「キュキュイ!」
ありがとうね。
「ふふ、今日はどうしたの?」
俺は必死にキュイキュイ説明する。
「うーん。なるほどね。私たちのせいで迷惑かけたわけね」
ドラゴンは頭をひねっていた。
「でも、どうしようかしら。ちょうどいい巣だったから……」
「キュキュ…」
確かにドラゴンにも事情がある。どうしようか。
「なら私たちの村はどうでしょうか?」
「うん?あなたは?」
「失礼しました。私は賢者様の付き人のリリーと申します」
リリーがいつの間にか近くに来ていてお辞儀をしている。
「賢者?それって伝説の賢者様のことかい?」
「はい。そこにおられます方は、賢者様なのです」
「なるほどね。だからこんなに魔力があるわけだね?」
「キュキュ?」
魔力?
なんだそれ?
「賢者様、魔力とは言いなれば魔法の燃料みたいなものです」
ああ、なるほどね。
俺、そんなにあるの?
「キュキュキュイ?」
「ええ、あなた、ドラゴン以上にあるわよ。旦那がおかしいのかと思ったけどこれは本物ね」
ええ……いや、だからただのマーモットです。
「で、村と言うのは?」
「はい、賢者様が守護してくださっている村です。ので安心して子育てもできるかと」
「なるほどね、で、家はどうするの?」
「賢者様なら一発です!」
いや、人任せかよ!?
俺は建築士でもなきゃ農家でもないぞ!?
「大丈夫です!賢者様ならできます!」
うん。不思議だ。
なんかこの子が言うとできる気がして来る。
…………そんなわけあるか!!
だから、ただのマーモットだって!
「うむ。それならその村に住もうかしらね」
「ありがとうございます!」
え、もう決定してない?
俺の意思は?
「これからよろしくね。可愛い小さなものさん」
「キュイ……」
そうですか。
拒否権はないのか……
こうしてドラゴン夫婦は村にやってくることになった。
その家、建築問題を俺に丸投げして。
拝啓。母さん、父さん。
資格いるかもしれません。
今からでも間に合うかな?
違法建築?ここ異世界だよ?
はは、ほんとおかしなこと言うね。
ははははは……
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